ミュージアムにわたしが持ち込み,飼育展示していたアゲハの話です。
蛹になった3個体の羽化をたのしみにしていたところ,寄生バチが飼育ケースにいるのを発見。アゲハヒメバチです。とにかく撮影だけはしておこうと思い,撮ったのが下写真です。
寄生バチだけあって,触角をしきりにピクピクと小刻みに動かし続けていました。
ケースの縁まで行くと,ヒメバチはさっさと飛び去りました。
そのあと蛹を見ると,大きな穴がぽっかり。ということは,この中からアゲハヒメバチが出て来たということです。さらにさかのぼると,幼虫時に体内に卵を産み付けられていたということになります。
幼虫は蛹になるまではなんとかいったものの,その後の経過はヒメバチの筋道に巻き込まれたのです。なにも知らない幼虫にはお気の毒な現実です。種としてのアゲハは,こうした事態を当然織り込んで産卵しているでしょう。それにしても厳しい摂理です。
そういえば,ジャコウアゲハの蛹でもよく似た穴を何度も見かけました。たぶんこのヒメバチの被害に遭ったのでしょう。