自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

師走,金沢風景(6)

2016-12-21 | 旅行

狭い植え込みで赤ーい花を見かけました。マユミです。青と緑を背景に,赤が見事に映えます。やさしい赤です。こんなふうに初冬を彩る可憐な花はほかにありそうにはありません。  

 
メタセコイヤの根元付近に,地表からぬっと出たものが林立していました。ふしぎな光景です。根がこんなふうに生長するのでしょうか。


資料館になっている歴史的建築物を訪れました。昔,学校として使われていたところです。紫色が見事なほど青空に映えていました。やっぱり歴史の重みが詰まっているものは風格がちがいます。そうした建物を大事にしようとする風土に育つ子どもは幸せだと感じます。すぐ横に中学校の鉄筋校舎が並び立っています。生徒が,この古い建物に入る石段で休んでいました。心地よいあいさつをしてくれました。


庭で,ちょうど雪吊りをつくる作業が行われていました。「やはり,こうしてつくるのか」と納得。予想通りだったからです。縄をくくった柱を立てて,縄を四方八方に下ろして,……。 

 
昔の作業は多くの人手を必要としたことでしょう。

 
すぐ近くに,これから使う柱がありました。それに縄が括り付けられていました。よいところを見ました。

 
ずいぶん歩いたので,昼はちょっぴりぜいたくな食事をしました。金沢でよく知られた人気メニューで,麩(ふ)を基調にした伝統料理。ご飯の上にも麩が。

 
味加減はぴったり。落ち着いた彩りもお腹を十分満たしてくれました。もちろん,目もたのしませてくれたのでした。


食後の話題は次回です。 

 


師走,金沢風景(5)

2016-12-20 | 旅行

雪吊りの林立。どこに行っても,雪対策が徹底しています。裏返していえば,それだけ被害に遭う確率が高いということなのでしょう。その風景が風物詩としてすっかり定着しています。 

 
塀のこちらにも,あちらにも。塀には薦(こも)が下がっています。雪が積もり,それが融けると,土塀が損傷するのだそうです。これも北国ならではの生活の知恵。自然の材料を使った,合点できる方法です。

 
薦がずっと続いています。静かな町並みです。

 
ほら,このように傷んだ土塀がありました。

 
大きなマツの木にも雪吊りが施されています。太い枝なので折れないと思うのですが,どうやらそうでなさそう。

 
マンサクがありました。我が家の庭にあるマンサクの景観とそっくり。

 
カキの実が1つ,ポツンと取り残されたように付いていました。鳥がそれを食べないのか,ふしぎになってきました。

 
個人住宅でも,こんなに丁寧な雪対策が。住まう人の人柄が浮かんでくるようです。

 
プランターのサツキも大事にされています。やっぱり材料は稲藁です。


このときまでは,雪吊り作業を見かけませんでした。もうほとんどの木で作業が終わっているといった様子でした。

関連記事はまだまだ続きます。 

 

 


山里の夕暮れ

2016-12-19 | 日記

12月18日(日)。快晴。

近くにある山里で見た夕焼けの話です。「この里を下るときに見た夕日がなんともきれいだった。雲が横方向に流れたようになってなんとも見事な色に見えた」という話を耳にして,「よし,それならわたしも見てみよう」と思い立ちました。わたしはきれいな夕日を見ながら年少時代を過ごしましたが,今住んでいるところからは夕日は見られません。つまり,夕焼けが見られないというわけです。というのは,家のちょうど西に山がそびえているからです。それで,夕日の話を聞いたときに,一層夕焼け空が恋しくなって,興味が湧いてきたのじゃないかな。

この日,午後4時すこし前に自宅を出て山里に入って行きました。澄み切った大空に,雲が薄くかかっています。

 
里の奥から西方向を振り返りました。ちょうどジェット機が飛んで行きました。最近,こうして空をじっと眺めたことがありません。すてきなひとときです。

 
太陽がゆっくり山の彼方へ沈もうとしています。両側から山がV字に谷をつくり,紺碧の空が広がっています。

 
大気と雲があって初めて,こんなふうに色の変化が味わえます。何げなく生きているこの地球に,こうした現象が当たり前のように繰り返されていることをしっかりこころに刻んでいたいと感じます。ありがたい限りです。

 
入日を追って,里を下り元の場所へ移動。静かな初冬風景です。


ほんのひととき,わくわく感動体験ができ感謝。

12月19日(月)。今日も快晴。気温が高めで穏やかな一日になりました。外出からの帰り,たまたま夕暮れを見ることに。遠望できる山なみは小さな頃から見慣れています。同じ夕焼け風景を見ながら,遊びを終えて家路に着いた記憶がよみがえります。


川面に映る色彩もまた,自然の妙を感じさせてくれます。

  


今,タンポポと訪花昆虫(続)

2016-12-18 | 昆虫と花

12月17日(土)。晴れ後曇り。最低気温-2.5℃,最高気温10.0℃。

午前11時。気温7.8℃。公園にて。子どもたちの声が響き渡ります。子どもたちは元気いっぱいです。

 


脇でセイヨウタンポポがを付けています。そのうちの花1つに昆虫がいるのを発見。近寄って確認すると,ナミホシヒラタアブでした。「ほほーっ!」の気持ちで,さっそく撮影開始。寒いのに活動しているという事実。同じ花に長くとどまるわけでなく,どんどん移動するって事実。活動ぶりにすっかり驚きました。



ツマグロキンバエはこの日も現れました。それも数匹。


この個体は1つの花の周りをぐるっと歩いたり,花粉を舐めたりしていました。

 
花粉を舐めるときは,口吻をぐっと伸ばしました。ときには,脚で口吻を掃除するしぐさも。


やっぱり黄色は虫の目に刺激的なシグナルなのでしょう。冬,タンポポで昆虫を見かけるのはいつまでなのでしょうか。

 

 


師走,金沢風景(4)

2016-12-17 | 旅行

写真で朝の風景を振り返ってみると……。

道路工事で見かけた風景が目を引き付けました。たのしい!


用水のモミジ。まだ残っている!


アカマツの古木がこんなに美しい! 倒木を防ぐ工夫に木材が使われています。古いものを守る姿勢が光ります。


天然石の石積が光った用水路は歴史の重みを物語ります。街中の清流がお見事!


路面表示に味わいがあります。


歩道に面した小学校で,経緯度表示柱を見かけました。経度,緯度に共通の数字が入っていることを強調したいのかなあ。これも誇り。


高層ビルの谷間に,こんな古風な民家がポツン。金沢らしいといえば,そのとおりなのでしょう。


むちゃくちゃに古びた一角がありました。電柱も建物も,色合いも。そこには活気が感じられました。


街中に,ご当地ならではの風景がいくつもあります。大事にされている風景があります。こころがきらりとしています。その雰囲気はぶらっと歩いて初めて感じるものかもしれません。となると,歩くっていいもんです。

まだ続きます。 

 


カビで覆われたガ

2016-12-16 | 昆虫

12月。雑木林にて。

落葉広葉樹が葉を落とし,林についたわずかな小径にうず高く積もっています。枯れ葉を踏む音が かさかさ心地よい音をたてます。前日の雨で濡れたままの葉が木漏れ日を浴びて光ります。その下では腐った葉が腐葉土につくり変えられています。硬い地表とちがってふわふわ。じわっと足が表面に食い込むといった感触があります。


倒木が菌やキノコの力で土に戻されていきます。 


木の幹で妙なガを見かけました。褐色のからだに,白い脚や胴が際立っています。胴の背中に付いた棘状突起が,とにかくスゴイのです。「今頃ガがいるなんて。どうか逃げないで」と思いながら撮影。


虫の目レンズで見ると……。


しかし,ちっとも動く気配がありません。

 
「おかしいな」。そう思いながら,接写して初めてわかりました。このガは,なぜかこの姿のまま死んでいたのです。日が経つうちにカビか白色腐朽菌が生えて,今の姿になったのでしょう。白いカビが脚やら触覚やらをすっぽり覆っています。


脚の付け根付近を見ると,完全に固まっています。

 
びっくり風景です。木も葉も,そして昆虫も,こうして土に還っていきます。自然林ではいのちの循環がくっきり見えます。たまには入って観察するのもいいものです。

 


今! モンキチョウ

2016-12-15 | 昆虫

12月15日(木)。晴れ。最低気温-0.9℃,最高気温8.5℃。初氷が張り,冬らしい冬がやって来ました。

ミュージアムのある公園を見回っていると,そこに咲いているセイヨウタンポポの花に,なんとモンキチョウが! 突然のことだったので,もうびっくり。モンキチョウの越冬態は幼虫がふつうでしょう。なのに,今頃もいるって? それが舞い上がって,近くの枯れ草に降り立ちました。


これだけ冷え込んできているのに,成虫が現れるなんてすごい事実!

しばらくしてそこから近くのサツキの葉に移動。それで慌てて撮ったのが下の写真です。


翅は痛んでいるようには見えません。


あとは接写。ふしぎに(?),うんと近寄っても舞い上がろうとしませんでした。ラッキー! 翅の毛がスゴイばかり。

 
頭部付近の様子を撮りました。毛に埋もれた感じです。


これだけ撮らせてもらえれば,感謝のみ。このモンシロチョウ,どう生きるのでしょう。はたまた,どう死を迎えるのでしょうか。とても気になります。 

 


師走,金沢風景(3)

2016-12-14 | 旅行

翌日,予感どおりきれいに晴れました。早朝,さっそく行動開始です。まず昨夜の撮影ポイントにウォーキングで出かけました。まだ街灯が灯っている時間です。外気が肌を刺します。目抜き通りに雪吊りが並んでいます。北国らしい雰囲気が漂っています。 


三角錐のオブジェ。今わたしが関心を持っている立体なので,わくわく気分で撮影。ガラスに雪吊りの縄が映っています。 

 
昨夜のイルミネーション撮影はこのポイントから始めました。

 
この時刻,この気温。氷点を指しています。寒いはず。

 
新聞社の掲示板のガラスが軒並み凍っていました。自動車のフロントガラスも同じ。


朝食で食べた納豆の容器。雪吊りのデザインがご当地商品だと主張しているようで,ほほえましく見えます。賞味期限がこんなに長いことも驚き! もちろん,味はばっちり。 

 
すてきな朝でした。 

 


師走,金沢風景(2)

2016-12-13 | 旅行

世の中はクリスマスムードで一色といった感じ。香林坊界隈もそうでした。ケヤキ並木を生かした大通りのイルミネーションもその演出に一役買っていました。

とくべつに華やか風でもなく,控えめなあかりが上品さを醸し出しているように見えました。雨の中の撮影をあきらめ,できれば夜遅く改めて来てみようと思いました。宿泊先はすぐ近く。

午後9時。雨が上がっていました。ありがたい,ありがたい。さっそく「ここにしよう」と決めた位置で,撮影開始。カメラはコンパクトカメラです。まことにすっきり感の漂うあかり! 「これでもか,これでもか」と畳みかけるような主張がないところが抜群のよさ。

撮っていると,突然後ろから「すてきな写真ですねえ」と声を掛けて来られたので,ドキッ。振り返ると若い男性でした。地元の人で,撮影ポイントが分かっている様子。「向こうから撮ると,また違ったよさがありますよ。きれいです」とアドバイスされました。びっくりしたものの,すぐ感謝。


それで,移動。途中,バス停の前で撮ったのが下写真です。雪吊りとイルミネーションがなかよく競演といったところ。


雪吊りを模したあかりの脇に,青いあかりが。


けやきの梢遥かかなたに,月明かりが見えました。すてきな風景です。翌日晴れることを予感できました。


イルミネーションは,ケヤキの中ほどから下だけを利用していることがわかります。幹の曲がり方であかりの筋が違って見えるのがおもしろいところ。


通りはそれほど広くないので,ケヤキは自ずと生長を抑えられます。通りの規模にふさわしい輝きのように思えます。


振り返ると,雲の間からまた月が。

 
雨上がりの通りと,イルミネーションの組み合わせは,わたしの目をじゅうぶんたのしませてくれました。感謝。 

 


師走,金沢風景(1)

2016-12-12 | 旅行

金沢を訪れました。今回はぶらり旅で,どこかを見たいといったとくべつな目的のない,じつに呑気な旅でした。敢えていえば,師走の金沢風景をちょっと眺め,北国(ほっこく)の匂いをかぐ旅だったとでもいえるでしょうか。

これまでの金沢行きとちがうのは電車を利用したこと。琵琶湖を右に見る湖西線を走っていたら,粋な車内放送が聞こえてきました。琵琶湖の大きさとか,近畿の水がめとしての役割だとか,観光で人気があるとか紹介し,「その風景をしばらくおたのしみください」とのことばで結ばれたのでした。同じような放送が北陸トンネル通過直前にもありました。これ,たぶん民営化以前にはなかった体質改善なのでしょう。粋じゃないですか。

琵琶湖の逆の車窓からは雪が積もりかけた比良山系が目に飛び込んできました。


目的の金沢市に着いて駅から出ると,雪交じりの雨が降っていました。「おお,寒ーっ!」と,身震いしました。

バスで移動。公園を歩いていると,色づいた葉が目に付きました。きれいなグラデーションです。周りの葉に守られた,温度変化の少ない環境という点が関係していると思われます。


カイズカイブキ。どうしてこんなにねじれた感じの幹ができたのでしょうか。種としての特徴なのかもしれません。輪切りにしたときの年輪を想像すると,なんだか愉快になってきます。


今夏21世紀美術館の敷地に設置されたオブジェ。球体の金属がぼこぼこっとつなぎ合わされた大きなものです。人気スポットのようです。


よく知られた雪吊りがあちこちで作られていました。この冬の風物詩はまことに風流に見えます。作る時間はそれなりにかかるはず。雪対策には苦労がいるってことでしょう。


坂道には,稲藁で編んだ薦(こも)がずっと向こうまで敷かれていました。この滑り防止対策,優雅にも,繊細にも見えました。自然の材料を生かした手法が光っています。


古いレンガ建築が大事にされています。それがライトアップされ,雨の中で輝いて見えました。歴史の重みが伝わります。その重みをたいせつに思う人のこころが見事です。


この日の最低気温1.9℃,最高気温4.0℃。旅の話はまだ続きます。