夜昼の長さが同じになる季節の中間点、彼岸。でも、今年は南風も吹かないし黄砂も降らないので季節はまだ冬の感じ。
雪に埋まったお墓に上に雪の堂を建てて先祖を迎えに行き、巻8軒とご近所、親戚の仏様をお参りする。
巻とは? 基本的には同じ血統の家付き合い。冠婚葬祭を協力して行う家の付き合い。当然菩提寺も一緒。
たぶん呼び方は違えども全国にある付き合いではないだろうか。
親戚にお参りに行っている最中に電話があった。巻内のばあさんが突然お亡くなりに、、、
足の不自由な爺さんと2人暮らし。 息子夫婦は関東で暮らす。
この前まで集会に来ていたのにこの頃姿が見えないと思ったら、、、、死亡診断書では老衰8日目。86歳。
家で亡くなるってことは、ある意味幸せなことかもしれない。
本家の号令で 巻 の親父たちが集まる。
体の不自由な老夫婦世帯。当然祭壇など設置できる状態ではない。
菩提寺への連絡、葬祭センターの手配、女衆にも号令がかかる、家の掃除が始まる。
飲み食いの道具が揃えられ、葬祭屋が着替えさせドライアイスを抱かせて床をつくろう。
和尚様が枕経を唱えに来たころに 関東から息子が駆けつける。
葬儀の手順が決まるとスケジュールの書いてある 告げ と呼ばれる紙を村中に配ってお願いする。
昔は行ける範囲の親戚にまで配って回ったものだがさすがに今は電話で済ませてもらっている。
葬儀当日にはお寺様を迎えに行ったり受付をしたり大ローソクに火を灯したり、、、出棺の前には村中鐘をたたきながら 告げ て回る。
そして葬儀にもお斎にもお客として参列する。つまり巻とは身内であり葬儀委員でもある。
夜には 与巻 と呼ばれる巻以外の村人も集まって無常念仏を唱える。
その後は ご大儀 という慰労会があって、すべてが終わる。
強烈なご長寿村ではあるものの近年葬儀が多い。
我が家にも歳を7回りもまわった2人がいるのでいつかは巻のお世話にならなくてはいけない。
そうやってみんなを送ったころには自分が高齢者になっている。
巻 というむつみ合いがあるおかげで家での葬儀ができる。すべてが葬祭場では味気ないような気がする。
冠婚葬祭は家の行事であるほうが望ましい。
相互扶助の精神は人が生きる上での基本だ。今風に言えば 絆 。
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