●今日の一枚 372●
Joe Henderson
Lush Life
いやあ、これはいい。最近手に入れたばかりの、ジョー・ヘンダーソン晩年の一枚、『ラッシュ・ライフ』だ。1991年の録音。デューク・エリントンの片腕だった作編曲家、ビリー・ストレイホーンの作品集である。
情感豊かなテナーだ。全編を漂う、静寂な雰囲気が好きだ。もごもごと口ごもっているようでいながら、伝えるべき正確な言葉をさがしている。しかし、そのうち自分の本当に伝えたかったことや、伝えるべき言葉を探し当て、ちょっと恥ずかしながらもきっぱりとした口調で語りはじめる。その言葉を探し求める過程がひとつの作品になっている。このアルバムのジョーヘンの演奏には何となくそんなことを感じる。
ジョーヘンの演奏を聴きながら、プレゼンテーション能力の名のもとに、内容が浅薄な、他者をおしのけるためだけの、声が大きい主張が評価されつつある教育現場や社会のことを考え込んでしまった。
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