先日行われた平成22年度宮城県高校バスケットボール新人大会において、全国的にも有名なあの明成高校(男子)が準決勝で聖和学園(男子)に敗れるという「波乱」があった。しかも、83対56(19-15, 19-10, 25-19, 20-12)の大差での敗戦である(大会結果は→「2011sinzin_keka.xls」をダウンロード )。残念ながら観戦できなかったので試合内容は不明であるが、スコアをみると、終始、聖和学園が優勢だったものと思われる。「波乱」と記したが、仙台地区予選でも聖和学園に1点差で辛勝したことを考えれば、「波乱」とはいえないのかもしれない。(仙台地区予選→「2010senen.xls」をダウンロード )
もちろん、聖和学園も強いチームだが、何かおかしい。ウインターカップにおいても、明成は2回戦で沼津中央に敗れた。結果的には、外国人留学生にやられたような印象であるが、ゲーム自体は明成が負けるような展開ではなかったように思う。事実、TVの解説者も、第3ピリオドまでは明成の勝利を当然のことと考えているようなニュアンスで発言していた。ところが、第4ピリオド、あれよあれよという間に逆転を許し、負けてしまった。試合巧者の明成にしては、まったく奇怪なゲームだった。当の外国人留学生のインサイドのプレーに対しても有効な対策を立てたようには見えなかったし、何よりお家芸のモーションオフェンスが十分に機能しなかった。というより、アウトサイドプレーヤーが立ち止っていることが多いように思えた。噂では、ウインターカップ県予選でも、明成高校の名将・佐藤久夫監督が、かつての教え子である仙台高校の監督と大ゲンカをしたと聞く。やはり、何か変だ。明成高校に、あるいは佐藤久夫監督に何があったのだろうか。私の思いすごしだろうか。
新聞によれば、明成高校には今春、中学日本代表の選手が6人入学してくるとのことだ。中学日本代表とはU-16のことだろうか。それにしても6人とはすごい。すごすぎである。明成高校はきっとまた強くなるのだろう。せっかく追いついた東北学院や聖和学園は、勝てなくなるかもしれない。しかし、それにしてもである。つまらない。かつて佐藤監督は仙台高校を率いて、「普通の子」たちで日本一になった。彼らが本当に「普通の子」かどうかは議論があろうが、県内の選手中心で全国制覇したことは事実である。佐藤久夫監督のバスケットは大好きだが、勝てないから他県から有力選手をおおぜいつれてきたと考えてしまうと、ちょっと魅力半減だ。もちろん、時代はセネガルなど黒人の外国人留学生のオンパレードだ。勝つためには甘いことをいっていられないのはわかる。しかし、『普通の子たちが日本一になった!』(日本文化出版)を書いた名将・佐藤久夫監督だからこそ、一念発起、本当に「普通の子たち」で、もう一度日本一になってほしい。
なお、大会は、東北学院が延長戦の末、87-83で聖和学園を破り優勝した。
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2011宮城県高校総体については → 「やはり、明成が負けた!」
新人戦を見ての私なりの感想を書かせてください。
明成は1年生主体でした。若さから崩れていきました。
ウィンターカップのエントリーを見ても2年生は一人しかいなかったので、新チームは遅れているのではないでしょうか。
明成は勝てないから県外から多く連れてきているとは思いません。
今までだって、県外から多くの選手が入学しています。私学ですから当たり前でしょう。
ただ、明成には本当に選手が集まってくるのです。佐藤久夫先生を頼って。
知り合いの知り合い子が明成に入学したのですが(もう卒業しました)、
佐藤先生に声などかけられたのではなく、自分から明成の門を叩きました
(中には久夫先生が声をかける子もいるでしょうが)。
それが昨年全国制覇したことで、入部希望者が殺到しているそうです。
名門と呼ばれる全国の名だたる高校だって、創部してこんなに早く全国制覇していません。
一度くらい、チーム作りにおいてつまづくことだってあるでしょう。
明成は最近はモーションオフェンスはあまりしていないように思います。
優勝した昨年もチームプレイ中心ですが、1対1に強いガードとフォワードの得点力でした。
今は明成のバスケットボールが変わってきているのかもしれません。
私の知り合いの知り合いは高校3年間ですごく上達しましたし、
佐藤先生のファンでもあります。今後も明成を応援していこうと思います。
長文、失礼しました。
これまでの佐藤久夫さんのバスケットが好きだという思いは私も同じです。タイトなディフェンス、よく考えられたゾーン、驚異的に速い展開、そしてボールも人もよく動くハーフコートオフェンス。本当に魅了されます。何より、高度なバスケットでありながら、(あるいはそうだからこそというべきなのでしょうか)、ファンダメンタルをとことん重視する指導姿勢は、本当に尊敬に値すると思います。
「優勝した昨年もチームプレイ中心ですが、1対1に強いガードとフォワードの得点力でした。」というのはその通りですが、2対2の無数の組合せによるモーションオフェンスの中で機能したことだと思います。だから、「明成は最近はモーションオフェンスはあまりしていないように思います」というのが本当だとしたら本当に残念です。確かに、今年度見たいくつかのゲームではこれまでのようなモーションオフェンスになっていなかったように思います。
佐藤久夫さんを慕って多くの選手がやってくるのは私もよく知っています。けれど一方、主力選手がスカウトされてやってくるというのもまた事実のようです。もちろん、彼らにしても佐藤久夫監督の下でやってみたいという思いで、誘いを受けてくるのですから、その意味ではやはり、佐藤監督を慕ってくるといってもいいと思います。能力のある選手が優れた指導者のもとでやってみたいと考えるのは当然の事です。ただ、私の個人的な思いとして、仙台高校時代のように、宮城の選手中心ではもう勝てないのだろうかということはあります。、『普通の子たちが日本一になった!』を書いた優れた指導者である佐藤久夫氏だからこそ、世の中の趨勢に背いて、それができるのではないかと期待しているわけです。
ただ、今年見たいくつかのゲームでは、佐藤監督が何というか、選手を厳しく叱るとき、(これまでもそういう傾向はありましたが)ちょっと偏執的でヒステリックに見えてしまったのは、私の思い過ごしでしょうか。心配しています。