WATERCOLORS ~非哲学的断章~

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IgA腎症と私⑥

2021年08月24日 | IgA腎症と私
(6)右往左往する患者の私

 社会福祉士と「指定難病助成制度」の話をしていた時、社会福祉士が資料を見ながら、eGFRは29だからギリギリOKかも知れないといった。29?。えっ。そうなの。私のeGFRは32じゃないの。 eGFRが29とは、腎臓が29%しか機能していないということだ。ショック。ショックである。人間ドックでは、確かにeGFRは32だったはずだ。29と32の間には、慢性腎臓病の重症度分類の《G3b》と《G4》境界があるのだ。32は《G3b》であり、29は《G4》である。《G4》とは腎不全の手前なのである。資料を見せてもらうと、確かにeGFRは29だった。腎生検後の退院する前日の尿検査のデータである。なぜ下がったのだろう。腎生検で腎臓にダメージがあったのだろうか。社会福祉士は、医師に聞いてみなければ、一過性のものかどうかわからないと付け加えたが、私の頭の中はeGFR=29でいっぱいである。
 どうも、腎機能低下のスピードが速いようだ。現在の治療は、本当に効果が期待できるのだろうか。Webによると、初期の段階のIgA腎症は扁桃摘出+ステロイドパルス療法でかなりの効果を上げているようだが、私のように腎機能が低下している場合、寛解に持ち込むことができるのだろうかなどと良からぬ考えが頭を巡り、軽いパニックである。Webを検索して、自分に都合のいい情報を探そうとする始末である。

 そんなことを知ってか知らずか、夕方、腎内科の担当医師が病室にやってきた。腎生検のとき、病棟担当だったベテラン風医師である。思い切って、eGFR=29のことについて聞いてみた。私の場合、確かにeGFR=29だが、腎生検の結果は壊れている組織は少なく、しかもタンパク尿も見られないため、扁桃摘出+ステロイドパルス療法で良くなるといわれた。ただ、腎機能悪化がやや早い気がするから、ステロイドパルス治療はできるだけ早くやった方がいいとのことだった。リップサービスかもしれないが、そう言ってもらうと、ちょっと心が穏やかになった。結局、寛解するかどうかは結果の話だ。私としては、今は信頼できる医師にゆだね、できることをやるしかないのだ。

 webをみると、治療によって、eGFRが上昇したという経験談は少なからずあるようだ。腎機能を表すeGFRは、血液中のクレアチニンの量から計算式で数値を導き出したものだ。クレアチニンの量が減れば、eGFRも上昇することになるのだろう。そういう意味では、腎組織が再生・復活することはないとしても、腎機能が数値上、上昇することはありうるのかも知れない。

●IgA腎症と私① →こちら
●IgA腎症と私② →こちら
●IgA腎症と私③ →こちら
●IgA腎症と私④ →こちら
●IgA腎症と私⑤ →こちら


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