◎今日の一枚 523◎
Keith Jarrett & Charlie Haden
Last Dance
入院4日目である。明日はいよいよ検査のための開腹手術である。今日はいろいろと手術前の予定があるようだ。初めて身体にメスを入れるので、もちろん恐怖感はある。
昨日、オリンピックのバスケ日本代表のゲームを見た。史上最強の代表といわれ、強化試合でも期待される結果を残していたので、一勝もできなかったのはやはり残念だ。
全体としては、やはり、まだチームになっていない。バスケットになっていないのだと思った。突出した実力と自信をもつ八村、渡辺のNBA組が、個人能力で突撃と自爆を繰り返した。バスケットに向かおうとする姿勢は素晴らしいと思うが、それはやはりスタンドプレーなのだ。ボールが回らず、そこでボールが止まってしまった。
相手のアルゼンチンのシュート力は凄かった。長身プレーヤーが次々とスリーポイントを決めた。これが、本気の世界レベルなのだと思った。富樫選手のサイズではまったく歯が立たなかった。すでにマッチアップしたそのままの状態でフリーなのだ。その意味では、HCのフリオ・ラマスの目指したサイズの大型化の方向性は正しいといえるのだろう。であれば、なぜ田中選手をガードにコンバートしたにもかかわらず、実際の試合で富樫選手のプレータイムを伸ばしたのか疑問が残る。
オフェンスのシステムの中で個の力を発揮させるとともに、ディフェンスでは女子の代表のように、前からプレッシャーをかけるバスケットが見たかった。
今日の一枚は、キース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンの『ラスト・ダンス』でる。『ジャスミン』の続編のようだ。発表は2014年だが、録音は2007年だ。
チャーリー・ヘイデンは、1990年代以降、優れたデュオアルバムを数多く録音したが、この作品もその一枚である。チャーリー・ヘイデンは、演奏の方向性を示し、コンセプトを明示するが、演奏ではあくまで脇役に徹してサウンドを支え、メインの演奏者の個性を引き出している。このアルバムでも、楽曲のイメージを抽出し、歌心溢れるアドリブに変換するキースの個性が全開である。とても聴きやすく、手術前のちょっとだけ不安な心を優しく包むような一枚である。
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