●今日の一枚 125●
Dexter Gordon Bouncin' With Dex
『バウンシン・ウィズ・デックス』……。デクスター・ゴードンがヨーロッパのレーベル Steeple Chase に残した1975年録音盤だ。
デクスター・ゴードンといえば、朗々としたブローが魅力ということになっている。まあ結局そういうことになるのだけれど、僕は、音の伸ばし方が魅力的だと表現することにしている。その方が偉そうじゃなくていいじゃないか。それに、朗々としたブローなどというと、余裕綽々の悠然たる演奏という感じが強いが、デックスはもっと音に自分の思いを込め、ぶつけてくるような演奏家であるように思うからだ。このアルバム収録で名演の誉れ高い「カタロニアン・ナイツ」などを聴くとますますその思いを強くする。この曲のデックスは、朗々としたブローというにはあまりに情熱的ではないか。映画「ラウンドミッドナイト」に登場したような渋い悠然としたデックスも悪くはないが、こういう情熱的なデックスが本当は好きなのだ。
ところで、テテ・モントリューは個性的なピアニストだ。このアルバムを聴きこむにつれ、このスペイン生まれの盲目のピアニストの存在感が際立ってくるのはどういうことだろうか。デクスター・ゴードンが作曲した「カタロニアン・ナイツ」もカタロニア出身のモントリューを念頭において作られた曲だということだ。
このアルバムがデクスター・ゴードンがSteeple Chase に残した最後の録音となり、翌76年アメリカに帰国する。
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