● 今日の一枚 14 ●
Keith Jarrett
The Melody At Night With You
今、夜中の2:30だ。考えるべきことがあってこんな時間になってしまった。となりの寝室では子どもたちが寝息をたてている。めずらしく、私を慕ってやってきたのだ。私はひとり書斎でアンプのボリュームをしぼってこのCDを聴いている。
豊かな時間だ。ほんとうに時間がゆっくり流れているのがわかる。若い頃の、わたしの気性と生活からすると夢のようだとふと考える。Keith Jarrett のソロアルバム The Melody At Night With You (1999年作品)は、こうやって聴く作品だ。美しいメロディー、繊細なタッチ、透徹したロマンチシズム。じっと耳を傾けていると、あまりの美しさに涙がこぼれ落ちそうになる。繊細な指先で奏でられる音楽は、いつものキースではない。あの緊張感にあふれた、鬼気迫るような、そして時として神経質なキースの演奏ではない。もっとくつろいだ、音楽に対するまっすぐな愛情だけで奏でられた愛すべき音たちだ。
少女趣味な文章を書いてしまった。恥ずかしい。① I Love You Porgy 。ビル・エヴァンスにも素晴らしい演奏があった。けれど、これもいい。双璧だ。他の曲もいい。すべてがいい。
家族が寝静まった後、ゆっくりと流れる豊かな時間を過ごすための一枚である。よく見ると、ジャケットもなかなかいいじゃないか。
豊かな時間……。豊かな音楽……。
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