WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

トム・ウェイツのスモール・チェンジ

2006年09月16日 | 今日の一枚(S-T)

●今日の一枚 48●

Tom Waits     Small Change

Scan10007_12  3連休だ。そのうち2日間は久々の完全オフだ。そんなこともあって、今日はちょっと調子に乗って飲みすぎた。そうだ、トム・ウェイツを聴こうと思ったのは、たまたま流していたFM放送でトム・ウェイツがかけられたからだ。このCDを再生装置のトレイにのせるのは、何年振りのことだろう。

 1976年録音の「スモール・チェンジ」。初期トム・ウェイツの代表作の一つだ。傑作の誉れ高いデビュー作はフォーク色が強かったが、この頃になると、明らかにジャズっぽいサウンドになる。よくみてみると、なかなか味のあるSAXはルー・タバキン、ドラムスもシェリー・マンではないか。意外なことだが、今ではビック・ネームのトム・ウェイツも初期の頃はセールス的にはまったくだめだったらしい。このアルバムがはじめてトップ100にはいったアルバムだ。

 トム・ウェイツはよく「酔いどれ詩人」などといわれるが、本当は酒が飲めないらしい(噂)。にもかかわらず、そうした言い方をされるのは、ビートやスピードの自由な感覚が、酔っ払いの生理的なリズムに合うのだろう。しかも、どんなに嗄れ声で歌おうと吼えようと、曲の背後にいつも美しい歌心があるのを感じることができる。かくいう私も、今聴いていて実に気持ちがいい。身体がビートに反応してスウィングし、歌を口づさんでしまう。

 トム・ウェイツの書く曲は、多くのミュージシャンにカバーされることも多く、ほとんどスタンダード化している作品もあるが、このアルバムでも素敵な曲が随所にちりばめられている。① Tom Traubert's Blues や ③Jitterbug Boy、 ④ I Wish I Was In New Orleans、あるいは⑤ The Piano Has Been Drinking (Not Me)、 ⑥ Invitation To The Blues などは涙なくしては聴けないほど素敵なメロディーだ。

 今夜はもう少し酒を飲むことになりそうだ。


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