●今日の一枚 25●
Grant Green Idle Moments
いい。ほんとうにいい。ブルージーだ。ギターはこうあって欲しい。1963年録音のこの作品は、ギタリスト、グラント・グリーンの代表作だ。グラント・グリーンは、コードワークをほんんど使わない。ただ、シングルトーンで弾きまくるだけだ。しかし、ヴィブラートを効果的に使ったそのフレージングはブルースフィーリング溢れる泣きのギターだ。
このアルバムについていえば、サイドメンもがんばっている。まず、ジョー・ヘンダーソンのテナーサックス。これもブルージー。今でこそビックネームのジョーヘンだが、このころはそんなに有名ではなかったはずだ。ヴァイブのボビー・ハッチャーソンもいい。硬質な美しい音が演奏全体に絶妙なアクセントをつけている。そして、ピアノのデューク・ピアソン。控えめだが、知的に洗練された音だ。ライナーノーツには、デューク・ピアソンのピアノがアルバム全体の大きな原動力になっていると書いてある。私にはそんなことはわからないが、時折、ググッとくるフレーズを繰り出してくることは確かだ。
ギター、ヴァイブ、テナー、ピアノとタレントたちが、入れ替わり立ち代り、ソロを展開していくが、ブルージーな色彩が全体を統一している。暑い夏には、こういうのもいい。ハッチャーソンのヴァイブが「風鈴」のように聴こえるのは私だけだろうか。
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