WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

上田知華+KARYOBINのレコード

2006年07月30日 | エッセイ

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 休日だというので、レコード棚を覗いていたら、上田知華+KARYOBINの古いレコードが出てきた。本当はジャズのレコードを聴くつもりだったのだが、あんまり懐かしいのでターンテーブルにのせてみたら、これがなかなかいい。思わず聴き入ってしまった。上田知華+KARYOBIN[3]というレコードだ。

 1980年の制作とあるので、もう26年前だ。そういへば、こういうグループがあったなと、感慨に浸った。当時としては(今でも)めずらしい、弦楽四重奏+ピアノの弾き語りという構成だ。斬新な発想である。上田知華のボーカルがややでしゃばりすぎという感じがしないでもないが、今聴いてもなかなか新鮮なサウンドだ。ヒット曲のA-① パープル・モンスーンは、やはりなかなかいい旋律と詩をもっている。

     とりたての陽射しこぼれる (パープルモンスーン) 

     新しい朝に目覚めて

     曇った心の窓をあけてごらん

     昨日よりステキになれるわ

という詩がなかなか新鮮ではないか。実に80年代的だ。女性が自分を解放して、元気になりはじめた時期の雰囲気が伝わってくる。思えば、80年代前半とは、女性がどんどん自己主張をはじめた時期ではなかったか。渡辺美里のマイ・レボリゥーションなどもこの系列に入るものだろう。そういえば、いまはなき朝日ジャーナルも「元気印の女たち」という連載をしていたではないか。この後、女性はどんどん強くなり、80年代後半のバブル経済の時代には、ジュリアナ東京のお立ち台でパンツを見せながら踊るようになり、1990年代になると、言葉遣いもまるで男のように粗雑なものになるわけだ。

 これはやはり、女性の解放なのだろう。女性の社会進出に異存があるわけではないが、粗雑になりすぎた女性たちを見るのは残念だ、と私は思うのだが、そのような考え方自体が女性蔑視だと、田嶋陽子先生に怒られそうである。フェミニストのみなさんはどう考えるだろうか。

 いずれにせよ、1980年代前半のこのレコードは、これから始まるであろう女性の解放を予感させ、女性たちが自分の心の窓を開いていこうとしていることを感じさせる点で爽快である。


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