王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

小杉健治「栄次郎江戸暦」を読む

2008-12-26 08:09:47 | 本を読む
小杉健治著、二見時代小説文庫発行「栄次郎江戸暦」1を読みました。
副題に浮世唄三味線侍とあります。
軽くて話の筋立ては明快です。暮れの帰省の際の時間つぶしに又新年TVに飽きたら気分転換にお勧めです。
頃は江戸の将軍家斉公の頃(恐らく1800年以降---話の進展と共にわかってくる)200石取の旗本矢内家は当主が3年前に亡くなり兄栄之助が家督を継いで大番組頭そして主人公の次男栄次郎はやっかい者更には兄嫁が昨年急逝しておりその再婚にも弟が差し障りという状態。母親は養子に出したいが栄次郎はのらりくらり。200石で親子3人と奉公人3人の暮らしが何とかなるのは何処からか援助の扶持があるようである。
さて栄次郎は24歳で田宮流居合術は20歳の頃には師範にも勝る腕前であった。
ところが栄次郎の望みは武芸の腕で侍となるよりゆくゆくは「三味線」の師匠として世を渡りたいという変ったものである。
いまでは師匠から「名取」を勧められる腕前である。ただし「名取」となると母親に内緒で三味線の稽古をしている事を明かさねばならない。

今日も稽古に通うのは鳥越の長唄師匠杵屋吉右衛門の稽古場。兄弟子の杵屋吉次郎はこれ又旗本の次男坊、弟子の一人新八は金持ちの三男とは表向きで実は腕の良い泥棒、火消し「ほ」組の頭取の娘おゆう。他には母に内緒で三味線の稽古場として部屋を貸してくれる矢内家の元奉公人お秋。 これらの人を常連として1巻に3-4章つつ小話が入り時間が進行して行き個人の事情が明らかになってゆく。
第一話は父親譲りのおせっかい焼きの栄次郎が元主家の主の非業のあだ討ちと金貸しを狙う小間物屋の親父を助けその一家も救うというお話。
この間三味線に纏わる豊後節だも常磐津節や新内節などの遠隔や薀蓄が語られる。
06年から毎年一冊既にシリーズ3迄出ています。
シリーズ2では何故200石取りなのに蔵差からの借金も無く矢内家が遣り繰りできるのか栄次郎に仕掛けられる刺客の罠の理由などがわかってきます。
一読あれ。

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