又、この読売の記事には「モスクワのシリア大使館には反政府側の国旗が掲げられている」とか何だか良く判らない事態も起きているようです。
それは事態の推移を見守るとして;
【ロシアのプーチン政権は、ウクライナ侵略で余力を失い、後ろ盾として軍事支援を続けてきたアサド政権を事実上、見捨てた格好だ。政権崩壊はロシアにとって大打撃で、シリア西部にあるロシアの空海両軍の基地を失えば、中東やアフリカでの存在感低下は避けられない。(中略)
ロシアは2022年2月のウクライナ侵略開始後、シリアに配備していた防空ミサイルや部隊の一部を本国に移していたとされる。アサド氏の延命よりもウクライナ侵略を優先した格好で、米紙ニューヨーク・タイムズは8日、シリアにおけるロシアの役割について「キングメーカーから傍観者に転落した」と指摘した。
15年の軍事介入の見返りにロシアが手に入れたのがシリア西部のフメイミーム空軍基地だった。タルトゥース海軍基地の機能も強化された。ロイター通信によると、同海軍基地は地中海における露軍の唯一の修理・補修拠点で、空軍基地はアフリカに展開する露軍に物資を届ける補給拠点として使われている。両基地を失う事態になれば、中東やアフリカにおける影響力が低下するのは必至だ】とロシアがこれまで設営した海軍と空軍基地の実効支配を認められないとシリアそのものの維持とシリア経由でアフリカ大陸への介入にも影響が出る」と述べています。
シリアにおける反乱政府と他の武装勢力の話し合いの結果が見えませんから、もう少し交渉の成り行きを見ないといけませんが、ヒズボラに代表される「イラン・ロシア側」の地上部隊抜きでは影響力を残すのは難しそうですね?
「プーチン大統領の威信は兎も角、一部でも実行支配できる海軍・空軍の基地を残せるか?はその度合いを測るにい材料です」
プーチン大統領とラブロフ外相にとって頭の痛い問題なのは間違いなさそうです。
写真:シリア周辺の模式図
読売新聞オンライン:
ロシアのプーチン政権は、ウクライナ侵略で余力を失い、後ろ盾として軍事支援を続けてきたアサド政権を事実上、見捨てた格好だ。政権崩壊はロシアにとって大打撃で、シリア西部にあるロシアの空海両軍の基地を失えば、中東やアフリカでの存在感低下は避けられない。
タス通信によると、ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官は9日、記者団に対し、アサド氏のロシア亡命受け入れは「プーチン大統領が決定した」と明らかにした。居場所について「現時点で話せることは何もない」とだけ述べた。
タス通信によると、モスクワのシリア大使館では9日、シリア国旗の代わりに、中央に三つの赤い星が描かれた反体制派の旗が掲げられた。
プーチン政権は、強権的なアサド政権を「 傀儡(かいらい) 国家」として支えることで、米欧と対抗するロシアの軍事力や外交力を誇示してきた。2015年には、反体制派勢力に大規模な空爆を行ってシリア内戦に軍事介入を始め、窮地にあったアサド政権を立て直した。
しかし、ロシアは2022年2月のウクライナ侵略開始後、シリアに配備していた防空ミサイルや部隊の一部を本国に移していたとされる。アサド氏の延命よりもウクライナ侵略を優先した格好で、米紙ニューヨーク・タイムズは8日、シリアにおけるロシアの役割について「キングメーカーから傍観者に転落した」と指摘した。
15年の軍事介入の見返りにロシアが手に入れたのがシリア西部のフメイミーム空軍基地だった。タルトゥース海軍基地の機能も強化された。ロイター通信によると、同海軍基地は地中海における露軍の唯一の修理・補修拠点で、空軍基地はアフリカに展開する露軍に物資を届ける補給拠点として使われている。両基地を失う事態になれば、中東やアフリカにおける影響力が低下するのは必至だ。
タス通信によると、反体制派勢力は両基地の安全を確保することでロシアと合意した。ただ、露軍はこれまで、反体制派勢力を「テロリスト」と呼び、空爆を加えてきた。ロシアの軍事ブロガーによると、基地周辺は緊迫した情勢が続いているという。ロシアが基地を維持した場合でも、これまでと同じ運用が可能かどうかは不透明だ。
(引用終わり)