いきなりなんの前触れも脈略も無いけど突然重松清さんのネタ。
重松さんは小学校を数回転校されていて、なんとボクの母校の小学校にも在籍していたのだ。
NHKにも出演していた(ようこそ先輩、課外授業)。
最近、重松さんの文庫本を手に取ってから、たちまちとりこになってしまった。
痛快なストーリーの先には、なにか記憶を目覚めさせるような侘しいエンディング。
そして、
ボクの町の様子が数編に出てくるのだ。
勿論フィクションの上での町の様子なのだが、モチーフにしていることは確かだ。
ここでは、その中の一つについて触れてみたい。
「きよしこ」のなかの「どんぐりのココロ」という章から(中で引用)
「神社のまわりは市営住宅だった。平屋建ての、数件連なった長屋が何棟もある。すべての家のトイレには煙突型の換気扇がついていて、それが等間隔に何十本も並んだ光景は、ひとの住まいというよりなにかの工場みたいだった。」
-中略-
「風向きによってはにおいが雑木林を越えて少年の家まで届く。そんなとき、母親はいつもぶつくさ言いながら、干していた布団や洗濯物を取り込むのだった。」
3枚の写真は現在の様子。10年位前に高層のアパートになってしまったが、まさにここには平屋の市営住宅が何棟も並んでいた。
ぼくの友達も何人か住んでいてよくこのあたりで遊んでいたし、保育園もここを通ってかよっていた。
紙芝居も回っていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/f6/0d46374b6ca4a3b6018c6632e947e3d9.jpg)
これは1976年ころ、赤の丸が市営住宅。そして青い部分が雑木林。雑木林はここしかないので、これより左(西側)に重松さん、いいや少年の家があったと思われる。
においが~、というのは少しオーバーかもしれない。まあ、あのころはみんなウンコ臭かったんじゃないだろうか。
ところが・・・
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/aa/10b0f792aef6e8d878d99f3f6f224f7f.jpg)
ショックだった。青で囲ってた部分、この間まで雑木林だったのに、見事に写真のように切り倒されている。
こんな田舎なのに、もうまとまった林がこれで消滅してしまった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/b9/34d096692973023dc2b3da1fa67d26a6.jpg)
「夕方になると、雑木林に三方を囲まれた小さな神社に来る」
「少年のほうが遅い日は、鳥居をくぐる石段に腰を下ろして「なにしとったんや、おっちゃんまちくたびれてもうたわ」と一言文句を言ってから、やっぱり「なにして遊ぼか」と笑う。
少年がおじさんと出会い、ドングリを拾ったりキャッチボールをする情景に出てくる場所。地元では「こうじんさん」と呼ばれているところ。このすじは古い集落があって、当時でも「雑木林に三方を囲まれた」ようではなかった気もするが、さっきの市営住宅から雑木林に抜ければ、ここにでる。小説の情景とぴったりだ。
実は鳥居は2箇所にあって、石段があるとすれば多分一番上写真の場所であろう。
小説はこのあと、5分ほど自転車で行ったところに海があり、そこに向かうが、それもぴったり一致する。
自分の住んでいる、子どもの頃に遊びまわった場所を書いてくれるなんて、そうそう無くて本当にうれしい限りだ。
それと小説の少年は、ボクのすんでいる町に引っ越す前は、テレビ塔のある「N市」に住んでいるが、僕も生まれは「N市」でしばらく住んでいた。
なんだか偶然が重なって、他人じゃない感じがする。