少し古い映画で申し訳ないが、山田洋次監督の「隠し剣鬼の爪」をDVDで借りてきた。山田洋次は底抜けに優しい心を持った人だ。
原作は藤沢周平の「隠し剣鬼の爪」と「雪あかり」から取っているそうだ。忘れてしまっているので、もう一度読み直そうと思う。この映画の内容は二つに分かれていて、前半がきえのこと、後半が挟間弥市郎との決闘になる。
東北の小藩、海坂藩の下級武士である片桐宗蔵(永瀬正敏)は、かつて片桐家の女中であった、きえ(松たか子)を町で偶然見かける。きえは油問屋へ嫁いだのだった。ところがすっかりやつれている。気にしたままその場は別れるが、2年後、きえが病床に臥せっているうわさを聞き、嫁ぎ先の伊勢屋へ乗り込む。
病のまま放置されたきえを助け出し、宗蔵は家へつれて帰る。この場面の宗蔵の態度には涙が出てくる。山田洋次監督は、なんと優しい心を持った人だと感心する。
気になる場面があった。宗蔵のところで療養中のきえに、はるばる妹のおぶんが訪ねてくる。おぶんはまだ幼い。庭で姉の居ることを尋ね、あがりがまちでぞうりをそろえて脱ぐ。置いてある雑巾で片方ずつ足を拭くと、その場に正座して、ぺこっとお辞儀をして中へ進む。家の中は、奥の部屋で姉が寝ているだけで、後は、まかないの老婆が居眠りをしているだけなのだ。つまり、人目を気にしてお辞儀しているのではなく、身についた習慣で自然に行っているのだ。このなんでもないシーンを山田監督は少し離れたところから丁寧に撮っている。
今どきこんなことをする子供はいない。オイラの幼少の頃、足拭きはあったが、よその家で正座してお辞儀などしない。昔のいいところが、どんどんと無くなっていくような、古いものは否定されていくような、そんなことがあっていいのか?と、年寄り臭いことを考える武兵衛でした。
原作は藤沢周平の「隠し剣鬼の爪」と「雪あかり」から取っているそうだ。忘れてしまっているので、もう一度読み直そうと思う。この映画の内容は二つに分かれていて、前半がきえのこと、後半が挟間弥市郎との決闘になる。
東北の小藩、海坂藩の下級武士である片桐宗蔵(永瀬正敏)は、かつて片桐家の女中であった、きえ(松たか子)を町で偶然見かける。きえは油問屋へ嫁いだのだった。ところがすっかりやつれている。気にしたままその場は別れるが、2年後、きえが病床に臥せっているうわさを聞き、嫁ぎ先の伊勢屋へ乗り込む。
病のまま放置されたきえを助け出し、宗蔵は家へつれて帰る。この場面の宗蔵の態度には涙が出てくる。山田洋次監督は、なんと優しい心を持った人だと感心する。
気になる場面があった。宗蔵のところで療養中のきえに、はるばる妹のおぶんが訪ねてくる。おぶんはまだ幼い。庭で姉の居ることを尋ね、あがりがまちでぞうりをそろえて脱ぐ。置いてある雑巾で片方ずつ足を拭くと、その場に正座して、ぺこっとお辞儀をして中へ進む。家の中は、奥の部屋で姉が寝ているだけで、後は、まかないの老婆が居眠りをしているだけなのだ。つまり、人目を気にしてお辞儀しているのではなく、身についた習慣で自然に行っているのだ。このなんでもないシーンを山田監督は少し離れたところから丁寧に撮っている。
今どきこんなことをする子供はいない。オイラの幼少の頃、足拭きはあったが、よその家で正座してお辞儀などしない。昔のいいところが、どんどんと無くなっていくような、古いものは否定されていくような、そんなことがあっていいのか?と、年寄り臭いことを考える武兵衛でした。