学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

気が滅入った残暑

2007-09-05 22:04:03 | Weblog
今朝は、じっとりとしたいやな空気で目が覚めました。早朝から湿度が高く、不愉快極まりなし。もう長雨で夏は終わりを告げたと思いきや、まだ残暑があったとは・・・。夏に強い私とはいえ、終わったものが再びやって来ると、気が滅入ります。ですから、今日は何も書くことが思い浮かびません。ごめんなさい。

明日は台風の影響で強雨だそう。強雨はいやですけれど、またこれで涼しくなりますね。こうして秋になり、冬になるのか・・・。妙に感傷的な私でした(笑)

文学の旅(案)

2007-09-04 20:13:00 | Weblog
今日は久し振りに朝から快晴。日中もやや汗ばむ陽気にて、残暑に少し苦しめられました。今日の仕事は、展示替えと作品返却。体力仕事でしたが、無事終了しました。夕方からは書類作り。そうはいっても、日中の仕事で体力を奪われており(情けないことに少し腰痛が!!)あまり集中もできませんでしたが、明日へつなげられる文章が書けたかな、と思います。

例の「文学の旅」ですが、次のようなコースとテーマで周る予定になりました。ちなみに電車で行きます。車内で本を読みつつ、周りの風景を楽しみたいと思います。

1日目 宮城県 仙台 土井晩翠と高山樗牛、岩手県 花巻 宮澤賢治
2日目 岩手県 盛岡 石川啄木と明治洋館巡り、青森県 金木 太宰治、
     弘前  弘前城と明治洋館巡り
3日目 秋田県 角館 武家屋敷巡り
4日目 山形県 上山 斎藤茂吉

途中で歴史ものが混じっていますが、お気になさらずに(笑)ちなみに時間の都合で、福島県へよるかどうかは検討中です。こうしてみると、結構東北出身の文学者はいるんですね。彼らがどんな街で育ったのか、散歩して心に感じてこようと思います。


夢の話

2007-09-03 18:26:04 | Weblog
午前は曇天、午後より快晴。夕方、暖かな日和に誘われて、うとうとと午睡。そんななかで見た夢の話。

気が付くと、私は祖父母の家に居ました。家の中は、まるで黄金色のように光っています。それは電灯をつけたような人工的なものではなく、家のなかから発せられているかのようでした。また、いつもは茶の間にあるべきはずの年季が入ったテーブル、違い棚に置かれていた埃まみれの笹野彫、そればかりか、障子すらもなくなっていました。ですから、家のなかが大変広く感じられたのです。

私は裏口を開けて、外を見ると、こげ茶色の盛り土があって、その向こうにバラックの屋根が沢山見えました。ここは畑があったはずなのですが・・・。

祖母の姿が見えないので、いとこをつかまえて、どこへ行ったのかと聞くと、知らないと言います。ちょうど父が二階へ上がる姿を見かけたので、私は後ろから追いかけて行って、同じ質問をすると、もう亡くなったよ、と言われました。いつ亡くなったのかと聞き返すと、8月21日(この日付、なぜか明確に覚えています)だと答えます。そのとき私の世界ではまだ生きているのに、とすぐに思いました。「私の世界」つまり、このとき、私は「現実の世界」と「夢の世界」の存在に気づいていたのでした。

私は外を散歩することにし、家の裏へ周ると、先ほど盛り土があったはずなのに、辺り一面田んぼです。道のそばで、一人の男性が座っています。男性は暑いらしく、ハンカチで額を拭きながら、私にメモを渡し、この人の住所を知らないかと聞きます。私はその人の住所を知っていました。けれど、この人が今はメモにある場所に住んでいないことも知っています。私は「彼ならもう引越ししていないよ」と答えると、男性はいなくともかまわないから、そこに案内して欲しいと言うのです。私はしぶしぶ男性を案内しました。

その場所に着きました。なんと申せばいいのか。神社の社の上に何故か押入れがあって、彼はかつてそこに住んでいたのでした。(自分で書いていても意味が不明です。ごめんなさい。)とても古くて巨大な神社で、押入れも開くのかどうかわからないほど朽ちていました。私は、「昔は10メートルくらいのはしごを使って、彼は家から出たり入ったりしていたのです。」と男性に説明をしました。男性は随分納得してくれて、もう充分だよ、と私に言いました。

場所が変わって、私は書店で本を探しています。目がかすれて、うまく本の背表紙が読めません。私は一冊の本を手にとって、中を開いてみました。本のなかには、見たこともないほどの美しい色彩が広がっていて、そこに作者の詩が書いてありました。なんと書いてあったのかは記憶がありません。すると、私のすぐ横で女性のくすくすと笑う声がしました。私が横を見ると、白いワンピース姿の女性が前を向いて、右手を口に当てて笑っているのです。私はその女性を見たことがありませんでした。女性に話しかけようとした、そのとき・・・目が覚めてしまいました。

よくも、まあこれほど明確に夢を覚えているものだと思いますが、そんな不思議な夢の話でした。

文学の旅(予習)

2007-09-02 18:12:32 | Weblog
午後から疲労した体を引きずって、書店へ出かけました。来週から「文学の旅」に出るに伴い、必要なガイド等を買ってきたわけです。

まっぷる「東北」
→旅行ガイドの定番ですね。これを読んで具体的に行く場所を決めます。

プルーストリー著「イングランド紀行」
→旅行後、文章でまとめる機会があるかもしれないので、
 参考までに買いました。本当はゲーテの「イタリア紀行」が
 欲しかったけれど、売っていなかったのです(泣)
 でも立ち読み(失礼!)した限り、なかなか面白そう。

太宰治著「津軽」
→太宰はあまり好きじゃないけれど、滅多に青森へ行く機会もないわけですから、
 しっかりと彼の著作も読んで行きたいと思います。

さて、どんな旅になりますやら。明日はいよいよ行先決定です!

はじめての展覧会

2007-09-01 21:51:18 | Weblog
ここ数日の霧雨で、すっかり気温が下がりました。殊に今朝は肌寒いほどで、相変わらずの曇天模様と重なって、なんだか心持がよくありませんでした。ようやく忙しかった一週間が終わり、来週はやや落ち着いて仕事に臨めそうです。明日も午前中は出勤ですが、午後はお休み。少しでも休みがいただけるだけで、ありがたみを感じる今日のこのごろ。

今日のブログは長いので、お茶でもすすりながらどうぞご覧下さいまし。

さて、今日は、私が初めて展覧会なるものに行った時の思い出を書いてみたいと思います。私の頼りない記憶によれば、初めて見た展覧会は仙台市博物館の「大名の精華」展です。確か中学一年生だったように思います。もちろん、それ以前にも博物館へ行ったことはありましたが、「展覧会」を意識したことはなく、展示してある作品を断片的に覚えている程度でした。この展覧会には、友達と2人で見に行ったのですが(実にしぶい中学生でした:笑)、実は見に行こうと思って見た展示ではなかったのです。そのいきさつから始めましょう。

中学生の時分、私は科学部でした。入部してすぐにグループ研究をすることになり、私は仲のいいE君と共に化石の研究をすることにしたのです。そこで研究をするには、まず本物の化石が必要だということになり、実際に取りに出かけることにしました。実は化石の採掘場所として仙台市博物館の西には竜ノ口渓谷と呼ばれる場所があり、そこの地層からは様々な化石が取れることを知っていたのです。いわゆる、いわくつきの場所でもあるのですが・・・。私とE君は、早速化石を取りに出かけることにしました。

運動のしやすい格好で、長靴を履き、いざ出陣!!仙台市博物館前のバス停でおり、私たち2人は期待に胸をふくらませ、意気揚々と目的地を目指しました。竜ノ口渓谷入口についたのは、おそらく午前9時頃でしたでしょうか。なんだかいやな予感。なぜなら、川のすさまじい轟音を聞いたためです。これはもしかして、と川の見える位置まで歩くと、とても人が入れるような状態ではありませんでした。前日の雨で水かさがかなり増し、水流もうなるような激しさだったのです。いつもはくるぶし程度の水量が、ひざほどまできているのですから、これはお手上げ。我々2人は、とぼとぼと帰途に着くことにしたのです。その途中、歴史好きの私たち2人は、折角だからというので「大名の精華」展を見ることになった、そんないきさつでした。

「大名の精華」展では、仙台伊達家の意匠や茶道具、武具など、斬新なデザインではありながら、質素な調子を失わない作品たちが並んでいました。開館してすぐに来館したため、他のお客さんもおらず、ゆっくりと楽しむことができました。ただ・・・私たち、とても博物館を見学するようないでたちではありませんでしたから(特に長靴)、少し冷ややかな監視員の視線を子供ながらに感じましたけれど・・・。でも、自分も監視員だったら、同じく冷ややかな目をするでしょうね(笑)あんまり面白かったので、図録を買おうと思いましたら、結構高い。それはあたりまえ、中学生の感覚では、2千円、3千円する図録は高いですよね。でも、無理して買いました。このとき、買うかどうか随分悩みまして、E君から早く決断しろと言われました(笑)「あのときはさあ~」と今でも言われるときがあるくらいですから。無理して買ったおかげで、絶対に元はとってやろうと図録を隅から隅まで読みました。今はだいぶ色があせてしまったけれど、大事な大事な思い出の本として、私の本棚に置いてあります。

少し長めでしたが、私が初めて見学した、そんな展覧会のお話でした。

文学の旅(仮)

2007-08-30 22:08:07 | Weblog
ここ数日、すっかり涼しくなりました。帰り際、駐車場でコオロギを見つけました。私の存在に気づいたのか、コオロギは飛び跳ねてしまい、すぐにどこかへ消えました。8月も明日で終わり。秋がやってきますね。

さて、以前申し上げていた9月の連休ですが、東北一周の旅に出ようかと計画中です。テーマは名づけて「文学の旅‐東北篇‐」です。(ちなみに関東篇や中部篇などをやるかは全くの未定です)5日間の連休、文学に浸ってこようかな、と思うのです。ちょっと地味ですかね(笑)

今のところ固まっているのは、岩手県の宮沢賢治、石川啄木、青森県の太宰治、山形県の斎藤茂吉のゆかりの場所を・・・。つまり、ほとんどまだ思いつきの段階で、具体的な計画には着手していないのです(笑)これからコースなどを考えてみたいと思います。

たまには豪勢なディナーを!

2007-08-29 22:40:59 | Weblog
今日は久し振りに友達と外食をしました。イタリア料理です。平日だったせいか、お店は私たちの貸し切り。お店の人が、私たちのテーブルにキャンドルを灯してくれて、雰囲気だけはとてもロマンチック。でも、男2人じゃあ絵にならないよねえ(笑)男2人で何の話をするかと申せば、もっぱら仕事の話。そうはいっても、真面目で深刻なわけではなく、ときどき笑いながらの軽めのお話。人と話をすると、とてもリラックスします。同期ですから、ほとんど気を使わなくてもいいのがまた良かったりしてね。コース料理は大変おいしかったです。次に来るときには、手打ちパスタをいただこう!と決意表明?して帰ってきました。

リラックスしたところで、また明日から仕事を頑張ります!!

随筆 クモのある部屋

2007-08-28 22:12:28 | Weblog
夜。往来を行く車も少なくなり、虫の音がいっそう聞こえるようになった。虫の音はどこか淋しげで、早くも秋のわびしさがそこはかとなく感じられる。時折吹く風もきわめて涼しく、そんな風にススキがそよそよとなびいている。季節が夏から秋に変わるときほど、さびしいものはない。それまで賑わっていた何かが少しずつ消えうせてしまうような感覚がある。

今、部屋の中にいるのは私と一匹の虫である。その虫は、残念ながら美しい音色を奏でることはない。なにしろ、クモなのだから。天井に張り付いたきり、ほとんど動かない。人間と同じでクモも動かない方が楽なのかもしれない。ただ、人間の場合は、それを怠惰という。

私はクモが嫌いである。私の実家は、夏場になると異様にクモが繁殖する。そのたびごとに私はクモを退治していた。だが、あるとき突然退治するのがいやになってしまった。あまりに増殖しすぎて、もう勝手にしたらいい、と私は根負けしたのだった。以来、クモを見るたびに心持が悪くなる。

そういえば、子供の頃に呼んだ昔話で「夜のクモは縁起が悪い」と書いてあったのをふと思い出した。なんでも夜に現れるクモの正体は、妖怪なのだそうだ。妖怪が、家を偵察に来ているという話である。そう考えると、我が部屋もいよいよ妖怪に狙わるはめになったらしい。しかし、狙われる理由がわからない。

天井のクモが少しずつ動き出した。ゆらりゆらりと揺れながら、糸をたどって、カーテンのほうへ向かっている。どうも偵察がすんだらしい。どんな報告がなされるのか知る由もないが、きっとろくなことは言うまい。

こうして再び部屋には私一人が残された。私の心持を悪くするクモではあるが、いなくなればなったで、少し寂しい感もある。ここで動いているのは、私だけ。人間、心細いと虫にすら友情を求めたがる。

休館日出勤!

2007-08-27 21:19:52 | Weblog
本日は、月曜日のため美術館は休館です。よって、本来なら学芸員も休みのはずです。けれども、今日は展示替えのために休日出勤をしました。本来、2、3日かけてやるべきことを1日でやってのけようという話です。忙しかったのですが、おかげさまで何とか展示替えが無事すみ、明日から再び新しい展示でお客様を迎えることができそうです。

ちなみに、今回の展示ではキャプション(作品タイトルや制作年、サイズ等の情報を記すプレートですね)記載事項と配置を少し変えました。記載事項は「技法」と「サイズ」を取ってしまい、最低限の情報のみにとどめ、その代わり文字を大きくしたのです。また、これまで額の大きさに合わせて、絵の左側にキャプションを配置していたのですが、全て一定の高さにそろえることにしました。目の上下の移動が疲れることと、なによりキャプションが下過ぎて見えにくいとの声が寄せられたための対処法です。これで少しでも見やすくなってくれれば良いのですが・・・。

明日から、また沢山のお客様が来てくださることを祈ります。

福島県猪苗代へ行く

2007-08-25 20:30:57 | Weblog
なんとはなしに福島県の猪苗代へ行ってきました。

始めは、裏磐梯にある諸橋近代美術館へ行きました。道中、車で山を登っていくわけですが、大変に涼しい。道路にある「ただいまの温度」はなんと26℃。どうりで涼しいわけですね。

諸橋近代美術館へは、かつて美術館ツアーの同行で伺ったことがあります。あのときは、ツアー参加者のお世話をするのに精一杯で充分に作品を観ることができなかったのですが、今回は一人でのんびりと堪能しました。ダリの不思議な世界に頭をほぐされて、新収蔵品であるシスレーの作品をみたり・・・。始めは軽くざっと見て歩き、印象に残った作品をじっくりと考えながら見ていく方法で見学しました。絵を見ることは、自分自身と向き合うことでもあるような気がします。とても充実した時間を過ごすことが出来ました。

次はもはや修学旅行の定番となった野口英世記念館。ここに行く予定はなかったのですが、かつて小学校時代の修学旅行で来たことがあったので、どんなものだったろうかと見てみました。そういえば小学生のとき、野口英世に憧れたものでした。よく伝記を読んで、いろりでの事故や苦学して医学を修めたこと、そして病におかされた野口が発した「わたしにはわからない」の悲しい最期の言葉。懐かしい記憶がよみがえります。館内はあまりにもお客さんが居過ぎて、ゆっくりと見るわけにはいかなかったのですが、野口英世に向学心を忘れないよう諭された気持ちになりました。

最後は天鏡閣です。明治後年に作られた洋館です。建物のなかは大変素敵!!アールヌーヴォー様式の内部。純和風の立派な日本家屋にも憧れますが、こんなロマンチックな生活も憧れますね。戸外ではハーモニカによる野外コンサートが行われていました。洋館を見ながら、戸外から流れてくるハーモニカのリズムに耳をすまし、心が大変休まります。今まで色々な洋館を見ましたが、天鏡閣はベストです!!(写真は天鏡閣です)

こうして、またも日帰り(連休が取れないのです:泣)の旅が終わりました。大変疲れましたが、やはり満足のいく旅でございました!!