学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

カタログづくり佳境

2017-08-09 20:26:09 | 仕事
夏真っ盛りですが、夜になると虫の音が少しずつ聞こえるようになりました。我が家の狭い庭でも、野菜を収穫していると、ときどき小さなコオロギを見かけます。秋の到来が近づいているようですね。

近づくといえば、現在取り掛かっている展覧会のカタログも佳境に入ってきました。あとは論文を残すばかり。一番の大変な部分ではありますが…。ゴールが見えてくると、仕事にもメドがついてきて、大きなプレッシャーからは解放されつつあります。あとは、あいさつパネル、解説、音声ガイドの原稿作成…まだまだありますが、たたき台はカタログでできているので、それを応用すれば大丈夫そう。早く展覧会が立ち上がって、美味しいものを食べに行きたい!!(笑)


「戦国!井伊直虎から直政へ」展を見る

2017-08-08 21:07:43 | 展覧会感想
現在、NHK大河ドラマで「おんな城主 直虎」を放送しています。日曜日は仕事のことが多いので、今はなかなか見れていないのですが、以前はよく大河ドラマを見ていたものでした。武田信玄、独眼竜政宗、信長、秀吉などなど、いずれもだいぶ昔の放送になりますけれど、もっぱら戦国時代を好んで見ていました。さて、東京での展覧会は終わってしまいましたが、江戸東京博物館で「戦国!井伊直虎から直政へ」展を見てきました。

展覧会は、そのタイトル通り、今川家と井伊家との関係から始まり、徳川家に仕えて大坂の陣を迎えるまで、井伊家がどのように戦国期を生き抜いたかがテーマ。「直虎」自体の資料はそう多くはないのですが、その周辺の資料を展示することで、戦国期に置かれた井伊家の立ち位置がどのようなものであったのかを浮き上がらせています。展示資料が多いぐらいで、とても見ごたえが十分。そのなかでも、私が面白いと思ったのは《太原雪斎木造》です。今川家の外交を担った僧の木造なのですが、造形がなかなか興味深いものでした。といっても、私は彫刻は素人。素人目に見た感想です。《太原雪斎木造》の顔の表情、具体的には額のしわ、目つき、口廻りなど、その場に雪斎僧がいるかのような写実的な表現に見入りました。というのは、日本では運慶や快慶に代表される鎌倉時代の一連の彫刻に写実性を見ることができます。彫刻の技術としてそれが長く続くことはなかったのですが、《太原雪斎木造》にその名残のようなものを見たような気がしたのです。鎌倉時代のような真に迫るような迫力はないけれど、どこかその影を引きずっているような印象。興味深いものがありました。

さて、展覧会はこのあと静岡県立美術館、彦根城博物館へも巡回するそう。もう一度、観に行ってみようかな。

『うつヌケ』を読む

2017-08-07 22:06:02 | 読書感想
もう10年近く前になるでしょうか、仕事や人間関係のストレスから気力が全く沸かなくなり、一度だけ心療内科のお世話になったことがありました。そのときはすでにこのブログは立ち上がっていて、当時の文章を読むとかなり暗くて、マイナス思考のことしか書いておらず、今読むとちょっと怖い感じがします。診断の結果は、軽度のうつ。仕事は休むことなく、薬を飲み続けて、すぐに回復しました。当時の私はこん詰めて仕事をするタイプだったので、途中に必ず休憩を入れて、休憩時間には展覧会会場へ足を運んで絵を見るようにしていました。それが薬と共に、だいぶ心の癒しになったようです。

このあいだ、書店にいったときに『うつヌケ』(田中圭一著 KADOKAWA)という本がありましたので買ってきました。これは著者を始め、うつを抜けた人たちの体験談が漫画としてつづられている本です。田中さんの漫画のタッチが手塚治虫さんや藤子不二雄さんと似ているので、とても親しみやすく読むことができました。うつになるきっかけ、そして脱出するきっかけは、十人十色。もちろん、薬による処方は大切なようですが、自己分析をしたり、ひょんな出来事から抜け出すこともあり得るようです。

読み見終えて感じたことは、みんな色々な人生を生きていて、悩みを抱えていて、頑張っているんだなあということ。最近の私は自分のことばかり考えていて、あまり周り(他人)に目が向いていなかったのかも。改めて実感した次第です。著者が断っているように、この本は医学的なアプローチをしているわけではありません。けれど、体験談を読むことで、一筋の光となることは大いにありうることなのではないでしょうか。扱っているテーマは重いものかもしれないけれど、田中さんのタッチによるライトな感じが安心感を与えてくれます。今の私はうつ状態ではないのですけれど、あのときにこういう本を読んでいれば、また違ったのかなあと思いました。いい本に巡り合えたことに感謝です。


夏は野球が熱い

2017-08-06 21:08:34 | その他
以前から挑戦しているストラックアウト。ここのところ、4回連続で4枚どまり。なかなか4枚の壁を破ることができません。原因は…と考えてみたところで、もう思いつく方法がありません(笑)たぶん、普段から軟球を触っていれば違うのかも、と思いつつも、軟球ボールを1球買うほどのことでもなし。そう考えると、球のコントロール、スピード、と高校野球もプロ野球もピッチャーはすごいということが身をもってわかります。

高校野球は甲子園大会がもうすぐ開幕。月曜日だけは一日休みなので、テレビ、ラジオ中継を楽しめそうです。プロ野球は、楽天の順位が気になりますが、けが人続出でなかなか勝ち星がつかなくなってきました。このブログでも紹介した権藤博さんのコラムで「層の厚さ」を紹介しましたが、楽天のけが人の多さから考えると、けが人を抱えつつも層の厚いソフトバンクが順当に勝っていきそうな予感もします。地元ひいきですが、ソフトバンクと楽天の今後の戦いが気になります。

と、今日は野球のことをつらつらと書きました。私は野球はやるより、やはり見るほうかな(笑)高校野球にしろ、プロ野球にしろ、ナイスゲームが見られる夏であることを祈っています。

「川端龍子ー超ド級ーの日本画」展をみる

2017-08-05 21:24:42 | 展覧会感想
私の大学時代のゼミで、川端龍子(かわばたりゅうし)を研究していた同級生がいました。ゼミ内での研究発表会で、彼は龍子の魅力を熱く語ってくれたのですが、彼が具体的にどんなところを魅力として考えていたのかは、もう私の記憶にあらず。彼が発表した内容を知るためには、実家の押し入れにしまってあるゼミのレポート集を読むしかありません。

川端龍子没後50周年の展覧会が、山種美術館で開催されています。龍子の代表作が一同に会するとのことで、見るのを楽しみにしていた展覧会です。私が見たかったのは《香炉峰》(1939年)です。図版で何度も見ているのですが、ぜひ本物を見てみたいと。実際に見てみると、「超ド級」、とにかく大きくて、やはり図版で見るのではインパクトが違う。龍子の爆発的なエネルギーを感じさせる作品です。この作品、中国上空を飛んでいる航空機がスケルトンになっている。航空機の部品が何だかリング状の特殊なビームでも発射しているかのような。日の丸はオレンジ。戦争と関わっている作品なんだけれど、そこまで戦争にこだわっている感じはしなくて、むしろそれを利用して日本画としての新しい試みをやっているように見えます。同作品の前にちょうど椅子が置かれていて、ついつい5分ほどぼんやりと眺めていました。このほか、良かったのは《龍巻》(1933年)。まるで海の底が抜けたかのように落下していくサメやエイ、クラゲなどが描かれています。とても躍動感のある絵なのですが、でもどこか「落下する」というあまりいいイメージを与えないところが妙だなあと。太平洋を舞台に迫りくる戦争に向けての「死」のイメージなのでしょうか。

龍子の絵を見ていて、冒頭に出てきた彼の姿が思い浮かんできました。大学時代の私は、自分の興味のある分野しか突っ込んでこなかったから、龍子にほれ込んでいた彼の言葉があまり頭に入っていなかったのかもしれません。今なら色々な話ができそうなのに。

それはともかく見ごたえアリの展覧会です。前期展示も見たかった!8月20日までの会期です。

久しぶりのパニック障害

2017-08-04 21:19:46 | その他
今日は休暇を利用して、都内をぶらぶらして遊んでいたのですが、久しぶりにパニック障害の症状が出ました。お昼を食べていると、ぶわっと襲ってくる大きな不安。午前中から体の調子が変だなあとは思っていたのですが、まさに予感的中でした。そうして、ああ、ここで倒れてしまったらどうしようとか、倒れたらお店の人に迷惑をかけてしまう、とか、頭の中がぐるぐる回りだし…。

パニック障害で死ぬわけではないので、気持ちをほったらかしにするしかないのですが、久しぶりすぎて非常にびっくりしました。5分ほど気持ちをほったらかしておいて、きちんと昼ご飯を完食したのですが、また同じ症状がきたらどうしようかと不安に。

原因はたぶん考えすぎ。何を考えすぎるのか。思い当たるのはやはり仕事のこと。今度担当の展覧会がうまくいくかな、カタログが上手に作れるかな、他にも思い当たる節は多々あり。一応、仕事はタイムスケジュール通りに粛々と進んではいるのですが、もう少しやるべきことを具体化して、不安の正体を洗い出すしかないなと帰り際に思いました。

私はどうも仕事のときよりも、プライベートのときにこういう症状が起こりやすいみたい。気を抜いた時にやってくるのかな。まったくこまったものです。

カタログの解説

2017-08-03 22:17:27 | 仕事
現在、引き続き展覧会のカタログを制作しています。今はもっぱら作品ごとに解説を書く仕事。私の場合、文章を書く仕事はなるべく午前中のうちに済ませるようにしています。というのは、午後になると、午前中の疲労が出て、どうしても煮詰まりやすく、文章にひらめきがなくなるから。午後は体を動かす仕事をこなして、うまくバランスを調整しています。以前は、自宅で文章を考えていたこともありますが、能率が挙がらないことが多いので止めました。自宅でやるなら、朝早起きして書くのがベストかもしれません。

解説が終わったら、次は写真撮影。まだまだ続くカタログの仕事。ひとつひとつ山を越えていくしかありませんね。

野菜を中心にして

2017-08-01 22:18:09 | その他
体を壊したのを機に、健康に気をつかうようになった私。心の中ではまだまだ頑張れる、と思っていても、体がついていかないことがしばしば。それにビールも350mlがつらくなってきたし、辛いものを食べれば腹は痛くなるし、私も若くはないんだなあと実感してます(泣)

いま、健康のためにしていることのひとつが野菜をメインにした食事です。当たり前といえば当たり前のことなのですが、それができていなくて、特に晩御飯はお肉中心のこってりメニューで編成していました。それを見直して、野菜で一皿、例えばサニーレタス、ピーマン、パプリカ、トマト、そのうえにハムとしらすを乗せて出来上がり。おかずはそれだけで、ごはん、みそ汁をつけて完成です。いろいろな本を読んでみると人間は朝、昼、晩の順序で、食事の量を落としていいのだそう。夜は寝るだけなのだから、ほどほどに食べて寝るのが一番なのだとか。

展覧会が近くなると、毎回かなりの体力を使います。健康には気を付けて乗り切っていきたいものです。