学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

伊達政宗の絵

2016-03-17 21:25:03 | その他
今日も引き続き晴れて穏やかな一日。花粉が相当舞っているようで、車のフロントガラスが黄色くなっていました。職場では、くしゃみがちらほら。私はマスクをしているせいか、例年よりは症状がひどくなく、ありがたい限りです。

先日、何気なく戦国大名の伊達政宗のことを調べていたら、昨年の秋に政宗の自筆による軸物が宮城県塩竈市の旧家で発見されたとの記事を見つけました(『河北新報』2015年10月29日)《梅二雀》と題されていて、専門家の調査によれば江戸時代前半の狩野派風であるとのこと。

伊達政宗は言わずもがな、戦国時代末期に東北地方の各領土を席捲し、一大勢力を築いた人物。豊臣秀吉、徳川家康と流れていく時代のなかで、伊達家のリーダーとして難しい舵取りを迫られながらも切り抜けます。これらの実績は彼が政治力にも武力にも長けていたことを示すものでしょう。

その一方で、彼は料理を始めとして能や和歌にも造詣が深い人物でした。今回の絵の発見によって、政宗の趣向がさらに広かったことがわかります。

写真で絵を見る限り、墨の濃淡や雀の描き方はこなれていて、絵の練習を幾度か繰り返したうえで描いていることがわかります。こんなオールマイティな戦国武将はなかなかいないのではないでしょうか。

改めて、伊達政宗の人間の深さというものを目の当たりにした気がします。

ドッペルゲンガー登場

2016-03-16 22:22:27 | その他
今日も心地よい暖かな陽気に恵まれました。昼休みに散歩をすると汗ばむくらいで、明日はもっと気温が上がるそう。最近、暖かくなってきたせいなのか、夜分によく鳥の鳴き声が聞きます。このブログを書いている今、夜10時過ぎになっても鳴き続けています。一体どんな鳥なのでしょうか。気になるところです。

昨夜、夢のなかで初めてドッペルゲンガーと会いました。しかも、目の前に私が2人いるのです。私は特に不思議にも感じずに、その2人を見つめていました。すると、相手の1人がこんなことを言ったのです。

「俺たちは元々1人だった。だから、再び俺たちが1人になれば、今まで以上の力を発揮できる」

彼はそう言うと、もう1人の私とともに、私(本人)のなかに飛び込んできて、体が融合したのです。そこで金縛りのように体が動かなくなって、なんとか体を動かそうともがいていると現実の世界で目が覚めました。冷や汗がたらり。

そんな朝を迎えて、今日もいつもどおり仕事をしてきましたが、とくに今まで以上の力を発揮できたわけでもない(笑)

ドッペルゲンガーといえば、芥川龍之介。小説の題名は忘れましたが、たしかどこかの温泉に養生しに行って、温泉場へ向かう途中に自分自身とすれ違ったとか、そんな話だったような気がします。

いつものことながら不思議な夢です。夢占いでは、ドッペルゲンガーで凶夢の場合はストレスについて警告を発しているらしいのですが、私の場合は別にストレスも感じていないし、凶夢というほどでもなかったので、特に気にもせず。

ただ思うのは、最近夢ばかり見るので、夢も見ないほどぐっすりと眠りたいものです(笑)

文化財の活用

2016-03-15 22:15:31 | 仕事
今日は4、5日ぶりに太陽が顔を出して、春らしい暖かな陽気でした。晴れると花粉が飛びやすくなって、花粉症がひどくなるものの、曇りや雨よりはずっと心持ちは高揚します。

ここ数日、新事業を立ち上げるために他の事例を調査したり、関係者と連絡を取って調整する仕事に取りかかっています。新事業とは、簡単にいえば現在指定している文化財の活用。私の務めているところは、長年にわたって文化財の調査や研究が進められた一方で、それらを市民に還元して活用を図るような事業がこれまであまりなされてこなかったという反省があります。そこで、展覧会を始め、ワークショップや講座などのアウトプット事業を実施しようという計画なのです。こうした試みは私が美術館に勤めていたときに、毎年数多くこなしてきた経験があるので、私が主導して進めているというわけです。問題は、ノウハウはあるものの、美術系と歴史系では活用方法が微妙に異なってくるので、どうすりあわせていったら良いかが悩みどころ。歴史系の職員にアドバイスを頂きながらの進行です。

文化財を活用することで参加して下さったお客様が喜んでくださるよう、そしてそれが地域の文化を保護したり、新たに文化を創造する方向へ進むよう、頑張っていきたいと思います。

5年前の今日は

2016-03-14 21:10:55 | その他
ここ数日は曇り日が続き、今日は雨がポツポツと降っています。先日、群馬県館林市の城沼へ梅を見に出掛けたのですが、満開にはもう少しかかるようで、まだところどころ寂しそうに咲いていました。水戸の偕楽園もまだ梅を見るには早いでしょうかね。早く暖かくなって、満開の梅を見たいものです。

5年前の今日は、東日本大震災が起きてから4日目。当時、美術館に勤務していた私は金・土・日曜日の3日間は震災の対応に追われ、ようやく月曜日になって家の片付けができるようになりました。この日は忘れられない嬉しいことがありました。震災後、初めて両親と電話が繋がり、会話をすることができたのです。3月11日の震災後すぐに身内と会話でき、両親が無事だったのはわかっていたのですが、やはり声を聞くまでは心配でした。母は涙ながらの会話でしたので、言葉が聞き取りづらいところもあったのですが、ひとまず安心。でも、連日テレビで報道される大震災の被災状況を見ると、家族は助かったものの、複雑な心情があったことを覚えています。

5年たった今、被災地の復興にために、私には何ができるのか。改めて考えてみたいと思いました。

5年前の震災前夜

2016-03-10 22:11:05 | その他
明日で東日本大震災から5年が経ちます。幸いにも、宮城県の実家は家こそ地震で傾いたものの、家族は全員無事で、今は震災前と変わらぬ日常を過ごしています。

大震災の前日、私は何をしていたのだろう。私は4月から開催する展覧会の準備に追われていました。出品作品の最終確認をしていたように記憶しています。また、美術館は3月12日にイベントを控えていたので、その準備も同時並行で行っていました。多忙な日常を過ごしていたようです。

続けて、もしかするとと思い、5年前のこのブログの記事を探して見たところ、3月10日分が残っていました。それによれば、どうも花粉症に悩まされていたよう。なんと他愛もないことか。けれども、そういう他愛もない日常が幸せなことなのだと、震災後に気付かされました。

津波で大きな被害を受けた沿岸部の人々、原発事故の影響で未だ故郷に帰ることができない人々、震災で心に大きな傷を負った人々。

一刻も早い復旧、復興を心から願うとともに、心やすらかになられますよう願っています。

マンガのこと

2016-03-07 20:30:06 | その他
高校生ぐらいまでは随分マンガを読んだものでしたが、大学生になってから、さらに就職してからはほとんど読まなくなりました。

ところが、先月に文化庁メディア芸術祭でマンガ部門を見てからというもの、どうもマンガが読みたくて堪らなくなり、東村アキコさんの『かくかくしかじか』と羽海野チカさんの『3月のライオン』を買ってきました。

読んでみると、2冊とも新鮮な感じを覚えます。本格的に女性作家のマンガを読むのが初めてのせいもあるのかもしれません。というのも、私が学生時代に読んでいたマンガは、週刊少年ジャンプで連載されていた鳥山明さんの『ドラゴンボール』、北条司さんの『シティーハンター』、井上雄彦さんの『スラムダンク』など、どれも男性作家による男性が主人公の物語で熱いストーリーが多かったので。

さて、マンガのことで余談ですが、大人になって様々な小説を読むようになってから気づいたこと。それは荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』のことで、第3部に登場する「爆弾じかけのオレンジ」の話はアンソニー・バージェスの『時計じかけのオレンジ』から、第4部のボス役の吉良が大事に持っている人間の手首は、川端康成の『片腕』から、それぞれインスピレーションを受けていたのではないのかな、ということ。それらは、あくまで私の勝手な想像によるものなのですが…。

さて、『かくかくしかじか』も『3月のライオン』も、それぞれ面白くて、これから続巻を読むのが楽しみです。


イチゴのはなし

2016-03-06 17:11:05 | その他
フルーツショップの前を通りかかったとき、見慣れないイチゴが目にとまった。イチゴをコンデンスミルクに包んだような優しい色合いで、品名には「淡雪」とあった。江戸にでもありそうなレトリックの効いた名前である。物珍しさに買って食べてみることにした。

食べる前に感じたのは香りの良さだった。イチゴの入ったケースを開けたときの優しくて甘い香り。こんなにも芳醇な香りがするイチゴは初めて。味は、自然で上品な甘さ。食べ終わった後も、口の中にほどよい甘さが残り、余韻を楽しめるほどだった。あとで調べてみると、「淡雪」はなかなか手に入りにくいイチゴだそうだ。食べることができたことに感謝である。

イチゴといえば、福岡県の「あまおう」、栃木県の「スカイベリー」がメジャーだが、私が気になっているのは宮城県山元町で栽培されている農業生産法人GRAの「ミガキイチゴ」である。職人の技とIT技術による管理によって生産され、積極的にブランド化を進めている。キャッチフレーズは「食べる宝石」。それに沿うように、ブランドのマークも、イチゴを宝石に見立てたデザインを採用して、グッドデザイン賞も受賞している。オンラインでの注文も受け付けているようなので、ぜひ食べてみたいイチゴだ。

『風が強く吹いている』を読む

2016-03-05 22:38:59 | 読書感想
春の風に鼻をくすぐられる感じだったのに、今日は泉のようにこんこんと鼻水が湧いてくる。今年もきちんと花粉症になったらしい。

三浦しをんさんの『風が強く吹いている』を読み終えた。マラソン経験のほとんどない大学生10名が、箱根駅伝で頂点を目指すというストーリー。彼らは突如として降って湧いた箱根駅伝の話に、当初は反発を繰り返しながらも、徐々に心がひとつにまとまっていく。

私の人生において、ひとつの目標に向かい、全員の力がひとつになるという運動部の経験はあまりない。中学校は文化部だから無縁だし、高校の弓道部では、みんなの心はバラバラのまま、たいして実績も残せずに引退してしまった。その程度の経験なので、本を読んで思ったことは、なんて熱くて若い美しい話なんだということだった。特に、神童(登場人物のひとり)が激走した場面では不覚にも涙が出そうになった。

私と箱根駅伝との距離はこれまで遠いものだった。宮城県の育ちのせいか、舞台となる首都圏にはまず縁がないし、陸上競技にもさほど関心がなかったからである。しかし、この本を読んで距離が縮まった。箱根駅伝は1月に終わったばかりだが、来年はぜひ見てみたい。

ちなみに、本の装幀に使われている絵は山口晃さんによるもの。本の内容は、その絵によって全て語られている。


春の風、梅林、今宵

2016-03-03 23:01:54 | その他
春の風に鼻をくすぐられながら、とある庭先に植えられた梅の、その盛りを見ていた。梅を見て、私はどこか懐かしい心持ちがしていた。ふと思い出したのは、私が学生時代に見た黒田清輝の《梅林》だった。晩年の黒田が描いた作品で、若い頃の写実性はないが、強いタッチでしっかりと梅の木のイメージを捉えているものだ。私の目の前にある梅の木は、黒田のそれとよく似ていた。実景から絵画を思い浮かべる感覚は久し振りのことである。

久し振りといえば、今日は妻が実家に帰っているため、一人きりの夜を過ごしている。

私は10年以上、一人暮らしをしてきた。晩ごはんは好きなものだけ食べる。浴びるほど酒を飲む。本を好きなだけ読む。ブログをガリガリと書いていく。深夜はラジオを聞いて寝る。そんな生活をずっと続けてきた。

結婚してから、ひとりの時間がふたりの時間に変わった。晩ごはんを食べながら、お互いの1日の出来事を話す。食後は、ふたりでDVDの映画を見たり、趣味の時間を取ったり、部屋の掃除をしたり、ときどき酒で乾杯をする。当初は共同生活になかなか慣れなかったが、今ではそれが日常になって、違和感もさほど感じなくなった。

そうした生活に慣れてきたため、以前のような一人きりの夜がなんだか落ち着かない。人間とは困ったものだ。落ち着かなさを感じながらも、今宵もいつものように更けてきた。時間はどうにも止まらない。そろそろ筆を置いて、寝ることにしよう。

悪夢付きで風邪でダウンする

2016-03-01 20:50:07 | その他
またまた風邪でダウンしてしまいました。季節の変わり目のせいなのか、情けないことです…。

ダウンする夜、嫌な夢を見ました。悪夢というやつです。夢のなかでも頭がクラクラするほど高熱な私。なぜか私は実家にいて、両親に病院へ連れて行ってくれとお願いするも、「大した熱ではない」と言われて放って置かれる。ともかくも、職場に電話して休むことを伝えなければならないとiPhoneを手に取るけれど、なぜか職場に電話がかからない。やっとつながったと思ったら、前の上司へかけてしまっていて、しかもやたらと話が長い。申し訳ないと思いつつも無理やり電話を切って、再度職場にかけようと思ったら、iPhoneがiPadになっていて、もうどうにもならない。そのうち、左手が異様にむくんできて、さらに高熱になる。再び親に病院に連れてってくれとお願いするも、やはり相手にされず。とにかく顔だけでも冷やそうと、洗面所で顔を洗い、自分の顔を鏡で見るとびっくり。右目がつぶれていて、額にはピストルで撃たれた後がある…というもの。

これ以上ないというくらいの悪夢でした。これから高熱が出るという体の警告だったのかもしれません。幸いなことに、自然治癒力にかけて、ビタミンCを取って寝てばかりいたら、いつの間にか熱が下がりました。

しかし、やはり思うことは、健康というのは幸せなことだということです。