学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

部屋の片づけ

2016-01-31 21:46:41 | その他
今日で1月が終わりとなります。ありがたいことに、充実した毎日を過ごしていたせいか、1月はあっという間に終わりました。

思えば、1月1日に神社でおみくじの中吉を引いて新年が幕を開けました。今年はやりたいことは全部やろうという、私にしては珍しくポジティブな目標を立てています。そのせいか、仕事は順調に進んでいますし、プライベートでも行きたいところにも行け、楽しい毎日を過ごしています。

今日はおとなしく部屋の片づけ。最近、近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの魔法」を読んだので、さっそく試してみました。と、すぐに難題にぶつかってしまいました。衣類は片づけられたのですが、問題は美術関係の書籍類。仕事柄、勉強するために、どうしてもそれなりの数の本が必要なんですよね…。ここで、私はひとまずストップ。結局、途中で一日が終わってしまいました。それでも、衣類分のスペースはがらりと空いたので、何だかホッとしました。

明日から2月、今の調子を維持していきたいものです!

南画を学ぶ

2016-01-28 21:28:44 | その他
学芸員には、それぞれ専門とする領域があるのですが、私の場合は日本の近代。ところが、仕事をしていくうえで専門外の領域を任されることも多々あるわけで、専門だけにこだわっているわけにはいかないのです。私が今の職場で任されている分野は、主に江戸時代の「南画」です。

「南画」とは、中国の南宗画に由来するもので、岩山や山岳などのいわゆる山水を主題に描かれた絵のことです。日本における南画の先駆者は紀州の祇園南海で…と、これ以上は長くなりそうなので、ここまでにいたしましょう(笑)

「南画」で描かれる世界…今の私たちには、ちょっと馴染みのない世界で地味(失礼!)ですよね。そのせいなのか、画集を読んでいても、なかなか頭に入ってこない。そうはいっても、池大雅と与謝蕪村は国宝級だし、谷文晁のカリスマ性はスゴイものがあるし、その弟子である渡辺崋山の写実性は見事なもの。でも、やっぱりどうも理解しにくい。

例えば、谷文晁の弟子に高久靄崖という絵師がいるのですが、彼の作品は生前随分高く評価されたよう。ところが図録を見てみても、代表作にはピンとこない。むしろ、彼が酔っぱらって戯れに描いた作品のほうが、私の眼からすれば開放感にあふれ、抽象的で、すごく面白い絵になっている。私が「南画」を見る視点で、決定的な何かを見落としているのかな…と不安になります。

これから、しばらく「南画」と格闘?することになりそうです。なかなか慣れない分野ではありますが、頑張ります!!

主役は自分

2016-01-26 21:03:11 | その他
NHK総合で「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組があります。毎回、ある仕事のプロに一定の期間を取材し、ドキュメンタリー映像とインタビューによる構成で話が進んでいくというもの。私の好きな番組のひとつです。

今日、ひょんなことから、同番組のアプリがあるのを見つけました。これは自分で名前や年齢、職業を打ち込み、映像を編集することで、なんと自分が「プロフェッショナル 仕事の流儀」の主役になれるというスグレモノ!さらに嬉しいのは、kōkuaのスガシカオさんによる歌もしっかり取り入れられていることです。NHKには、なかなか遊び心のある方がいらっしゃるものとみえて、とても楽しめます。

ちなみに、私は妻に撮影してもらって試してみたのですが、テレビに出演されているプロフェッショナルの方々と比べれば、私はなんて安っぽいものかと…(笑)ぜひ、みなさんも時間のあるときに試してみてはいかがでしょう!

意外な出会い

2016-01-24 16:04:20 | その他
私は山口晃さんの作品がとても好きです。山口さんの作品に惹かれたのは、近年に群馬県立館林美術館で開催されていた展覧会を観に行ってから。それまで名前を伺ったことはあっても、なかなか本物の作品を目にすることがなかったのです。私は一目で好きになりました。

山口さんの作品は、伝統的な日本美術の画題のうえに、現代的なセンスが立脚しています。過去のものを取り入れて、アレンジをしていく。そうして描かれた作品はユーモアにあふれ、思わず、クスッと笑みをこぼしそうになります。

このあいだ、意外な出会いがありました。それは東京の科学技術館を訪れたときのこと。この施設は、様々な企業の協力を得ながら、自動車、自転車、エネルギー、鉄鋼などの科学技術を体験しながら学ぶことのできるところです。1階から展示を見て、最後の5階にさしかかったとき、なんと山口晃さんの作品が展示されていたのです。まさか科学技術館で山口さんの作品に出会えるとは思ってもみなかったので、驚きでした(笑)

作品は、『すずしろ日記』のような戯画調のタッチで描かれたもので、DNAの仕組みをわかりやすく漫画で解説した内容です。中年夫婦?に子供が訪れ、DNAについてご主人と話を進めていくという展開です。ご主人の言葉には、なかなか含蓄もあって、うならせられました。どういう経緯で、山口さんの作品が展示されていたのかはわからなかったのですが、嬉しくなりました!

今日は、そんな意外な出会いの話でした。

目には優しく

2016-01-22 21:24:54 | その他
私は目が弱い。弱いというのは、視力が悪いことではなく(悪いことに悪いが)、眩しい光に目が耐えられないことなのです。具体的には、テレビやパソコン、携帯電話の光、場合によっては日中の太陽の光も目にはつらくて、無理をすると目の奥が痛くなって激しい頭痛に見舞われる(泣)私の場合、頭痛になるともうひどいもので、立てなくなって、吐き気に苦しめられてしまうのです。

そうならないために、プライベートで車を運転中ならサングラスをして目を守れるのですが、さすがに勤務中はそうはいかないわけで…。そんな私が最近使っているのが、ブルーライトを軽減できるメガネ。これは誠にありがたくて、目の負担もぐんと減り、頭痛の回数もだいぶ少なくなってきました。だいぶ重宝しています。

便利になる生活の一方で、こうした体への負担も考えなければならない時代。生きやすいのか、生きにくいのか、わからないものですね。

大原美術館の総選挙

2016-01-21 22:25:55 | その他
昨日から国立新美術館で「すばらしき大原美術館コレクション展」が開催されています。大原美術館で所蔵するエル・グレコやモネなどの主要な作品が紹介されるとのこと。本来、これらを見るためには倉敷まで足を運ばなくてはならないのですから、関東で見られるのは貴重な機会ですね。

一方で、気になるのが沢山の作品を貸し出した大原美術館側の展覧会。主要な作品が少ないなか、どのように展覧会を構成していくのか。そこで、考えられたのが作品の「総選挙」だそう。これはエントリーされた所蔵作品の中から、観覧者が一押しの作品を選んで、一票を投ずるというもの。最終的には、投票結果をまとめ、4月に上位の作品で展覧会を実施するそうです。アイディアで勝負ですね!

私が美術館に勤めていたときにも、大原美術館と似たような状況のときがあって、展覧会の構成に苦心した覚えがあります。一番つらいのは、お客様に「あの作品を見たくて来たのに…」と言われてしまうことで…。主要な作品が抜けたような感じを持たれない展覧会にするのは、なかなかに難しいものがありました。

8、9年前に大原美術館に行ったことがあり、とても素敵なところで、ほとんど1日を美術館で過ごしました。国立新美術館での展覧会、ぜひ行って見たいですね!

若手の企業家たち

2016-01-20 21:20:13 | 仕事
最近読んでいる本が『起業のリアル』(プレジデント社)です。田原総一朗さんと若手の企業家たち16名との対談集になります。

私は学芸員である前に、1人の社会人であって、こうした若手企業家たちの社会に対する考え方や新しい技術を生み出す発想力、リーダーとしてのあるべき姿などに学ぶべきことがたくさんあります。私が美術館で働いていたとき、「経営」という視点も持っていないと仕事がまわらなくなることを何度も経験しました。企業家たちの言葉は、そうした問題を切り抜けるためのヒントとして読めると思うのです。

この本の聞き手である田原さんは、相手が誰であろうと遠慮せずにバシバシ質問を浴びせることで物事の核心に迫っていきます。でも、決して感情的な迫り方はしないで、経済の状況、消費者のニーズ、他企業との比較など論理的に進めながら、企業家たちから様々な話を引き出してくる。まだ読了したわけではないのですが、自分のなかで取り入れられそうなところをメモしながら読み進めています。

企業家たちが語るさまざまな夢、アグレッシブだなあと思います。そういえば、私にはあまり「夢」がないのですよね…。ちょっと悩みました。

脳の凝りをほぐす

2016-01-19 20:55:42 | 仕事
今の新しい職場は、デスクワークが多く、どうも肩が凝りやすい。できれば一週間くらい温泉に浸かって、肩の凝りをほぐしたいところだけれど、それは現実的ではありませんよね。凝るのは肩ばかりではなく、なかなか新しいアイディアも出なくなってきて脳も凝ってきた気がします(笑)

近年の脳ブームで、脳を活性化させる方法とか、脳と上手に付き合う方法とか、こうした類の本は書店に行けば山のようにありますね。私の場合、アートイベントに参加したり、遠くへ旅行に出かけるなど、いつもとは違う非日常的な体験をすることで、ガチガチに固まった脳をほぐしています。リフレッシュといってもいいのかもしれません。

最近、なかなかいいなあと思っているのが、iPhoneのアプリ「innovation today」。タップすると、1枚カードが引けて、そこには日常に変化を与えるようなメッセージが書かれています。私は昼休み中に使っているのですが、集中力が切れやすい午後に向けてのメッセージだと思って使っています。これも脳に刺激を与えるという意味では使い勝手がいいものです。

今週も半ばが終わり、明日から後半戦です。上手に脳と付き合いながら、仕事を頑張っていきたいですね!もちろん、凝り固まった肩とも付き合いながら…。

美術作品のデジタル化

2016-01-18 23:13:40 | その他
私は美術館の学芸員として、これまで何人かの館長にご指導いただきましたが、共通しておっしゃることがありました。それは、学芸員たるものは現物を扱うのだから、作品を間近で見ている人にしか書けない文章(論文)を書くように、との言葉です。私は仕事で文章を書くときに、常にその言葉を意識していたつもりでした。ただ、どうしても現物が見られない場合は、写真図版で確認をするという方法で対応せざる得ませんでした。

ここ数年は急速にデジタル技術が向上したこともあり、美術館によっては高画質の作品写真をウェブ上で公開しているところがあります。私が特に利用するのは「e国宝」のウェブサイト。これは日本の国立博物館が所蔵する国宝及び重要文化財を高画質で見ることができるというすぐれもの。国宝や重要文化財は四六時中展示されているわけではありませんし、展示されても厚いガラス越しに見ることになります。さらに観覧者も多いと、ゆっくり眺めるということが難しい。でも、ウェブ上なら時間を気にせずにいつでも見ることができます。特に優れているのは、画面の拡大ができるということ。これで微妙な筆づかいがわかります。例えば、雪舟が筆の流れを意識して、かすれ、濃淡などの墨の特質を十分に活かしていることがわかるし、長谷川等伯の《松林図》は松のイメージを描いていることがわかるし、久隅守景の《納涼図》なら横たわる男性の透けた着物の描き方がわかる。これは拡大した写真図版でもない限り、なかなか気づきにくい点でした。デジタル処理をするためには多額の予算が必要になるでしょうし、時間もかかる作業になるのでしょうが、作品の細部を見たい人にとっては重宝するサービスです。欠点としては、やはり現物を目にした時のような作品のインパクトが伝わりにくい点でしょうか。

このようなデジタル化が普及してくれば、あくまで現物を見ることをベースにしながら、ウェブ上での細部調査という方法を取ることができる日が来るかもしれません。時代の進歩には驚かされるばかりです!

英国王のスピーチ

2016-01-17 22:02:47 | その他
我が家では、一週間に一度、妻とDVDを鑑賞する日を設けています。本当であれば、映画を一緒に観に行きたいのですが、映画館へ行くだけで1時間(往復で2時間!)かかるうえ、なかなか時間も取れないので、DVDで楽しむことにしているのです。

最近見たのは「英国王のスピーチ」(2010年)です。舞台は20世紀のイギリス。王家のジョージ6世は吃音なのがコンプレックスで、演説時に国民に対して上手くメッセージが伝えられない。そんなとき、妻が、ある言語療法士を見つけ、ジョージ6世に紹介します。ここから彼は吃音を克服するためのトレーニングを始めるのでした。

ジョージ6世と言語療法士の掛け合い、対立、そして友情。ところどころにちりばめられたユーモア。まるで絵画を見るような映像の構図。そして感動のラストシーン。当たり前のことですが、英国王も人間であり、私たちと同じように笑ったりもすれば、喧嘩したり、悩んだり、悲しんだりする。自らのコンプレックスを克服して、前向きに人生を生きようとする一人の人間のドラマが描かれています。

みな少なからず何かしらのコンプレックスを抱えて生きています。そんな私たちに希望や勇気を与えてくれる映画ではないでしょうか。