学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

『名画を見る眼』

2021-04-29 22:27:58 | 読書感想
このところ、またバタバタと仕事が忙しく、家に帰ってくると、ただ晩御飯をかきこんで寝るだけの毎日が続いています。そんな毎日のなかで、楽しみのひとつが、お風呂にゆっくり浸かることと、高階秀爾先生が書かれた『名画を見る眼』を読むこと。以前、コラボを試みて、お風呂に浸かりながら『名画を見る眼』を読んでいたけれど、本を読むのに夢中になって、体がのぼせるからやめておいた(笑)。

『名画を見る眼』は、西洋美術を代表する作家数名と各1作品にスポットを当てた本です。その作家のその絵のどこがスゴイのか、を謎解きをするように話が進んでいきます。初めてこの本を読んだとき、1つの絵からこんなに世界が広がるんだと驚き、心がときめいたことを覚えています。丸谷才一が、小説の行間と行間の間には社会が書かれていなければならない、というようなことを書いていたと記憶していますが、絵を読み解くのも同じことで、ただ1つの絵があるのではなく、その絵にどんな社会が描かれているのか、あるいはその絵が生まれたときにはどんな社会があったのかを文章で記すことも大切な要素と私は考えています。

学芸員の私にとって『名画を見る眼』は、今でも作品を読み解くためのテキストです。と同時に、夜、仕事に疲れた体と頭を抱えながらでも、気楽に絵と向き合うことのできる本でもあります。今夜もまた本を開いて楽しみたいですね!

グループ展にゆく

2021-04-25 19:55:42 | その他
このところ、初夏のような暖かさが続いています。過ごしやすい季節になりましたね。私が住む街は、いよいよ藤の花も満開になり、それを見て『鬼滅の刃』を想像する子供たちも多いようですが…私なぞは大変気持ちが明るくなります。

企画展が立ち上がって、気が抜けたのか、私は肩が痛くなったり、頭が痛くなったり、胃が痛くなったり、どこかしこ痛くなる始末。年を取ると、どこかしら故障しますね。情けないものです。今日は知り合いの作家さんからご案内をいただいたグループ展に顔を出してきました。新型コロナウイルスの感染症対策で、何度も会期が延長となり、ようやく開催することができたとのこと。作品を観てゆくと、そんな暗い時勢など忘れてしまうような明るいテーマ、色調の作品がずらりと並んでいました。描かれている人物たちはいずれもマスクせず。これが普通の暮らしだったのになあ、と思わず懐かしんでしまいました。

私の場合、絵を眺めていると、気持ちが晴れやかになってきます。もちろん、いつも職場で絵を見ているわけですが、美術館とはまた別の場所で、そして作家さんのいる空間で見るのとでは、また気持ちの持ち方というものが変わってくるようです。ご案内を頂けたことに感謝しつつ、早くコロナが収束してくれることを祈ります。

肉離れの一歩手前

2021-04-10 15:15:15 | その他
この頃、4月らしい暖かな陽気が続いていますね。私が企画した展覧会も、先日無事に立ち上がり、ほっと一安心です。コロナ禍の時勢ではありますが、美術館に来ていただいたお客様に、少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。展覧会が立ち上がり、数日経ったら、私がやること。それは改善点を探して会場を見て回ることです。作品の点数が適切か、解説文の見やすさや文字数、パネルの大きさはどうか、照明に工夫はできないか、など。理想的な展覧会を目指して、常に反省と改善を繰り返していきます。常にそういう気持ちは忘れずに仕事をしてきたいものです。

さて、展覧会は立ち上がったものの、ひとつ問題が。それは私の右肩。デスクワークをやりすぎて、とうとう肩を悪くしてしまい、病院に行ったところが、肉離れの一歩手前との診断。2、3日前から右肩の肩甲骨のあたりがやたら痛み、夜も眠れないほどになったので、病院に行ったら、そんな診断が下ってしまいました。こまったものです。とりあえず湿布を貼って、痛みが引いた時点でリハビリとなってしまいました。人生、生きているといろいろな経験をしますね。しかし、まさかデスクワークだけでそんなことになるとは思いもしませんでしたが…。

というわけで、今日はゆっくりと静養中。大正、昭和期の版画家、恩地孝四郎の『工房雑記』が手に入ったので、それを読みながらゆるりと過ごしたいと思います。それではまた。

年度が変わり

2021-04-04 21:47:26 | その他
早くも4月。私が住む街の桜は、少しずつ散り始めてきました。例年、家族で花見に出かけていたのですが、今年は新型コロナウイルスのこともあり、みんなでの花見は断念。でも、私だけ、仕事帰りに誰もいない桜並木の下を通り、夜桜を愉しみました。立ち止まることなく、桜の下を抜けるだけでしたが、それで充分!

年度が変わっても、仕事は変わらず。いつも通りの企画展の準備が進んでいきます。書店には、今年おすすめの展覧会を取り上げた雑誌もちらほらと見かけるようになりました。仕事が落ち着いたら、そして、コロナも落ち着いたら…いろいろな展覧会に行きたいものです。

今年度も健康には気をつけながら、仕事に取り組みたいと思います。それでは、また!