学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

考えすぎないように

2018-02-27 18:07:01 | その他
ここ数日、どうも調子が悪い。それは風邪やインフルなどの発熱症状ではなく、おそらくは自律神経の乱れによるもの。空えづき、心臓の動悸がひどくて、そこから倒れてしまうんじゃないかという不安が巻き起こり…まあ、ろくなものじゃないのです。落ち着かせようと思っても、心が全然落ち着かなくて、常にざわついている。車でいえば、アクセル踏みっぱなしで、ブレーキが利いていない感じ。

原因はだいたいわかっていて、年度末の仕事の忙しさから来るストレス。といっても、スケジュール通り進んでいて、特に仕事の遅延もないのだけれど、なんだか不安でたまらない。困ったものです。季節の移り変わりの時期でもあるからなのでしょうか。

こりゃいけないと思って、まず余計なことを考えさせるような情報からは距離を置く。テレビ、ラジオ、新聞などのメディアや、ビジネス書や自己啓発本もシャットアウト。その分、ヨガと座禅をして、呼吸を意識することを日常に取り入れる。それに加えて、家の掃除。家の乱れは心の乱れである、と解釈して、玄関、リビング、トイレ、寝室などを隈なくきれいにし、掃除中は掃除にだけ集中する。

こうしたことが実を結んでいるのかわかりませんが、しばらくこれで様子見です。まあ、死にはしないでしょう(笑)

今日は曾祖母の命日。もし曾祖母が生きていたら、なんと声をかけてくれるのかな、と妄想してみる。あ、妄想はいけない、いけない、と思いつつも、してみる(笑)ああ、うん、たぶん「うまいものをたんと食べて早めに寝ろ。」と言われそう。問題を解決する方法は意外にシンプルなのかも。

川瀬巴水

2018-02-19 20:05:03 | 展覧会感想
先日、栃木県那珂川町の馬頭広重美術館で川瀬巴水の木版画を見たのだけれど、これがなかなか良かった。

川瀬は明治生まれで、大正から昭和にかけての作家。木版画の絵師として活躍しました。彼はいわゆる「新版画」のひとりで、これは江戸時代の浮世絵以来の絵師、彫師、摺師の分業制で作品を仕上げるもの。いわば、近代の浮世絵バージョンなんですね。川瀬の風景に対する視点が、確かなデッサン力によって裏付けられ、それが彫師と摺師の高度なテクニックによって、ひとつの作品と完成していました。それらを見ていくと、川瀬は「版」で何か新しい表現を目指した、というよりも、目に独特のカメラを持っていて、それをもとに日常の何気ない風景の一場面をパシャリと取ることを得意としていたよう。私の好みで言えば、特に夕暮れや夜の場面がとてもいい。例えば《大森海岸》で舟を見送る女性の後ろ姿、《瀧之川》の上にかかる橋を子どもと母親が連れ立って歩く姿…それらの周りの民家や店からこぼれるぼんやりとした光。美しい風景のなかに、人間の生活感がただよう。たった100年前まで、日本にはこれほどの情緒が残っていたのかと驚かされる、とともに、なんでこういうものが今に残らなかったんだろうと。

展示の仕方は玄人好み。川瀬作品の一部はマットに入れられた額装状態ではなく、ガラスケースのなかで作品そのままを展示しています。ですので、和紙の風合いや作品の余白、そうしたものも楽しむことができる趣向です。さらに校合摺も展示してあって、作品が出来上がるまでのイメージもわかりやすく紹介してあります。とても満足度の高い展覧会でした。

権藤博さんの本

2018-02-15 21:03:43 | 読書感想
1998年、プロ野球は横浜ベイスターズが日本一になりました。そのときに横浜を率いていたのが、権藤博さん。当時、横浜は「マシンガン打線」と云われて、全員でヒットをつないで大量得点につなげる打線をウリに、勿論、安定した投手力もあって、優勝を果たしたのでした。権藤さんは、選手たちに自分の名前を「監督」と読ませず、「権藤さん」と呼ばせたり、1アウトを献上する送りバントはしない、など、ちょっと変わった振る舞いと采配に、私は新しいタイプの監督だなあと思ったものでした。

さて、その権藤さんと二宮清純さんの対談をまとめた『継投論 投手交代の極意』(廣済堂新書)を読んでいます。権藤さんは、横浜で優勝を経験しただけでなく、中日、近鉄、ダイエー、そして17年のWBCで投手コーチを務めた経験をお持ちです。投手の心理や戦略から、継投とはどうあるべきなのかを述べています。勝利に向かって、どう投手をリレーしていくか、そこには投手一人一人の心理と能力があって、さらに日々コンディションは変わるし、なかなか難しいこと。権藤さんは自身の経験やメジャーリーグの研究から、勝利の方程式を作り上げていたようです。

本を読んでいて気づいたのは、権藤さんの発想が若々しく新鮮であること。1938年の生まれですから、今年で80歳になられるわけですが、古い考えに固執していない。この発想の若さの秘訣も気になるところです。権藤さんは、日経新聞でもコラムを書いており、いつも楽しみにしています。読めば、今年のプロ野球がさらに面白くなること間違いなし(選手のプレイだけでなく、ベンチの監督や投手コーチの動きも楽しめそうです)今年はぜひ球場に足を運んでみたい!!

水戸芸術館「ハロー・ワールド」展

2018-02-14 23:00:12 | 展覧会感想
現代美術は難しい。どうも、一般的にそう思われていることが多いよう。作品が何を意味しているのか、素材は何でできているのか、何のために制作したのか、など、疑問を持たれがちです。私自身、今でこそ全く抵抗はありませんが、本格的に美術を勉強する前までは、正直なところ、ちんぷんかんぷんなところもありました。

先日、茨城県の水戸市にある水戸芸術館へ出掛け、「ハロー・ワールド」展を見てきました。芸術はいわば「危険早期発見装置」である、をキーワードに、作品を通して、我々の文明に対する批評や弱点、危険性の提示するという内容です。この展覧会、現代美術に抵抗のない私でも、なかなか難しかった(笑)哲学書を読み込むときのように、作品を理解するために一つ一つ集中して作品と接する。今日の最低限の社会問題を知っていれば、より作品から引き出されてくるものを感じることができます。

私にとっては、レイチェル・マクリーンの映像作品《大切なのは中身》が最も良かった。まず、主題がかなりわかりやすいし、脱スマホを心掛けている今の私の生活ともリンクするところがあって、自分と作品との距離感が近いと感じたためです。

同展は、アートの役割を考えるため、難解ではあるものの、一石を投じる内容であると思いましたし、さらに我々の文明に対して問題を提示するものとして、非常に重要な展覧会ではないかと思います。

※受付で配布される展示室の図面と作家紹介の文章が、難解であろう作品を理解するための手助けをしてくれます。

(映画)はじめての旅

2018-02-13 20:08:24 | その他
私には子どもがいないけれど、どんな親でも子どもは立派に育ってもらいたいと願うものなのでしょう。では、どういう教育をすれば、立派になるのかというと、これがまた悩ましいところ。ガリ勉(言葉として古いかも)型がいいのか、自由奔放型がいいのか、あるいは?

映画「はじめての旅」は、森のなかで現代文明とは一線を画して暮らす一家の物語。一線を画す、といっても、決してターザンのような野性的な暮らしをしているわけではなく、自然のなかで体力をつけつつも、父を先生として、子どもたちは読書を通し、文学や哲学、科学などの多分野で深い知識を身につけています。その一家がある事情から、現代の社会へ入り込むことになり…。

子どもたちは社会から多くのことを学ぶ、ということを感じました。映画の父は、現代文明を否定し、人間らしい生き方を追求することで子どもたちを育てようとしましたが、子どもたちは現代の社会へ入り込むことで、父の言葉や行動にしだいに疑問を持つようになっていきます。父も親として悩みながら、軌道修正して、迎えるエンディング。これまで父の指示待ちだった子どもたちが自立していく姿が描かれます。

教育には確実な答えというものは存在せず、子どもは親の思いを越えて大きく成長するのかもしれません。もし私が親になったら、どんな親になるのだろう。子どもに願うことはただひとつ。健やかであってほしい、ということ。あとはなるようになる…かな(笑)

ウミガメの時間

2018-02-12 21:01:14 | その他
私はカメやカニ、エビなど体の一部に固いものを持つ生きものが好きなのです。なかでも、カメは大のお気に入り。

振り返れば、子供のころはミドリガメを飼って居たし(小さいながら気性の荒いカメだったので、「スパルタ」と名付けたが、わずか2年余りで没した)、アニメの忍者ミュータント・タートルズは毎日欠かさず見ていたし、特撮のウルトラマンタロウではキングトータスの前編後編に涙を流し、ガメラは夏休みなるとよくビデオを借りて見ていました。こうしてみると、ずいぶんカメとは長いご縁のよう。

先日、茨城県の大洗水族館へ出掛けて、ウミガメを見てきました。大水槽のクロウミガメは、のんびり、ゆったり、あるがままに、自由に泳ぎまわっている。社会人になると、何かと束縛されてしまい、ウミガメのそういう姿にどこか憧れを感じてしまうのかもしれません。ウミガメは何分見ていても飽きない(さすがに何時間はムリ)

私のささやかな夢は、ウミガメと一緒に泳ぐこと。きっと気持ちが良いことだろうなあ。私は大水槽のウミガメを見ながら、その横で一緒になって泳ぐ自分の姿を想像して、かけがえのない時間を過ごしたのでした。

すみだ北斎美術館

2018-02-11 22:19:34 | 展覧会感想
先日、東京都墨田区にある、すみだ北斎美術館へ行ってきました。両国駅から徒歩数分、公園のなかに建つガラス張りの現代的な建物が見えてきます。外観だけですと、まるで現代美術を扱う美術館のようです。

私が行ったときには、常設展のみ開催で、展示室は北斎の生涯を時系列にたどる方法で作品が展示されていました。新しい美術館らしく、デジタル技術が活用されており、作品の解説はもちろんのこと、北斎の代表的なシリーズである「富嶽三十六景」の一点ずつの図版と解説を読むことができるほか、さらに『北斎漫画』などの資料を見ることができます。

全体を通して感じたことは、北斎やその周辺に関する情報の提供に積極的であることです。先例のほかにも、美術図書館も併設、なかのパソコン端末を使えば館の図書資料を検索することができ、又レファレンス担当のスタッフの方も常駐されているよう。

私の勤務する美術館も、こうした情報公開の必要性を感じているものの、時間不足や人員不足などから、なかなか実現に移せず、停滞している状況です。今さらながら、我が館の課題を感じた…のでした。

脱スマホ・テレビ宣言

2018-02-10 22:15:27 | その他
私がスマホを使うようになったのは、今から5年ほど前。以来、スマホの恩恵を受け、日常生活が便利になったわけだけれど、最近どうも依存しすぎているような気がしてきました。

何かあるとすぐにスマホ頼ってしまうのです。写真も、電子書籍も、最新情報も、計算機も、スケジュールも、目覚ましも、カーナビも、すべてスマホでこなせる。そのせいなのか、ついついスマホをいじってしまう癖がついてしまっていました(もちろん、仕事中はいじりませんが)。例えば、家に帰ると、スマホを使ってネットサーフィンをしていることが多く、時間を無駄に使ってしまっている…。

人生は短い。スマホをいじるのはもうやめよう。たとえ、日常生活が多少不便になっても。

と、思い立ち、2、3日前からスマホを使う時間を1日10分に制限しました。

その成果なのかわかりませんが、夜によく眠れ、自律神経が不安定になりにくくなりました。ついでに、テレビも絶ち、以前のようなラジオ暮らしの生活も進めています。

時代についていけるかな…でも、新聞を取っているから、まあ乗り遅れることはあるまい(笑)

スマホ、テレビから脱する生活、継続していきたいものですね。

実況パワフルプロ野球2

2018-02-09 20:25:07 | その他
1994年、プロ野球セ・リーグの巨人対中日の同率首位決戦。結果として、巨人が勝ち、同年のセ・リーグ覇者となるわけですが、私はこの試合をテレビ中継で見て、手に汗握る展開にすっかり引き込まれました。特に中日・立浪選手の執念のヘッドスライディングは今でも忘れられません…。以来、プロ野球がとても好きになりました。

さて、このごろ、押し入れのなかから出てきたスーパーファミコンで遊んでいます(笑)。そのなかでも懐かしい「実況パワフルプロ野球2」のペナントレースをしているのですが、これがまさに1994年のデータ。今から24年前のもので…このゲームに出てくる選手で、現在でも現役なのはイチロー選手だけ。ゲームをしていて気づいたのですが、仕事から帰ったクタクタの体でゲームに集中していると、私のもやもやした頭がリセットされるようにスッキリしてきます。もちろん、だらだら遊んでいる時間はなし。一日20分だけと決めてのゲームです。

今は日本ハムファイターズでペナントレースをしています。が、西武ライオンズが強いのなんの。森監督時代の西武ライオンズ黄金時代で、野手は辻選手、石毛選手、清原選手、佐々木選手、鈴木健選手、伊東選手など、投手は工藤選手、新谷選手、潮崎選手とそうそうたる面々。懐かしい顔ぶれです。

今日は最近の私の趣味の話でした。早く暖かくなって、美術館巡りやお城巡りに行きたいものです。

秀逸な文章

2018-02-07 20:52:16 | その他
現在は不定期になりましたが、NHKのコント番組「LIFE」は私の好きな番組のひとつ。ウッチャンナンチャンの内村光良さんやココリコの田中直樹さんらが出演して、「LIFE」をテーマにコントを繰り広げていきます。そのなかに出演しているひとりが星野源さん。音楽家、俳優、文筆家として、マルチな仕事をなされています。

このあいだから、星野源さんの著書『働く男』(文春文庫)を読んでいます。星野源さんの多岐に渡る仕事が、コミカルなかたちで綴られていて、仕事に疲れたときや気分転換をしたいときに読むと、特に楽しく感じられます。でも、ただ楽しいだけではなく、周りから才能がないと云われても、意に介さずに自分のやりたいことをしっかりやっていく星野源さんの姿勢は、周りの雰囲気に流されやすい私の眼を覚まさせてくれるような刺激も与えてくれます。笑いどころも多々あり、その世界観を十分に楽しむことができました。

こうして満足感あふれる気持ちで、文庫本の最終ページ「最新刊案内」を何気なくめくっていたときのこと。そこに『働く男』の解説が載っていたのですが、この文章が秀逸。



「様々な顔を持つ著者が過剰に働いていた時期の仕事を解説した一冊」



私はこの解説を読んで、つい爆笑してしまいました。この内容紹介自体に間違いはないんだけれど、冷静すぎる言葉使いによって、それまで読んできた星野源さんの世界とギャップがありすぎるなあと(笑)解説だから、こういう書き方しかなのですよね。でも、最後の最後まで笑わせられた本でした。