学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

いつまでも前向きに!

2010-06-29 21:21:10 | 仕事
昨日と違って、今日はやや湿度が低く、いくらか過しやすい一日でした。雨も降りませんでしたしね!今はシャワーを浴びて、さっぱりしたところです。

小学生が美術館へ校外学習に来ました。天気に負けないぐらい、小学生は元気一杯です。美術館の由来、美術館での約束事、作品の紹介などを説明しました。小学生たちは一生懸命にメモを取って、ときおり疑問に思うことを質問してくれました。とても積極的なことに驚き!前向きな姿勢、いつまでも持ち続けて欲しいな、と思いました。そして私自身も前向きな姿勢を忘れてはならないな、と逆に小学生の姿勢にわが身を振り返り…。人生、学ぶことばかりです。

今日はワールドカップ、日本対パラグアイです。これは見るしかありませんね(笑)果たして起きていられるかはわかりませんが、頑張って応援したいと思います。

夏の読書も捨てがたし

2010-06-28 20:54:37 | 読書感想
今日は曇でしたが、湿気が高く、不愉快なことこのうえなし。せっかくの休日でしたが、休めたような休めていないような。ただ6月も終わりに差し掛かって、悪いことばかりではなく。アパートの近くに咲いている紫陽花は、紫、白が綺麗に折り合わさって、とても美しいものです。花を見て季節を楽しむことができますね。

さて、私の体が元来暑さに強いということもありますが、アパートではクーラーを一切使いません。古来の団扇を使ってしのぎます(笑)団扇をパタパタあおぎながら、小説を読んだり、画集を眺めていました。暑さのあまり頭の中に文章や絵が入って来難いので、いつもよりもジックリと目を通してみる。今更気付くことなのですが、スピードを緩めると、文章や絵を見ながら考えることができますね。乗用車の運転と同じでスピードを緩めると、周りの歩道を歩く人や景色が良く見えて、判断力が上がるのと同じような感覚なのかもしれません。夏の読書も捨てがたし、というところでしょうか。

明日からまた仕事が始まります。明日は暑くならないことを祈って…。

イタロ・カルヴィーノ『不在の騎士』

2010-06-26 20:48:09 | 読書感想
朝から天気の悪かったものの、さして湿度も無く、過しやすい日でした。今はぱらぱらと雨が降り出しています。起床すると、どうも右足が痛くてしょうがなく、ほっておけばそのうち治ると思いきや、未だに足に痛み(というよりもひどい疲労感)が走ります。明日には直ってくれればいいのだけれど。

イタリアの国民作家イタロ・カルヴィーノ(1923~1985)の『不在の騎士』を読みました。なんとあらすじを紹介したらいいのか難しいところですが、騎士アジルールフォは「存在するけれども存在しない」騎士。まるで謎かけですね(笑)彼は配下のグルドゥルー(こちらは自分が存在していることに自分で気がつかない人)ととも、自らの潔白を晴らしに旅に出るというもの。ただこの物語は、修道尼テオドーラによって作られた物語。つまり小説のなかに、また別の書き手がいて、彼女が物語を進行させるという仕掛け。しかも彼女の筆は、クライマックスに差し掛かると暴走してしまい…。

私は2度、読み直しをしました。2度目に読むと、小説のところどころにユーモアがちりばめられていることがわかります。今まで気がつかなかった足元の小石に気がついたような感覚でしょうか。この小説は「存在」をテーマにしていますが、そこを考えだすときりがなく、どうも難しい話になってしまうので、私は物語そのままに楽しみました。なかなか面白い小説です。特に後半部分。クライマックスといえば、物語のなかで最も力の入れどころなのに、どんどん突っ走ってゆく(笑)

イタロ・カルヴィーノは『見えない都市』が代表作のようですが、短編も楽しく読むことができました。

●『不在の騎士』イタロ・カルヴィーノ著 米川良夫訳 河出文庫 2005年





夏は食事でしのぐ

2010-06-24 21:01:33 | その他
気温は上がりましたが、カラッとした暑さが気持ちの良い一日でした。いつまでも、この快適さが続いて欲しい!叶わぬ夢ですけれども(笑)

帰宅してからも料理を作る気力が残っていたので、久しぶりにゴーヤチャンプルを食べました。あの苦さが美味しいのですよね!ゴーヤを食べると夏バテしないそうで、健康にも良く、しばらく夏はゴーヤと茄子、胡瓜の食生活でしのぐことになりそうです。夏といえば…麦酒。けれども最近は飲んでおりません。以前は飲みたくてしょうがない日々が続いていたのですが、その反動で飲まなくても良くなったのかもしれません(笑)いずれ飲みだすとは思うのですけれど。

いよいよ明日朝はワールドカップ、日本対デンマークですね。午前3時30分なので、おそらく起きることは出来ないと思います(泣)昨夜は日本が勝つ夢を見ました。この夢が叶うよう、今夜は夢の中で応援することにいたします。ぜひ頑張って欲しいですね!

至福の時間

2010-06-23 20:51:24 | その他
朝から大雨の一日…今は雨もやんで湿気も少ない気持ちよい夜になっています。こういう快適な夜がずっと続いて欲しいのだけれど!

展覧会が始まり、少し落ち着いたせいもあって、早めに帰宅すると画集や小説ばかり読んでいます。至福の時間です(笑)画集は『未完の横尾忠則』展のカタログです。これは昨年金沢21世紀美術館で開催された展覧会の図録ですが、横尾さんの日記やアンリ・ルソーのパロディなどの作品が何度見ても面白い内容です。小説は先日紹介したジョージ・オーウェルのほかにドイツの作家ギュンター・グラスの『ブリキの太鼓』を読み始めました。『ブリキの太鼓』は長編小説なので、途中で息切れしそうですが、なんとか読んでいます(笑)

今宵は満月が綺麗に出ています。明日は晴れるよう。気持ちの良い一日であることを祈って、今夜は筆を置きたいと思います。



ジョージ・オーウェル『1984年』

2010-06-22 20:09:01 | 読書感想
今日も暑い一日でした。夜になると、まだ涼しい風が来て快適なのですが…熱帯夜の出現だけは避けたいものです(泣)

ジョージ・オーウェルの代表作『1984年』が読み終わりました。のちに来るであろう管理社会を風刺した小説です。以前ご紹介した『動物農場』をもっとリアルに、人間を大きくからめて描いたところが特徴でしょう。街のいたるところにテレスクリーン(政府の主張を延々と述べ立てる機械で監視装置もついている)や隠しマイクが設置された驚くべき管理社会。主人公ウィンストンは、こうした社会に疑問をふくらませていきます。しかし、反抗的な態度を取れば即逮捕(なんと反抗的な思考を持つことでさえ逮捕の要因になる!)。彼は隠れながら、反発を深めていくのですが…。

街中にテレスクリーンや隠しマイクが設置された管理社会。こんな社会を以前アニメで見たような気がします。大長編ドラえもんの…「大魔境」だったか、「小宇宙戦争」だったか、街のいたるところに貼られたポスターが監視の目になっているという都市を描いた場面がありました。こうした管理社会が小説やアニメの世界だけでなく、実現したらどうなるか?大変に恐ろしいことです。私が特に怖いと思ったのは、過去を抹殺してしまうこと。政府の不都合なことがあると、過去の新聞記事などを書き換えてしまうのです。また、国語辞典まで統制され、版を重ねるごとに語彙を少しずつ減らしてゆく…これで人々は考える力を失っていくというもの。オーウェルの社会を見る目、というものを強く感じさせる小説です。

読むと未来の社会がどうあるべきなのか、考えさせられる小説です。始めに『動物農場』を読み、そのあと『1984年』を読むといいのかもしれません。視野を広げる意味でも読んでおきたい1冊です。

●『1984年』ジョージ・オーウェル著 高橋和久訳 早川書房 2009年

暑さ対策は食べ物から

2010-06-21 18:47:57 | その他
今日は家でのんびり本を読んで過そうと思いましたが、じめじめした湿気で集中できずに、イライラしていたら日が暮れてしまった、そんな悲しい一日でした(泣)梅雨が終わっても、暑い暑い夏が来るわけですから、そう簡単にイライラしてしまってもいけないわけですが、やっぱりこの時期はそんな気分になってしまいます。

こういう不快な毎日を乗り切るには、食生活から。というわけで、今日は茄子を中心にした夕食です。茄子は、食べると体の中から冷やしてくれるそう。胡瓜も同じ効果があるとか。食べたからといって、矢鱈に体が冷えるわけではないですが、気分として落ち着きます。冷茶なども飲んで、水分もしっかり補給する。暑さ対策はしっかり心がけていきたいものですね。

明日からまた新しい一週間の始まりです(美術館は火曜日がスタートですから)。夏バテしないように、今から体調と整えておきたいところですね!

ワールドカップ雑感

2010-06-20 19:48:13 | その他
昨日は土曜日なのに美術館を訪れるお客様の数が激減…。一体どうなってしまったのか、不安に思っていたところへ、いつもお世話になっている記者さんがいらっしゃり、街にはほとんど人がいないとのこと。ワールドカップで日本対オランダの試合があるから、どうもそれを見るために、みんな家から出ないのが理由ではないかと話されていました。キックオフは午後8時30分ですが、テレビ局によってはお昼頃から特集を組んで放送していたところもあったようですから…。

残念ながら、試合の方は日本が惜敗してしまいましたが、美術館の学芸員という職業柄のせいか、プレーはもちろんのこと、ユニフォームのデザインについてもついつい見入ってしまいます。もっと厳密に言うと、ユニフォーム左胸にある各国のマークですね。日本なら八咫烏(やたがらす)、イングランドはスリーライオン、先日日本と戦ったカメルーンは「不屈のライオン」ですからライオンがデザインされています。それぞれ国によって異なりますので、試合を見ながら、どんな意味のあるデザインなのだろうかと考えてしまいます。これもワールドカップの楽しみ方の1つ…といえるのかわかりませんけれども(笑)

今度は決勝トーナメントをかけてデンマークとの試合。たぶん…起きてはいられない時間帯ですが、朝テレビをつけたら勝利のニュースでわきかえっていることを願いたいものです。



作品の観察

2010-06-18 20:40:33 | 仕事
むしむしと暑い一日でした。しかも、午後は雨(泣)こういう日は、さっぱりしたものが食べたくて、今夜は冷やし中華を食べました。夏、ならではの美味しい料理ですよね!

新しい展覧会が立ち上がったので、次回の展覧会準備に取り掛かっています。テーマはほぼ固まっているので、展覧会の準備として、まずするべきことは作品調査です。他館にある作品ですので、早速コンタクトを取り、見せていただけることになりました。ガラスケースや額のガラス、アクリルを通してでなく、間近で作品を見る。間近で見なければ気のつかないようなこと、そうしたものを観察で見て行きます。まるでシャーロック・ホームズのようですね(笑)ここで、調査したものが展覧会、論文へと活かされていくわけですから、身が引き締まります。

明日は土曜日、たくさんのお客様がいらっしゃることを願って、今日は筆をおくことにいたします。

ジョージ・オーウェル『パリ・ロンドン放浪記』

2010-06-16 19:36:19 | 読書感想
梅雨らしい、じとじととした雨降りの一日でした。この暑さは堪らないですね(泣)

ジョージ・オーウェルの『パリ・ロンドン放浪記』を読みました。自らの体験を元に書かれた窮乏生活。自分の持ち物は質に入れて、なんとか一日一日を食いつないでゆく。まったくの無一文にはならず、ゼロになりかけると、奇跡が起きて、少しばかりの収入が入ります。主人公の周りには、お金がなくともエネルギッシュに生きる人々の姿があります。窮乏、貧困といったテーマで、しかも自分が体験したとなると切実なものであるはず。内容は重いものになる…と思いきや、まったくそうした雰囲気は見られません。主人公も親友のボリスもとても考え方は前向きです。作中には幾度もドタバタ劇もあって、ときどきニヤッと笑ってしまいたくなるところもしばしば。

読み終えたあとは、今の日本社会が抱える問題と、どこかかする部分があるのではないかなと考えました。どの小説も読んだあとに、自分の周りの事柄に置き換えると、今まで見えて来なかった色々なことが見えてくるような気がします。過去も現在としっかりつながっているということでしょうか。私の手元にいつまでも置いておきたい一冊です。

●『パリ・ロンドン放浪記』ジョージ・オーウェル作 小野寺健 訳 岩波文庫 1989年