学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

古墳の状況調査

2015-01-15 19:58:41 | 仕事
このところ、晴れ間が続いていましたが、今日は久しぶりの雨模様です。
冬の雨はどことなく気持ちが塞ぎがちになりますが、これも自然の摂理。
草木はもちろん、人間の肌にとっても潤いが加わることは悪いことでは
ないでしょう。

雨が降る前、とある古墳の状況調査へ行ってきました。

ざくざくと一面の落ち葉を踏みわけて、細い道を進んでゆきます。
すると目の前に小さな丘が見えてきました。この丘が古墳なのです。
ちなみに前方後円墳とのことでした。

古墳はところどころに動物が掘ったものや盗掘による穴が見られました。
随行した考古学の学芸員の話によれば、盗掘、といっても現代の人ではなく、
平安時代か鎌倉時代の盗掘団によるものだそうです。

この古墳は現在のところ、まだ石室まで調査が進んでいません。
美術を専門とする私としては、石室の装飾をとても見てみたい。
熊本県のチブサン遺跡のようなプリミティブな装飾があったら、と考えるだけ
でも心が躍ります。

今はひっそりと林に囲まれた古墳の前で過去に想いを馳せた1日でした。

成人式

2015-01-11 20:06:24 | 仕事
今朝は雲ひとつない青空から始まりました。

今日は地元の成人式がある日。私は式典のお手伝いで会場へ行ってきました。

暖かい日差しに包まれながら、続々とやってくる新成人たちはとても立派です。
希望に溢れている新成人たちの姿を見ていると、私自身も大人としての初心に
帰るような気持ちになりました。

私が成人式を迎えたとき、故郷の宮城県は大雪で、辺りは真っ白の世界だった
ことを覚えています。

すでに学芸員になりたいという夢を持っていましたから、成人式は夢と希望を
持って望みました。

それから数年後、幸いなことに学芸員として就職することができて夢がかない、
また、昨年は以前から興味があった歴史の分野での仕事にも携わることができる
ようになり、これまでとても充実した毎日を過ごしてきました。

そうした経験から、心の中にずっと夢や希望を持っていれば、いずれ叶うもので
あると考えるようになりました。

新成人の皆さんの心にある夢や希望が叶うことを、私も強く願っています。

どんど焼き

2015-01-10 22:02:53 | その他
今夜、地域のどんど焼きに初めて出かけました。

どんど焼きは正月の松飾りや注連縄などを集めて燃やす祭りのことです。

私は1年間お世話になった熊手、達磨、お守りなどに心から感謝の気持ちを
込めて納めてきました。

こちらの地域のどんど焼きは、竹で櫓を組む方法で準備がなされるようです。
高さは電信柱よりもやや高いくらいで、とても大きくて迫力があります。

地域の人たちはやぐらから離れた場所でも、薪をくべて火を起こし、周りを
囲んで暖をとっていました。

火の周りには赤、白、緑の団子を木の枝先に差したものが立ててあります。
これは「まゆ玉」と呼ばれているようで、火のそばで団子を焼き、食べ、
1年間の健康を祈る意味があるようです。

私は飽きることなく火を眺めていました。

炎の先から火が糸を引くように上がり、やがて何かの生きもののように、
火の粉がくるくると空に舞い上がります。

その美しさに、私は速水御舟の《炎舞》を思い出していました。
舞い上がる火の粉が、あの蛾の円舞のようにも見えたからです。

いよいよ櫓に火が点けられたときには、一瞬にして周りがぱっと明るくなり、
炎の熱気に全身が包みこまれました。
何もかもが夜空に吸い込まれていくような不思議な感覚。

帰り道、ふと夜空を見上げると澄んだ空に星々が輝いていました。
火の粉が空に舞い上がって、たくさんの星になったのかもしれませんね。

祖父のむかしばなし

2015-01-08 20:37:49 | その他
私は祖父母から昔の話を聞かせてもらうことがとても好きです。

私が生まれる前、どのように毎日を暮して、家族の間でどんな出来事があったのか、
あるいは住んでいる街がどのように変わってきたのか。

祖父母の口から語られる話は、写真よりもずっと鮮明に私の心にイメージされていきます。

お正月に祖父母から聞いたのは、不思議な狐火の話でした。

私の祖父は山形県の西村山郡の出身で、昭和7年に生まれました。その祖父がまだ
幼かった頃の話です。

祖父の住む家の付近は、今でこそ住宅が道に面して連なっていますが、祖父が子供の
頃は辺りは一面の田んぼでした。夜になると、よく狐火が見えたそうです。

田んぼを遠く眺めると、青白い炎がいくつも点いたり、消えたりする。そんなとき、
祖父は両親から「今日は狐の嫁入りだね」と聞かされたそうです。

そんななか、ときどき狐に化かされる事件も起きました。

ある男性がお酒やお土産ものを持って、村内の集会から帰る途中、狐に持ち物を取られて
しまった話。

同じく男性が雪のなかを狐に歩かされ、朝になると田んぼの真ん中で亡くなっていた話。

狐に化かされて、肥溜めに落ちた話もよく聞かれたそうです。

私は、それらの話を聞きながら、怖くなって子供のように体が震えました。

祖父母が亡くなってしまったら、こうした話を間近で聞く機会は訪れないでしょう。
私はできるだけ、祖父母から聞いた話はメモに取って残し、いつか、私の子供や孫に
祖父母から聞いた話を教えてあげたいと思っています。

七草がゆ

2015-01-07 22:26:23 | その他
今年も七草がゆの季節がやってきました。

七草がゆは、1月6日の夜におかゆと七草を混ぜていただくもの。各地方によって、
かゆに混ぜる食材は異なるようですが、私はお店で売っていたセリ、ナズナなどの
一般的な食材を使って作りました。

今年は味付けに沖縄のあら塩を使いました。おかゆの甘さと程よく合います。多目に
作った七草がゆもすべて平らげてしまいました。

年末年始の期間は、お酒を嗜みましたので、昨夜は胃に優しい晩御飯となりました。

お酒といえば、年始に祖父母の家で頂いた「出羽桜」の古酒はとても濃厚な味がして、
飲み口も良く、あまりの美味しさに遠慮もせずに随分頂いてしまいました。

祖父いわく、なかなか手に入らないお酒だそう。またいつか飲んでみたいものです。

ほどよくお酒を楽しんで、無病息災の1年になりますように。

月のある夜

2015-01-05 22:13:56 | その他
朝、空は雲一つない素晴らしい天気。
仕事始めから縁起が良い、と歩いて出勤することに決めました。

吐く息は白し。遠くに見える山の連なりもまた雪で白しです。
小鳥のさえずりや小川のせせらぎを聞きながら歩くことができることに
幸せを感じます。

今年最初の仕事は古文書のデータをパソコンに入力する作業です。
久しぶりのデスクワークでしたが、無事に仕事を終えることができました。

帰り道、大きな月が東側の空に低く浮かんでいました。とても神秘的です。
今日は満月だったのですね。新年早々、美しく輝く満月の姿に感動しました。

私は月を見ると、亡くなった祖母を思い出します。祖母が亡くなった日が、
満月だったからです。祖母は月になって、私たちをいつまでも見守っている
のだろうと。

明るい月明かりに包まれながら、良い心持ちになって帰宅の途に着きました。

車窓から

2015-01-04 20:10:22 | 仕事
今日で長かった正月休みも終わりです。

実家からの帰り道は、のんびり鉄道に揺られてきました。

車窓から見える風景はとても美しいものです。

広々とした田園、電車の風にそよぐ薄の原、白石川で泳ぐ白鳥とカルガモ、
貝田・藤田の熟れた柿の木、真っ白い雪で覆われた遠い山々。

まるで絵巻物を見るように、次々に移り変わる土地の姿を飽きることなく
眺めていました。

「ふるさとは遠きにありて思うもの」

電車に揺られて故郷から遠ざかる私には、室生犀星の言葉が思い出されます。
けれども、私にとって故郷は「悲しくうたふもの」ではなく、私を勇気づけて
くれるところ。

故郷は私の心の拠り所として、なくてはならない場所になっています。

明日から仕事始め。今年もしっかりと仕事に励んでいきたいと思います。

新年の幕開け

2015-01-01 20:46:00 | その他
明けましておめでとうございます。

朝から家族とおせちを食べ、お酒を呑んで、新しい年を祝いました。
昨年と変わらず、家族が全員そろって新年を迎えることができたことに感謝です。

そのあと、近くの氏神様まで初詣に歩きました。
奥羽山脈から吹いてくる冷たい西風。頬がひりひりと痛むほどです。
この新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込んで、からだのなかに取り入れると、
心身共にフレッシュな気持ちになりました。

初詣はたくさんの参拝客であふれていました。どの人の表情も素敵な笑顔。
人間は笑顔に囲まれると、とても元気になりますね。
氏神様へ昨年の御礼と今年の無事を祈願してきました。

私、今年は1日1日を丁寧に過ごしていきたいと思います。
心にゆとりをもって、人生が楽しめるように。

みなさまの元にも福が訪れることを願っています。

本年もよろしくお願いします。