学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

あじさい雑感

2007-06-30 23:17:25 | Weblog
あじさいに衣を着せるとするならば、
一体何が似合うだろう。

五月雨。
甘い露が花弁をしっとりと濡らす。
あじさいがとたんに妖艶になる。
しかし、同時に気品も高まる。

かたつむり。
ちかごろ、とんと見なくなった。
いつもそばに居たはずの友人。
君たちはどこへ行った。

日陰。
照りつける太陽の下よりも、
人目につかぬ日陰に咲くがいとおしい。
紫と白を溶かした花弁と深緑の葉っぱ。
ひっそりとした、つつましい姿が美しい。

そんな他愛もないあじさい雑感。

次は萩原朔太郎

2007-06-29 20:56:39 | Weblog
健康診断の結果は、前回のブログでも書きましたとおり、
要観察と出たわけですが、今日保健婦さんと話す機会があり、
異常がないと同じだから心配いりませんと言われました。
ほっと一安心。気分が楽になりました。

先日、北原白秋の『邪宗門』は苦手との話をしましたが、
再度読んでみても、どうにも好きにはなれませんでした。(失礼!)
ここのところは、萩原朔太郎の『月に吼える』を
読んでいます。朔太郎の詩は、小学生の時分に
「青竹が生え・・・」と暗記させられた覚えがあるくらいです。
白秋よりは楽しめるかな、と思っています。

さて、どうしてこんなに詩ばかり読んでいるのかと
申せば、何も詩人になりたくなったわけでもなく、
ロマンチックな気分にひたりたいわけでもなく、
「仕事」の一言に尽きます・・・。
でも、「仕事」と割り切らないで、詩を読むことで
心が豊かになればな、と淡い願いもこめながら詩を
読んでいたりします。

詩を読む人も詩人である、という言葉を三好達治が
言っていたような気がしますが、詩はやはりいいですね。
心の琴線にふれる味わいがあります!

健康診断は

2007-06-27 22:04:25 | Weblog
「要観察」という結果に・・・。
どうも心臓が悪いらしいのです。
実は中学生のときに一度ひっかかりまして、
高校、大学と何も問題はなかったのですが、
就職して去年、数年ぶりに心臓でひっかかりました。
そして今年もですから2年連続。

心臓が痛むことはないですし、普通にマラソンや
サッカーなど運動もできるので、あまり実感はないのです。
とりあえず、医者が巡回してくるので、
そのときに具体的な話が聞けるのだそうです。
保健婦の話だと、心配は入らないということなのですが・・・。

さすがに今日は一日落ち込んでいました。
あまり仕事に集中もできず。
あ~明日には少しでも気分が楽になればいいけれど!

美術館へ行くのに

2007-06-26 21:50:56 | Weblog
おしゃれをしていきますか?
私はあまりこだわらない方でしたが、
今日の場合は、少しこだわった方が良かったかもしれません。

ホテルニューオータニ美術館での「広重・名所江戸百景」展を
見てきました。その感想を書く前に・・・。

私は初めてニューオータニへ行きましたが、
入り口にはBMWやベンツが待ち合わせのため、待機中。
ホテルに入ってゆく人たちはみんなおしゃれ。
そして自分の服装は場違い?
そんな気持ちでいっぱいでした。
(もちろんみっともない格好ではなかったけれど、
 それでもちょっと引け目に・・・)
ホテルの美術館(滅多にないけれど)の場合、少し服装にも
気をつかった方が良い、というのが今日の教訓です(笑)

さて、展覧会は、とても面白いものでした。
歌川広重の大胆で面白い構図に驚かれっぱなし。
普通、こういう角度からは画かないな・・・と思うような
ところから画いているのだから面白い!
広重の何事にも捉われない自由な発想が楽しめます。

作品展示だけではなくて、浮世絵の舞台となった場所と
現在の場所をスライドによる比較をしていたり、
浮世絵の作り方のビデオを上映していたりと、
来館者にもとても親切な展覧会でした。
作品数もそれほど多くはないので、一点ずつ作品を
丁寧に見ていくことができます。

展覧会は7月1日で終了とのことです。
私はぜひオススメしたい展覧会ですね!

『邪宗門』を買う

2007-06-25 22:09:43 | Weblog
今日は、書店で『北原白秋詩集』(上・下)を買ってきました。
これは自分の趣味で、というよりも、勉強のためです。

北原白秋の名を聞くと、真っ先に『邪宗門』を想像される方が
多いのではないでしょうか。
現に、私も白秋といえば『邪宗門』を思い浮かべます。

『邪宗門』は白秋のデビュー作。
これまで聞いたことはあっても読んだことがなかったので、いざ熟読!
ところが・・・。正直に申しまして、私はちょっと苦手です(失礼!)
異国趣味が過ぎると言いますか、今読むと、ややわかりにくいような
気がします。
(おそらく時代背景として、明治時代になって、日本で南蛮の研究が
盛んに行われるようになり、白秋はその影響を受けていると思われます。
南蛮に詳しい知識をお持ちの方なら楽しめるのかも)

詩は心にしみてゆくもの、と勝手なイメージを作り上げていた
私にとっては苦手でした!

明日は予定通り東京へ行こうと思うので、車内でもう一度
じっくりと読んで見たいと思います。

無題

2007-06-24 23:33:34 | Weblog
今日、出勤すると自分の机上に
私宛の図録が一冊を置いてありました。

ある美術館が、当館と私個人宛ての2冊、図録を
送って下さったのです。
今まで、個人宛で図録を頂いたことが
なかったので、とてもうれしい気持ちです。
大切に読ませていただきたいと思います。

さて、私は火曜日も休みなので、業務終了後に
面白そうなパンフレットがないかどうか、
ラックのなかを探していました。
これは!と思うものが、
ニューオータニ美術館の「広重・名所江戸百景」展。
大胆な歌川広重の構図をぜひ見たい!
そんなわけで、明後日は東京へ参ります。

明日は色々と予定が入っていて、一日が全てつぶれそう。
特に出かける用事もないですけれど、
ここのところ日中が暑いので、涼しいことを願います。

それではおやすみなさい。


『野分』を読む

2007-06-23 22:28:37 | Weblog
『野分』(のわき)は、夏目漱石の作品。
自分の意志を貫こうとする元教師白井と、
過去と未来に絶望しているかつての教え子高柳を
中心に展開していく話です。

数ある漱石作品のうち、『野分』はちょっと説教じみたところが
ありますが、私のなかで最も好きな作品になりました。
(ちなみに以前は『こころ』。)

白井の教え子高柳君、まさに私とそっくりな性格でした。
私はマイナス思考の人間なので、この高柳君が自分自身のように見え、
また、高柳を諭す白井の言葉も私に投げかけられているように思えたのです。

少し引用してみます。
白井「然しあなたの生涯は過去にあるんですか未来にあるんですか。
   君はこれから花が咲く身ですよ。」
高柳「花が咲く前に枯れるんです。」
白井「枯れる前に仕事をするんです。」

そんなやり取りが続いていきます。
白井の言葉、つまり漱石の主張がぐさぐさと私の心に突き刺さって、
精神を叩きなおせといわれたような気分です。

『野分』。
短篇ですので、マイナス思考の方にはオススメ?です。

3時間話し込む・・・

2007-06-21 20:44:26 | Weblog
家から出て、街をぶらぶらしていると、
面白そうなギャラリーを見つけたので、
早速入ってみました。

自宅をギャラリーに改造した場所。
純和風で、ちょっとした庭園もありました。
私は人見知りをするので、ギャラリーは
苦手なんですが、大変気持ちの良い空間に
感動。3時間近く、オーナーと話込んでしまいました。

3時間も何を話していたのかといいますと、
美術館のことはもちろん、オーナーのコレクションや
民芸運動、本の装丁など、美術のいろいろな分野について
お話をしました。

美術と通して、色々な人に出会うことができる。
これも学芸員の特権なのかもしれませんね。



さて・・・

2007-06-21 09:26:48 | Weblog
今日は休みです。
昨夜は美術館へでも行こうかと思いましたが、
あまり気乗りせず。

朝からじめじめとした暑さで体力が奪われています。
こう湿気が酷くては、何をする気にもなれず。
かといって、家でごろごろ過ごすのも、なんだか
もったいないような気がして。

私は東北生まれのくせに、夏は強くて、冬は滅法弱い体質です。
みんなからよく逆じゃないの?といわれますが、
逆ではないんですね。(笑)

ところが今年はまだ夏本番にもなっていないのに、
げんなりしています。
ちょっと太ったせいで体質が変わったか・・・(笑)

ま、何はともあれ?
家には何だか居たくないので、どこかへ出かけてきます。

招待券について

2007-06-20 22:17:21 | Weblog
美術館には、他館のパンフレットやチラシの案内が
たくさん送られてきます。
私たちは、それらを見て、展覧会情報をつかみますし、
あるいはパンフやチラシのデザインで素晴らしいものがあれば、
メモなりをして、自分がデザインをする際の参考にしたりもします。

さて、美術館に送られてくるものに、もう一つ、招待券があります。
ほとんどが無料で展覧会を見られる券。
これは大変ありがたいものです。
美術館によっては入館料が1,000円以上しますからね。
けれども、最近私はあまり招待券を使わなくなりました。

理由は、ちょっと変わっているのかもしれないけれど、
自分でお金を使わないと、じっくり絵を見ないから、です。
招待券だとどうしても気持ちが軽くなってしまいます。
自腹を切ると、なんとしてもお金の分は
じっくり見てやろうという気になりますよね。
私もまさしくそうなのです。

ですから、私の勤める美術館ではアルバイトさんでも
自由に招待券を持って行ってもらっても良いことにしています。
学芸員が招待券を送ってきた美術館全てに行けるわけでも
ありませんしね。

明日、私はお休み。
どこか美術館へ行こうかな?

今日は、招待券のお話でした。