学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

体調が元に戻った…?

2016-08-31 21:40:51 | その他
3年前から断続的に続いている、わたしの体調のわるさ。具体的な症状としては、めまい(自分が揺れているような気がする)、えづき(常に喉を押されているような感覚がある)、頻繁な頭痛、そして自分は気がおかしくなってしまうのではないかという謎の恐怖感。

病院や人間ドックで診断を受けても、どこも悪いところはないと言われる。けれど、わたしは実際にはこういう症状が起きている。わたしは様々な本を読んで、自分はどうも自律神経が悪くなっていて、それがパニック障害のような症状を引き起こしているのではないかと判断しました。そこで、まずは元から改善しなければダメだと思い、自律神経を回復させるために、運動や早めの睡眠、カフェイン禁止、禁酒を自らの課題として実行しました。そのせいか、気がおかしくなってしまうのではないか、というパニック障害のような症状は改善しましたが、依然としてめまい、えづき、頻繁な頭痛は治りませんでした。どうしたら、以前のように健康になれるのだろうか、もう昔のようにはいかないのだろうか、と、もうほとんど諦めかけていたときのこと。

とある本に、セトロニンを増やすにはガムを噛むと良い、と書いてあったのを見かけたのです。セトロニン、というのは人間の生体リズムを司る物質で、精神面に大きな影響を与えるものです。自律神経やパニック障害は、このセトロニンの少なさがもたらす症状のようなのです。わたしは普段、ガムを噛む習慣はなかったのですが、その本には科学的な根拠も提示されていたので、まずは試してみようとガムを噛むことにしました。

といっても、仕事中にガムを噛むわけにはいかないので、朝、昼、夜とご飯を食べた後にガムを噛む習慣をつけました。一日三回ですね。すると、噛み始めてから3日目で、喉を押される感覚がなくなり、同時にえづきがなくなりました。これはいいな、と思い、さらに噛み続けると、めまいもなくなり、さらに頭痛の回数も月8回程度あったものが、月1回までに減少しました。もちろん、パニック障害のような症状もまったくなし。

3年間で、あれほど苦しめられた症状がぴたりとなくなりました。ガムを噛むことで、わたしの体の中のセトロニンが増えたのだとしたら、やはり数々の症状は自律神経が弱くなっていたために起きていた症状だったのでしょう。これまで結構体に無理をさせてきたのかも、反省する次第です。今後、体調がどうなるのかわかりませんが、とりあえず、これからもガムを噛む習慣は続けて、様子を見たいと思っています。

健康であることがいかに幸せなことか。この3年間はつらかったけれど、自分の体を考える良い機会となったのかもしれません。そう考えれば、とてもありがたいことです。


群馬県立館林美術館「再発見!ニッポンの立体」

2016-08-30 20:09:31 | 展覧会感想
 先日、わたしは群馬県立館林美術館へ行ってきました。館林美術館は多々良沼公園の一角にあり、現代的な建物でありながら、周りの景観と調和していて、とても素敵な場所です。周りの景観と調和する、という点では、栃木県の宇都宮美術館と似ているのかもしれません。

 現在、館林美術館では「再発見!ニッポンの立体」展を開催しています。

 タイトルの通り、日本の立体作品にスポットを当てています。展覧会会場に足を運ぶと、最初に迎えてくれる作品は縄文土偶です。かつて「立体」は信仰の対象となっていた、と紹介され、神像、仏像、円空仏、木喰仏、狛犬…と続きます。このなかでも、わたしは木喰仏のシンプルな造形がとても好きで、じっと見入ってしまいました。あるのか、ないのか、わからないぐらいの細い眼と細い口。体も腕、指などの細部は一切ないのですが、蓬莱を両手でささえているイメージで彫られています。とても良い仏像でした。このように近世までの「立体」は信仰の対象でありながら、郷土玩具のように、どこか人間との距離の近さも感じさせてくれます。

 近代になると「立体」は美術作品の1ジャンルとして扱われるようになります。高村光雲、高村光太郎らが活躍したのもこの時代。さらに「立体」は偉人たちの胸像として記念碑的な意味合いも持つようになってきました。そして現代、グループ七彩の《仲間》はまるでそこに人がいるかのようなリアルさを持った作品(顔や腕のシワまで本物の人間のよう!)ですし、棚田康司さんの《卓の少年》2点はどこか寓意的で、見る角度を変えると人物の表情も変わるように見える作品、野口哲哉さんの武者のシリーズは人の普遍性を物語るなど、さまざまな可能性を伝えてくれます。

 わたしは彫刻に関しては勉強不足ですが、時代ごとのスタイル、というものが油絵や日本画ほど顕著に見えてこないところが面白いと思いました。現代的な作品だと思って、キャプションを見ると昭和初期だったり。その逆もしかり。固定観念の枠を外されたような感覚を得ること多々ありでした。

 最後に、展示室では「愛らしい小さな立体」のテーマがあり、根付、水滴などの作品が展示されていました。とても精巧で可愛らしいものばかり。そこでふと、近年はやっているガチャガチャの玩具にも、似た要素があるのではないかと思いました。動物、恐竜、城、アニメのキャラクターなど、いずれも「立体」で精巧に作られており、可愛らしいものですよね。もちろん、芸術的な価値、という点では異なりますが、かつて根付や水滴のような小さなものを愛した心が、今の私たちのなかにも生き続けている…と考えるだけで「立体」と私たちの距離は相当近いような気がするのでした。