学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

7月も末

2009-07-31 20:07:19 | その他
今日で7月も終わりです。あまり名残惜しくもありません。これで8月が終わりとなると、夏も終わる感じがして、ちょっと悲しくなる。高校野球も終わってしまいますしね。

7月は初めからイライラ感で充満していましたが、秋田旅行を楽しんで、その後は読書三昧の日々を送ることで、だいぶストレスも解消されてきました。ときどき思い出し笑いならぬ、思い出し怒りをすることもあるのですが(笑)

まだ先は早いのですが、9月に連休が取れそうなので、また旅行へでも出かけたいなと考えています。行き先は…金沢、長野、津和野…どこを選んでも楽しそう。まだ未定です。昨年、忙しくて旅行へ行けなかった分、今年は沢山出かけて、楽しみたいと思います。

明日から8月、気持ちを切り替えて、また頑張ります。

雨多し毎日

2009-07-30 21:55:05 | その他
暑いうえに雨が多く、げんなりする今日この頃。こうしてブログを書いている今も強い雨が降り続いています。

今日は来年開催予定の展覧会に向け、出品作品を選定していました。テーマに沿う作品を図版を見ながらあれこれイメージしてゆく。まだ日はありますから、余裕をもちながらの作品選定。テーマに沿うといっても、これがまた難しいものです。私はおおざっぱな作品を選んで、そこから絞込みをかけるほう。いい展覧会になるといいのだけれど。

今日はこれから読書、といいたいところですが、あまりの暑さに断念。布団に寝転がりて、眠ることにします。それではおやすみなさい。

ささやかな休日

2009-07-27 18:35:44 | その他
今日も暑い一日。少し早めに湯を浴びて、冷やした胡瓜をひょいと口に放り込むと、これがまた瑞々しい。

輪切りの胡瓜をかみながら、南の空を眺めると、美しく虹がかかっているのが見えました。虹を見るなんて何年ぶりだろうかなあ、と子供みたように指折り数えてみたとて、記憶はほとんど戻らず。されば虹を見ながら日本酒でも、と考えてみたけれど、肝心の酒がなくては涙ばかり(笑)虹は吉兆でしょうか?

話は打って変りますが、近頃、もっと体系的に日本美術の知識を見に付けたくて、上京のたびに東京は上野の国立博物館に立ち寄っています。日本美術史のテキストをたずさえて、気になるところはチェック。本は考えるきっかけ、しっかり本物を見て、自分のなかでつかめるものをしっかりつかんでおく。そこまでしたとて、悲しいかな、記憶は徐々に薄れるもので、あとは反復するしかない。勉強の仕方は学生時代と同じ。

粘土なくして煉瓦は造れない。日々勉強に励んで、色々な知識を吸収したい!と改めて思ったささやかな休日でした。

ワークショップ

2009-07-26 20:53:53 | その他
暑い日曜日の今日は、当館でワークショップがありました。講師の先生をお招きして、大人10名で開催です。当館では夏にワークショップを行うのは初の試みで、人数が集まるかどうか最後までわかりませんでしたが、市の広報誌やHPでの広報、また窓口での呼びかけで定員の人数となりました。

私は講師の先生を補助する仕事で、あちらへいったり、こちらへいったり。涼しいドライの効いた部屋にも関わらず、汗でいっぱいです。参加者のみなさんは、とても真剣、絵を描き始めると、いつの間にか集中するのですよね。私は邪魔にならないように、気をつけながら動き回っていました。

絵が完成するのは、来週です。みなさんの絵がどんな風に完成するのか、私もとても楽しみにしています。



芥川龍之介追悼

2009-07-25 18:43:27 | 読書感想
昨日、7月24日は芥川龍之介の命日。芥川が亡くなってから82年の歳月が経ちます。

私にとって芥川は、つらい時代と共にした盟友のような存在…というと大げさですが、兎に角、芥川に対して心酔していた時期が長かったのです。

昨夜は私なりにかってな芥川追悼で、お酒を飲みに出かけました。芥川はお酒をたしなむ人であったかどうかはわからないけれど、少なくとも私はたしなみます(苦笑)アクアビットのグラスを少し高く上げて、乾杯!

芥川が死んだ日はすこぶる暑かったそうですが、昨夜は雨降りでやや涼しげ。

最近、あまり芥川の小説を手に取ることも無くなったけれど、私のなかで芥川は未だに生き続けているのでした。



『おくのほそ道』

2009-07-23 18:58:11 | 読書感想
近頃、昼休みに『おくのほそ道』を読んでいます。なぜ、この本を選んだかについて、とりたてて理由もありませんが、私が生まれた東北が舞台の1つとなっているので、なんとなく手にとってみた次第です(笑)

まだ読みかけですが、心温まるは那須黒羽において、馬を借りた芭蕉と曾良。すると馬の後ろを小さな女の子がとぼとぼ追いかけてくるんですね。女の子は「かさね」という名前。いい名だね、と曾良が「かさねとは 八重撫子の 名成べし」と読みます。訳注を読みますと、「かさね」とは可愛い名前で、花ならば八重撫子の名でありましょう、との意味とか。ほのぼのとしていいですよね。仮に曾良ではなく、師の芭蕉だったら、ここでどんな句を読んだのでしょうか。

私は『おくのほそ道』に出てくる句がとても好きで、ちょっと変わっているかもしれないけれど、一日5作ずつ暗誦しています。だからなかなか先に進まなくて、本当に旅をしているみたい(笑)

『木啄も 庵はやぶらず 夏木立』(きつつきも いおはやぶらず なつこだち)

今のところ、私が最も好きな句。今日もまた『おくのほそ道』で旅したいと思います。

夏休みの美術館

2009-07-22 21:36:44 | その他
いよいよ夏休みです。夏休みといっても、それは学生だけ。ほとんどの社会人はお盆まで働かなくてはなりません…。

学生が夏休みになると、当館は子供達でにぎわいます。休日はもちろん、平日もお母さんと一緒に来る子供が多く見られ、美術館が親子のコミュニケーションの場となっているようで、とても嬉しく思っています。

これからますます子供達でにぎやかになるでしょう!子供達の元気の良さに負けないように頑張ります。

樋口一葉

2009-07-21 16:27:14 | その他
樋口一葉といえば、その肖像が現在の五千円札に取り入られていることで知られています。それだけ肖像が知られていながら、では、一葉の小説を読んだことがありますか、と問えば、大方の人がない、と答えるのではないでしょうか。実際、私も読んだことがありませんでした。

数日前、何とはなしに角川文庫の『たけくらべ・にごりえ』を買ってみました。一葉の文体は平安時代以来の文語体(書き言葉ですね)を用いているので、口語体の夏目漱石のようにすいすいとはいきませんが、何事も慣れというもの、次第に違和感なく読めるようになりました。

明治24年、20歳のときに作家として生計を立てることを決意した一葉。その後、25歳で亡くなっていますから、作家活動は5年間でした。私は『大つごもり』、『十三夜』、『わかれ道』を読んでみましたが、登場人物たちはみな生き生きとして、文章に情緒があって美しいもの。江戸のなごりなのでしょうね。作家丸谷才一氏によれば、一葉の小説は女性に厳しくて、男性に甘いとのこと。まさにそう。だから、男の私が小説の世界に飛び込むと、何だか居心地がいい(笑)

これから『たけくらべ』、『にごりえ』を読んで、また一葉の世界を楽しんでみたいと思います。



楢岡焼、角館

2009-07-19 20:54:40 | その他
いよいよ秋田旅行最終回です。

朝起きると頭が痛くてしょうがない。旅で二日酔いは初の経験でした。情けないことです(苦笑)

二日目は徒歩から一転、秋田の友達にお願いをして、車で新緑の秋田路を案内していただきました。忙しいのに、どうもありがとう!

最初は大仙市南外の楢岡焼工房。友達がわざわざ窯元に連絡してくれ、なかなか見ることの出来ない作業場や登り窯を見学させて頂きました。楢岡焼は青みの深い海鼠釉が特徴で、民藝運動の中心人物柳宗悦も著書『手仕事の日本』のなかで「東北第一」と絶賛した焼物です。焼成前を見せていただきましたが、元々の釉は灰色なんですね。それが焼成されるとあれだけ美しい青みになる。焼物の素晴らしさに改めて感じ入りました。使い込んでいくと、また色が変わってゆくのでしょうね。

ここから角館へ。秋田の田園風景、そして山々を越えて。

角館でお昼を取って、のんびり武家屋敷を散策。横手のように、黒い板塀がずらりと並びます。横手と違うのは、実際に武家屋敷のなかを見学できること。色々見てまわりましたが、特に感動したのは写真にある欄間。板目を横にして、亀を透かし彫りしています。板目が横になりますから、亀が川の流れにいるように見立てているのだとか。さらに驚くべきことは、その裏側へ廻りますと、亀の姿がぼんやり陰になって映っている。明かりに影がゆらゆらゆれて、ますます亀が水の中にいるよう。こういう趣向、もしも自分が家を建てるときは取り入れたいものです(笑)毎日が楽しくなりそう。

そうこうして楽しんでいるうちに、いつの間にか、時計の針は私が帰る時間に近づいてしまいました。楽しい時間はやはり早く過ぎてしまう(泣)友達と別れ、帰りの新幹線で思うのは、秋田の旅で出会った人たち。みんな良い人たちばかりで、今までで一番楽しい旅でした。二日酔いにもなったし(笑)。出会った人たちに感謝して、また秋田に旅行に行きたいな、と思うのでした。

居酒屋にて

2009-07-18 20:06:20 | その他
その店内は小さかったけれど、とても上品で綺麗でした。まだ時間が早いこともあって、お客さんは誰もおらず、私はカウンター席に座って、ゆっくりお酒を飲むことにしました。お店は女将さん1人でされているそうで、私は「刈穂」を飲みながら、いろいろと話をしました。

「仕事帰り?」
「いえ、旅行しているのです。」
「旅行?横手に?珍しい人もいるもんだわ。どこ行つたの?」
「横手城と日新館、あと武家屋敷にも行きました。」
「それは渋いはね(笑)」
早くもほろ酔いになりだした私は、おつまみに「ホヤ」を注文する。
「あなた、仕事は何をしているの?」
「美術館で働いています。」
「へえ、あなたの指を見たとき、職人さんかと思つたわ。」
「そういふ指をしていますか?」
「してるわ。ちょっと指がしつかりしてゐるもの。」
と女将さんが笑ふ。
指がしっかりしているねえ、と私は自分の指をまじまじとみる。
この辺で常連客と思しき男女がいらっしゃる。
私は「山内杜氏」を注文する。相当酔いだした私。でもまだ記憶はある(笑)

「毎日暑いねえ。あ、そうそう、このお客さん、旅行で横手さ来てんだって。」
「あら、そう珍しいねえ。」
「そんなに横手へ旅行に来るのが珍しいですか(笑)」
「珍しいさ。」
「明日はどこへ行くの?」
「角館です。」
「あすこもいいとこだよ。」
「うん、あすこはいい。」
「あんたお酒好きそうだから、角館駅の前にある酒屋さんに行ってみな。」

そんな調子で私は酔いながら、見ず知らずの人たちとの話が楽しくてしかたがありませんでした。楽しい時間はあっという間に過ぎる。何時の間に深夜になってしまいました。そろそろお会計を、の一言が何だかさびしくて。

「また横手に来たら、お店に寄って行きなね。」

店の外に出て、夜風にあたって、空を見上げると、満天の星空。ああ、秋田に来て良かったなあ、と私は深く思いながら、ふらつく足でホテルへ戻るのでした。