学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

家事と画集の休日

2010-05-31 19:14:50 | その他
午前中はとても晴れて暖かいと思っていたら、しだいに雲がわいて、今は雨が降っています。なかなか晴れ間が続きませんね。

休日の今日は、掃除、洗濯、皿洗い…要するにいつもの家事仕事です(苦笑)ここのところ書店へ行くと整理術の本や雑誌が山積みになっていて、今ちょっとしたブームなのかな、と思いました。整理術、というと、オフィスの書類や物品などをイメージしますが、家のなかでも整理術は使えるわけで、整理整頓を心がけるとスッキリして気持ちもよくなりますし、見栄えもいいですよね。私も休日のときにまとめて整理整頓はやりますが…なかなかうまくいかない(笑)一度にしようとすると手が付けられないので、今日はクローゼットを少し綺麗にしてみました。

午後はおとなしくソファで読書。コーヒーを飲みながら、チョコレートをつまんでいました。ゆっくり本を読む時間が取れなかったので、久しぶりにジュリアン・オピーの画集を眺めていました。ジュリアン・オピーの絵は単純化された人物像がほとんどで、日本の浮世絵の構図も取り入れられているようです。そのせいなのか、私はとても好きです。数年前に茨城県の水戸芸術館で展覧会が行われたようですが、見に行くことが出来ず、次の大規模な展覧会を心待ちにしています。

明日からはいよいよ展覧会の準備最終段階です。今日でしっかり休息できましたので、明日からの仕事は気合が入りますね!

風邪のひきはじめ

2010-05-29 19:54:41 | その他
晴れたり、曇ったり、雨が降ったり…ここのところ、天気がめまぐるしく変わって、いや天気は良いとして、気温差が激しくて、げんなりしてしまいます。そのせいか、今日はちょっと風邪気味。風邪になると、仕事のペースも遅くなりますし、家に帰っても家事が億劫になってしまってこまります。

風邪をひくと、誰しもが早めに床につくと思います。私もそうです。そして眠れません(苦笑)うとうとして、さあ眠ってしまうと、私はなぜか仕事の夢を見ます。展覧会の準備が全然出来ていなくて慌てふためいたり、職場で倒れてしまったり、要するに風邪をひいているときに見る夢はろくなことがない(笑)治すためには寝るしかないので、しかたがないですけれども。

一人暮らしの風邪ひきは大変にわびしいもの。明日は仕事なので、早めに休むことにいたします。悪い夢を見ないことを願って…。

街中へポスターを

2010-05-27 19:11:50 | 仕事
朝、目を覚ましてカーテンを開けると、外は一面の霧…。私の住むところは、ときどき霧に包まれることがありますが、ここまで霧が深いのは久しぶりでした。霧がはれてゆくと、いつもどおりの街並みが広がっていましたが、ちょっと不思議な気分。

街中へ新しい展覧会のポスター配りへ行ってきました。いわば営業活動です。ポスターで美術館のPRをお願いするわけですが、行く先々で街の人と交流することが出来て、私には大切な時間です。今日はお菓子屋さんへポスターのお願いに行ったところ、お菓子を買いに来ていた他のお客さんが「私にもポスターを下さい」とおっしゃって下さいました。うれしい限りです(泣)街の方々のおかげで街の至るところに当館のポスターが貼ってあり、とても感謝の一日でした。

明日から久しぶりに晴れるそうです。週末、お客様で美術館がにぎわって欲しいな、と切なる願いを込めて、明日もまた営業です。



雲の上の人

2010-05-26 20:49:04 | 仕事
朝から大雨。雷によって目が覚めました。とんだ目覚ましですね(泣)

今日は展覧会に伴う講演会の依頼に先生のお宅へお伺いしました。イギリス文学がご専門の先生ですが、アートにも大変造詣が深い方です。話のところどころに、人と人との出会いの大切さを感じました。こちらの先生、学生時代に日本民藝館のそばで昼寝をしていたら柳宗悦に会ったとか、詩人の堀口大学とよくご飯を食べに行ったとか、話される内容はすごいものばかり…。私が本でしか知らない方々と面識があり、私にはまさに雲の上の人。ずっとお話を聞いていたいくらいでした。

先生から面白い話を伺いました。

先生「シェークスピアの全作品は何点あるか知っていますか?」
私「わかりません。」
先生「36点。シェークスピアは戯曲だよね。戯曲は舞台でやる。あれを見ろ、そう、36(見ろ)と覚えるとわかりやすいよ。」
私「なるほど!!」

学生時代以来の語呂合わせに、妙に納得した私でした(笑)

今年の夏、先生の講演会があります。私が担当の仕事ではありますが、どんなお話をして下さるのか、今からとても楽しみです。

テレビ取材の打ち合わせ

2010-05-25 20:58:59 | 仕事
とても暑い一日。お昼休みに外へ出ると、汗がだらだらと流れるような気温でした。今は湿気がまだ高くないことが救いです(泣)

今日はテレビ取材の打ち合わせがありました。約30分の番組内でどのようなことを取り上げるのか、テレビ局の案をもとに美術館側としてPRしたいことを述べていきました。私は…以前から申し上げている通り、テレビ取材は大の苦手。30分間、私がずっと出ているわけではありませんが、今からすでに緊張しています。何度も予行練習をやって、NGのないようにしていかなければいけませんね。

打ち合わせの結果、作品をただ切り取って紹介するのではなく、作品を通して作家の生涯をたどってゆくものになりました。さて、これから台本作りに着手されるそう。どんな番組に仕上がるのか、とても楽しみです。解説は緊張しますけれどね(笑)

雨の日の過し方

2010-05-24 19:42:23 | その他
昨日から降り始めた雨が、今日も一日降っていました。雨のせいかはわからないけれど、今朝は珍しく寝坊…仕事ではなくて良かったとホッと一息。

雨の日の過し方、私はなるべく出かけるようにしています。月曜日ではければ美術館へ行きますが、今日はどこも休館ですので書店へ出かけました。書店へ行って美術関連の本や雑誌を探すのはもちろんですが、そのほかにも政治や経済、ビジネスなどの本棚へも向かって今何が注目されているのか、そうした時事の情報も得るようにしています。得るといっても、一日中そこで本を立ち読みするのではありません。書店では、その書店の視点で、今注目されている本を目立ったところに置きますから、本の表紙をざっと見て行くのです。例えば…ビジネスであれば、いわゆる「朝活」とか「時短」などのキーワードが目立つとか、日本文学なら、山積みになっていたであろう太宰治の『人間失格』がかなり売れていることがわかり、『人間失格』が売れる今の文明ってなんだろうか?と考えてみたり、そうしたことを書店に置かれている本の状態から学びます。

もちろん、実際に興味ある本は購入します。今日は仕事のスピードを上げるコツを書いた本、池内紀さんの翻訳『ブリキの太鼓』(ギュンター・グラス著)を購入しました。私は仕事のスピードを出来るだけ上げて、アフターファイブはインプットの時間に費やしたい…毎日そうした生活はできませんが、こうしたことを心がけて仕事に取り組むようにしています。『ブリキの太鼓』は河出書房新社刊の世界文学全集、近頃分厚い小説を読んでいないので、久しぶりに挑戦してみようかなと。挫折しなければいいのですが(笑)

雨降りでしたが、とても楽しめた一日でした。




笠間焼の急須

2010-05-18 20:50:23 | その他
生活をデザインする。自分で好きなものを集めて、それを生活に取り入れてゆく生き方。一応、私はそうした生活を心がけて生きているつもりです(笑)

焼物に関して言えば、私は茶碗や湯のみ、盛り付けの皿が欲しくなると、栃木県の益子や茨城県の笠間へ出かけて、ゆっくり選んで買うことにしています。これらの焼物は大量生産ではありませんから、一つ一つ味わいがあって、自分の両手にとって、ぴったりとくるものを選びます。そうして、この皿にどんな料理をのせると良いか想像して見るのです。料理が焼物を引き立ててもいけないし、焼物が料理をひきたてるのでもなく、料理も焼物もどちらもうまく引き立つかのバランスを考える。これはなかなか欲張ったことかもしれませんし、決まった答えはないものですが、自分を信じて選びます。だから、選ぶのにやたらと時間がかかる(笑)




今日ご紹介するのは、笠間焼の急須です。私の笠間焼のイメージは、この急須のような緑。森林の多い笠間を象徴しているような色に感じられます。もう使い込み過ぎて、いつの間にか口が欠けてしまいました。でも、捨てる気にはならず。まだまだ使えます。また、お茶の渋みが染み込んで、中は何とも言えない味わい深い色に変わっています。使えば使うほど、味が出てくるのが、焼物の特徴ですね。

笠間焼の歴史は18世紀後半までさかのぼるのだそうです。残念ながら「民藝」の柳宗悦は、あまり笠間焼については言及していないよう。ちょうど笠間焼が下火の時期だったからかもしれません。現在の笠間は色々なギャラリー、カフェが数多く出来ていますし、陶芸美術館も毎回興味深い展覧会を企画していまして、街全体が明るい調子に感じられます。

皆様もぜひ茨城県の笠間で、好きな焼物を選んでみてはいかがでしょう♪

丸谷才一著『横しぐれ』

2010-05-17 21:45:20 | 読書感想
短編小説は何のために書かれるのでしょうか。例えば、小説家村上春樹氏は、長編小説に取り組む前の実験的な場として短編小説を書くと述べています。(『若い読者のための短編小説案内』文春文庫 2004年)村上氏はインスピレーションを自由自在に働かせて、何よりもまず短編を楽しんで書くことを主にしているよう。では、今回ご紹介する丸谷才一氏の短編『横しぐれ』はどうでしょうか。

『横しぐれ』のあらすじは次のとおりです。

晩年の父が語り出した、若い時分の四国旅行のある出来事。ひょんなことから、父が出会ったのは種田山頭火ではなかったか、と仮説を立てた主人公は、様々な説を立てて追いかけてゆきます。しかし、しだいに謎を追っていくうちに、それが実は父の秘密へ迫ってゆくことになり、やがて驚くべき真実が…。

あらすじを追って行くだけでも、村上春樹氏のようにインスピレーションで書かれた短編ではなく、かなり構成を練って書かれたことがわかります。丸谷氏の場合、小説の舞台を用いて文学史の持論を展開させてゆく方法ですね。これは『雲の行き来』時代の中村真一郎氏に近いものがあります。(丸谷氏は『思考のレッスン』(文春文庫 2002年)において、中村真一郎氏を「重要な作家」と位置づけていることからもその影響はあると見てよいと思います)。さらにミステリーの要素を織り交ぜることで、読者をぐいぐい引っ張ってゆく小説になる。とても高度な技を持つ小説である、と私は思います。

短編小説の扱い方を比較してゆくと、作家それぞれに特徴があって、しかも突き詰めてゆくと作家の小説に対する考え方までのぞくことができるので、大変面白いものがあります。私もときどき余暇に小説を書くことがありますが、村上氏に近いインスピレーションから書き出すタイプです。中村氏や丸谷氏のような小説は、私には夢のまた夢(笑)ただ、いつかそういう小説を書いてみたい、私には高い目標で憧れの小説家であることは間違いありません。

●『横しぐれ』丸谷才一著 講談社文芸文庫 1990年

無題

2010-05-16 20:15:03 | その他
とても天気の良い一日でした。晴れが続くと、気持ちも高揚してきますね!

次回展覧会のメドもついたので、明日から今までおろそかになっていたことをやりたいと思っています。例えば、家事、読書、語学、散歩、お酒飲み(笑)といったところでしょうか。かのバーナード・リーチは、毎晩翌日のスケジュールを紙に書き、それに基づいて一日を行動したので無駄な時間を過さなかったといいます。あらゆる事柄を、効率よくこなして、楽しく一日を過したいものですね。

今夜は倉敷で購入した泡グラスで、麦酒を飲むことにしましょう。冷やした麦酒が美味しい季節になりましたからね(笑)

恩師のメジャー

2010-05-14 22:15:17 | 仕事
暖かくなったり、寒くなったり、不安定な天気が続きます。こう天気の調子が悪いと、体の調子も悪くなってくるような気がしてきます。天気は案外、健康のバロメーターなのかもしれません。

展覧会の準備もおおよそ落ち着き、ある程度余裕をもって仕事を進めることができるようになってきました。がけっぷちで戦うよりも、後ろに余裕を持ったほうが、やはりクオリティの高い仕事ができるような…。

私がいつもカバンのなかに入れているのは、大学時代の先生から頂いたメジャー。そう、モノを測るときの、あのメジャーです。先生によれば、自分の身の丈を知って仕事をすること、のメッセージをこめて下さったのだそうです。私自身は謙虚な気持ちを何時までも忘れてはならないと解釈しています。

先日、ふとメジャーが目に入り、取り出してみました。仕事を始めてから、ずっとそばに持っているので、もう随分長い相棒です。謙虚な気持ちを忘れていないか、自問自答。最近、そんな気持ちを忘れてしまっていたかもしれない、と感じ始めました。いろいろ思いあたることが無きにしも非ずで…。ああ、こんなことではだめだ、と一日大きく落ち込みました。

落ち込んだら、あとは這い上がるだけ。明日も相棒のメジャーをカバンに入れて、仕事へ向かいます。いつまでも落ち込んでばかりは居られません。謙虚な気持ちは常に心のなかに入れておきたいものですね。

ちょっと文章にならない文章でしたが、思うことがありましたので、筆を取ってみた次第です。