学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

岡本太郎

2011-06-28 18:48:04 | その他
もう多くの方はご存知のことと思いますが、今年は岡本太郎の生誕100年です。3月から5月までは東京国立近代美術館で岡本太郎の大規模な展覧会も開催されました。

岡本太郎といえば「芸術は爆発だ!」の台詞と大阪万博で制作された《太陽の塔》をイメージされる方が多いことでしょう。岡本太郎はとてもエネルギッシュ。亡くなってから、早15年が経過しようとしていますが、未だに作品からは膨大なエネルギーが発散されているように感じられます。

岡本太郎は生涯において沢山の絵を残しましたが、一方で評論も熱心に書きました。書店では岡本太郎の復刻された著作本をたくさん目にします。最たるところでは、光文社知恵の森文庫の『今日の芸術』、『芸術と青春』、『日本の伝統』、ちくま学芸文庫の「岡本太郎の宇宙シリーズ」です。著作本ではありませんが、別冊太陽『岡本太郎新世紀』(平凡社)は図版が沢山が豊富。岡本太郎の著作は芸術の分野から入り込んで、日本の文明批評にまで及んでいます。そこまで主張できる画家はなかなかいなかったのではないでしょうか。絵画制作を続けながら、著作も続ける。岡本太郎のエネルギーには驚かされます。

近年、岡本太郎の残した言葉が、時代の閉塞感を打ち破るための精神の持ち方として、新しい切り口で紹介されるようになりました。私もさまざまな自己啓発本を読みましたが、岡本太郎の本はずっと面白いし、重みがあります。何が来ても乗り越えてやろう!と背筋を正されるような心持になります。殊に変な倦怠感のある今の私には特に効果的なようで…(笑)

岡本太郎に励まされて、明日からまた頑張ります!

ちょっと疲れ気味

2011-06-27 20:14:51 | 仕事
実家から帰ってきてから、どうも倦怠感がひどい…。

今朝起床して朝食を取ってから、洗濯、食器洗い、掃除機をかけたまでは良かったのですが、あとはもう何もしたくなくて、床にごろりと寝ていました。

何もしないで一日を過ごすというのは、人生において何だかひどく無意味な気がする。無意味な気がするけれど、動けないのだから致し方なし。こんな日もあるさ、と割り切って、身体を休めるほかないようです。

午後5時頃。さすがにご飯を食べなければと、今日は冷やし中華。暑い時期には欠かせないメニューです。冷やし中華にトマトと胡瓜を加えて、身体のなかから冷やす。あとは、梅干でスタミナ補充です。この夏、私はエアコンを使わないで乗り切るつもりですが、そのためには色々と対策を練らねばなりません。料理で身体を冷やすのも、そのひとつ。季節のものをしっかり食べて、栄養とつけ、なおかつ猛暑の夏を上手く乗り切らなければ!

冷やし中華を食べて、そうして今。やはりまだ何もしたくないのです(苦笑)。床に寝ておれば、そのうち眠くなるでしょう。眠くなったら、寝れば良し。しかし…この倦怠感はどこからくるのか。早く回復して欲しいものです。

私の俳句

2011-06-26 22:16:06 | その他
今日は嬉しいことがありました。

私は余暇に俳句を詠んでいるのですが、それを新聞に投稿したところ、それが掲載されたのです!まさか掲載されるとは思わなかったので、とても嬉しい!恥ずかしくもありますけれど…。

なぜ俳句を詠むか。特に深い理由もないのですが、俳句を作ろうと思って、自然に接していくと、今まで見えなかったものが見えたりします。花の名前や花びらの色、鳥のさえずり、小川の魚。普段何気ないものも意識してみると、様々なものが見える。そういう物事の接し方も楽しいものですし、観察眼が磨かれるような気がします。

新聞に載ると励みになりますね。俳句を詠んで、たくさんの人が良い心持になっていただければ、私の本望と致すところです。これからも俳句を詠んで、楽しく毎日を送りたいものです。

我が街

2011-06-25 19:17:22 | 仕事
仙台へ向う電車の窓から、青いビニールシートを屋根にかぶせた家屋がたくさん見える。長町駅の以前原っぱだった場所には、いくつもの仮設住宅が並んでいました。電車の速度で、その光景はあっという間に過ぎてしまうのだけれど、心はとても痛みます。

仙台駅は昨日同様、明かりを極力落として、少し暗めのホーム。でも、駅中央では「頑張ろう東北」をスローガンに物産展を開催していましたし、駅のお土産屋の店員さんの表情はみな明るく、構内にある牛タン、寿司通りは客が沢山並んでいました。少しずつではありますが、仙台駅の賑わいが戻ってきたのでしょうか。

このあと、仙台の街のなかを歩く予定でしたが、雨が強かったので残念ながら駅周辺だけを見るだけ。帰仙すると、いつも通っていた本屋の入ったビルは、地震の影響で工事中。私が小学校ぐらいからあったビルだから、ダメージも大きかったのかもしれません。

お昼は普及したばかりの寿司通りの一軒へ。いつもなら美味しいとだけ思っていた三陸の魚介類。お皿に並べられた魚介類を見ると、何だか泣きたくなる。私は日本酒が飲みたくなって、とあるお酒を注文しました。すると、店主が「このお酒を造っている酒蔵が被災して、どうしても手に入らなかったんです。すみません。」と。店主がおっしゃるには石巻で作られているのだとか。むしろ私のほうが「すみません」という気持ちでした。


私は宮城・仙台に育ててもらったようなもの。復興に何か力を尽くしたいのですが、何をどう尽くしていいのかわかりません…。私が生きていくうえでの、大きな課題として、日々考えていきます。

周りにある震災のつめあと

2011-06-24 07:07:38 | その他
東日本大震災以来、初めて仙台駅に来ました。
構内の天井はいたるところに白色の保護がされていて、構内がやや暗く、
節電で暗く。切符券売機上の仙台空港アクセス線には黒いテープが
貼られていて、まだ運行していないことを表していました。
震災のダメージがまだまだ続いていることを実感…。

私の実家近くの道路には、いくつものくぼみが出来ていました。
雨が降ると、そこに水がたまり、またくぼみが大きくなるのだそうです。
付近の土地は、かつて田んぼであったらしいので、あまり地盤も強くない
のかもしれません。

久しぶりに家族がそろい、昨夜はお互いの近況報告をして終わりました。

今日の日中は仙台の街並みを歩いてみます。
自分の愛する街がどれだけ傷ついているのか、知ることに怖い気持ちもありますが、
現実と向き合ってきたいと思います。

帰省します

2011-06-22 21:55:45 | 仕事
今日は真夏日。日中は蒸し暑く、汗ばむ陽気でした。毎年のことながら、これだけ暑いと仕事に集中するのも大変。午後は顔を冷水で洗って、気合を何度も入れ直しての業務でした。

仕事がようやく一段落したところで、いよいよ明日は実家に帰ります。震災後すぐ以来ですから、一ヶ月振りぐらいでしょうか。震災の被災があった実家にリフレッシュをしに戻るのはかなり気が引けるのですが…久しぶりの帰省で、しっかり心身ともにリフレッシュをしてきたいと思います。どうか明日は雨が降りませんように!

神保町の古書店

2011-06-21 21:25:18 | その他
昨日から湿度が高くて、ジメジメします。夜はまだ快適ですが、昼間はちょっと不愉快。仕事で動き回っていると、直ぐに汗をかいてしまって嫌になります。でも梅雨という時期だから致し方なし。毎年のことながら、受け入れるしかありませんね。

昨日は森美術館を見た後に、神田は神保町の古書店をうろうろしていました。本の好きな私にとってはまさに宝の山!過去の展覧会の画集を探したり、もう絶版になってしまった書籍を探して周ります。もう背表紙を追いすぎて目がちかちかし、両足が痛くなった頃に求めていた本と出合います(笑)欲しい本が見つかっても、あとは財布との相談。昨日は展覧会の図録で欲しかった本があったにも関わらず、15,000円の値段を見て断念しました(泣)でも、その分、論文で書けそうな画集を2冊買えたのが収穫。

論文の参考文献として用いるだけではなくて、暇があれば画集を眺めて気持ちもリフレッシュ。

今度いつ東京に行けるかわかりませんが、また古書店街には足を運びたいものです。

森美術館「フレンチ・ウィンドウ展」

2011-06-20 19:56:48 | 仕事
休日の今日は東京へ行ってきました。

このところの展覧会準備などでコチコチに固くなった頭をほぐそうと、森美術館の「フレンチ・ウィンドウ展」を見てきました。今日は月曜日で、ほとんどの美術館は休館日になっていますが、森美術館や国立新美術館など月曜日でも開館している美術館がいくつかあるのがうれしいところ。

この展覧会は副題として「マルセル・デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」と銘打ってあります。マルセル・デュシャン賞とは、森美術館のHPの文章を借りれば「彼の功績に敬意を表してその名を冠した同賞は、フランス人作家と国籍に関係なく広くフランスに在住する最も革新的な作家を対象とし、インスタレーション、ビデオ、絵画、写真、彫刻などの造形および視覚芸術の分野でフランスのアートシーンを牽引する作家たちの活動を支援し、国際的に紹介することを目的」としています。

マルセル・デュシャンは、日常のありふれたものもアートになりえることを提言したアーティストです。例えば、男性の小便器を傾けて《泉》として発表したり、モナリザの複製画に髭を描いてみたり。この展覧会では、そうしたデュシャンの精神性を感じさせる作品をフランス現代美術の最前線として紹介しているのです。

とても見ごたえのある、面白い展覧会でした。私が気になったものをいくつか。

デュシャンのモナリザの複製画に髭を描いた作品を見て、私も学生時代に教科書に載っている作者の顔写真にいたずらで髭を描いたっけ、なんて個人的な思い出も蘇り…(笑)

小さな自転車に何十もの鍵をつけた作品。ここまで防犯すれば自転車はまず盗まれまい、でもいちいち解くのが大変だけれどね、と作者のユニークなメッセージ性が伝わってきます。

鍵といえば、大きな岩にいくつもの鍵が打ち込まれている作品もありました。解説は何もなかったけれど、人間はみな心のなかにいくつもの秘密を持っていて、それはしっかりと鍵がかけられている、という風に私には捉えられるものでした。

映像では、残念ながら作家の名前は失念しましたが、ピンクやブルーを主体としてぼんやりとして幻想的な街を表現しているものが気になりました。私には、それが東日本大震災の津波のように見えてきました…。ときどきくるくる周る白くて小さな物体は、亡くなった人たちの魂のようでもあり。私の心の中に深く訴えてくるものとして、この映像は忘れられないような気がします。

私の気ままな感想を書いてきましたが、どのアーティストもやはり現代社会とコミットしていて、様々な問題定義をしているようです。なぜアートでなければいけないのか、そうした可能性を感じる展覧会であったように思います。

展覧会を見終えたあとは、私の頭もすっかりほぐれて…、ほぐれたところで、明日からまた頑張らないといけませんね!(笑)


あるときは営業マンとして

2011-06-19 19:16:05 | 仕事
私が勤める美術館では、この間から新しい展覧会がスタートしました。私が担当する展覧会でしたので、無事に立ち上がってほっと一息です。

あとは広報関係をどうするか。報道関係者の方に展覧会を取材していただくようにお願いしたり、小中学校を中心に展覧会の案内をしたり…。

今日は学校関係の会合に出席させていただいて、400人近い方々の前で展覧会のご案内をさせていただきました。ゆっくりと、正確に、を心がけてのメッセージ。ご案内が終わったあと、絶対に美術館に行きます!と声をかけて下さった方がいて、本当にうれしくなりました(泣)。

私自身、これほどまでの大人数のなかで話をすることは今まで経験したことがありませんでしたが、なぜか緊張はせず。人の前で話をすることに大分慣れたのかもしれません。カメラの前では緊張するけれど(苦笑)。慣れすぎると甘さが出てしまいますので、あとはそのあたりのバランスをよく取りながらですね。

学芸員、あるときは営業マンとして、また火曜日から頑張ります(笑)



祖母の味

2011-06-17 21:42:09 | その他
今日、山形県にいる祖母から「笹巻き」をいただきました。「笹巻き」とは、焚いたお米を笹で上手に包み、三角形のかたちにしたもの。おにぎりの笹巻きバージョンといったところでしょうか。他の家ではどうかはわかりませんが、祖母の家では笹巻きに、砂糖を混ぜたきな粉をまぶして食べます。食欲が減退しやすい梅雨場には、とても食べやすくて、ほどよく糖分が取れるお食事です。

「笹巻き」と一緒に送られてきたのが、蕗の煮物。味も程よくて、とても美味しく頂きました。祖母の味は、母の味ともまた違った優しさが感じられます。なんというのか、温かい味なのですよね。母も祖母に料理を教わったらしいのですが、母曰く、絶対に祖母の味は出せないと(笑)

「笹巻き」を食べながら、祖父母の顔や懐かしい山形の風土を思い出した晩御飯でした。