11月14日、野球で活躍した投手OB5人による沢村賞選考委員会によって、楽天・マー君の沢村賞が決定した【注】。
メデタシ、メデタシなのだが、その後がいけない。
<ただし、その後に付け足された注文には首をひねらざるを得ない。5人の選考委員全員が田中将のマウンドでの立ち居振る舞いを問題視し、「派手なガッツポーズや雄叫びを控えるように」との要望を出したのである。>
<確かに田中将は感情が表に出るタイプの投手だ。しかし、それが大きな魅力でもある。試合の序盤で相手打線を抑えている時は、クールに淡々と投球する。だが、絶対に打たれてはいけない勝負どころになると表情が一変。目はつり上がり鬼の形相になる。横浜やMLBマリナーズのクローザーとして活躍した佐々木主浩氏はその活躍度や姿かたちから「大魔神」と呼ばれたが、勝負どころで見せる田中将の表情は大魔神以上の迫力がある。>
<そしてその鬼の形相から、「打てるもんなら打ってみろ」とばかりに渾身の力でボールを投げ込み、打ち取るとガッツポーズをし雄叫びを上げる。テレビ中継でこの姿を見れば、楽天ファンでなくても、画面に引き込まれるはずだ。>
<また、スタジアムで観戦しているファンにしてもガッツポーズを否定する人はほとんどいないだろう。ファンは勝敗や好プレーを観るだけでなく、選手と感情を共有することを望んでいる。今では殊勲打を打った選手の名前をコールし、選手がそれに応えるとファンが大歓声を上げるという“儀式”が慣例化しているが、これはファンが選手と気持ちを通じ合わせたいからだ。ガッツポーズもそれと同様で、ファンにとっては選手の気持ちをくみ取り、盛り上がるために欠かせないものとなっている。このどこがいけないのだろうか。>
どこがいけないのだろうか?
今の沢村賞選考委員は、土橋正幸委員長以下、堀内恒夫、平松政次、村田兆治、北別府学の4氏。
彼らがガッツポーズを問題視するのは、野球に日本古来の武道に見られる精神性を求めているからではないか。剣道・柔道・合気道・空手道・相撲道など、「道」がつく競技は礼に始まり礼に終わる。相手に対する礼儀から、勝利の喜びを露わにしてはいけない、と指導される。
だが、野球は武道とは性格の異なるスポーツだ。盗塁、かくし球などがあって、「道」に通じる精神性を求めるのはそもそも無理だ。
何よりも、プロ野球は娯楽なのだ。娯楽である以上、観客に満足してもらわなければならない。ガッツポーズは選手本人の感情表現に止まらず、スタジアムを盛り上げるのには欠かせないパフォーマンスだ。
選考委員の現役時代は、国民の多くがプロ野球に関心を持ち、選手がパフォーマンスをしなくても中継を見た。選手はプレーに集中していればよかった。また、5人が投げていた頃は、上下関係がうるさかった。スタンドプレーは先輩から剣突を食らったのかもしれない。
そんな感覚が残っているから、ガッツポーズが気に入らないのだろう。
時代の変化とともに選手のあり方やファンとの関係が変わってきていることを察知できていないらしい。
このたび、田中は、満点の対応をした。受賞を喜びながらも、ガッツポーズ禁止令にはノーコメントを貫いた。
来季も、田中は変わらずガッツポーズや雄叫びを見せてくれるはずだ。それでこそ現在の球界を代表する投手だ。
【注】「【心理】楽天・マー君に凄みが出た秘訣 ~変わる人は変わる~」
「【心理】祝! 楽天・マー君の沢村賞初受賞」
以上、相沢光一 (スポーツライター)「沢村賞受賞のマー君に“ガッツポーズ禁止令” 球界OBは古い考え方を改め、プロ野球人気回復に貢献を」(DIAMOND online)に拠る。
↓クリック、プリーズ。↓
メデタシ、メデタシなのだが、その後がいけない。
<ただし、その後に付け足された注文には首をひねらざるを得ない。5人の選考委員全員が田中将のマウンドでの立ち居振る舞いを問題視し、「派手なガッツポーズや雄叫びを控えるように」との要望を出したのである。>
<確かに田中将は感情が表に出るタイプの投手だ。しかし、それが大きな魅力でもある。試合の序盤で相手打線を抑えている時は、クールに淡々と投球する。だが、絶対に打たれてはいけない勝負どころになると表情が一変。目はつり上がり鬼の形相になる。横浜やMLBマリナーズのクローザーとして活躍した佐々木主浩氏はその活躍度や姿かたちから「大魔神」と呼ばれたが、勝負どころで見せる田中将の表情は大魔神以上の迫力がある。>
<そしてその鬼の形相から、「打てるもんなら打ってみろ」とばかりに渾身の力でボールを投げ込み、打ち取るとガッツポーズをし雄叫びを上げる。テレビ中継でこの姿を見れば、楽天ファンでなくても、画面に引き込まれるはずだ。>
<また、スタジアムで観戦しているファンにしてもガッツポーズを否定する人はほとんどいないだろう。ファンは勝敗や好プレーを観るだけでなく、選手と感情を共有することを望んでいる。今では殊勲打を打った選手の名前をコールし、選手がそれに応えるとファンが大歓声を上げるという“儀式”が慣例化しているが、これはファンが選手と気持ちを通じ合わせたいからだ。ガッツポーズもそれと同様で、ファンにとっては選手の気持ちをくみ取り、盛り上がるために欠かせないものとなっている。このどこがいけないのだろうか。>
どこがいけないのだろうか?
今の沢村賞選考委員は、土橋正幸委員長以下、堀内恒夫、平松政次、村田兆治、北別府学の4氏。
彼らがガッツポーズを問題視するのは、野球に日本古来の武道に見られる精神性を求めているからではないか。剣道・柔道・合気道・空手道・相撲道など、「道」がつく競技は礼に始まり礼に終わる。相手に対する礼儀から、勝利の喜びを露わにしてはいけない、と指導される。
だが、野球は武道とは性格の異なるスポーツだ。盗塁、かくし球などがあって、「道」に通じる精神性を求めるのはそもそも無理だ。
何よりも、プロ野球は娯楽なのだ。娯楽である以上、観客に満足してもらわなければならない。ガッツポーズは選手本人の感情表現に止まらず、スタジアムを盛り上げるのには欠かせないパフォーマンスだ。
選考委員の現役時代は、国民の多くがプロ野球に関心を持ち、選手がパフォーマンスをしなくても中継を見た。選手はプレーに集中していればよかった。また、5人が投げていた頃は、上下関係がうるさかった。スタンドプレーは先輩から剣突を食らったのかもしれない。
そんな感覚が残っているから、ガッツポーズが気に入らないのだろう。
時代の変化とともに選手のあり方やファンとの関係が変わってきていることを察知できていないらしい。
このたび、田中は、満点の対応をした。受賞を喜びながらも、ガッツポーズ禁止令にはノーコメントを貫いた。
来季も、田中は変わらずガッツポーズや雄叫びを見せてくれるはずだ。それでこそ現在の球界を代表する投手だ。
【注】「【心理】楽天・マー君に凄みが出た秘訣 ~変わる人は変わる~」
「【心理】祝! 楽天・マー君の沢村賞初受賞」
以上、相沢光一 (スポーツライター)「沢村賞受賞のマー君に“ガッツポーズ禁止令” 球界OBは古い考え方を改め、プロ野球人気回復に貢献を」(DIAMOND online)に拠る。
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