語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【派遣】社員の待遇改善が日本経済を救う ~中高年派遣社員物語12~

2017年04月06日 | ノンフィクション
 (1)FX(外国為替証拠金取引)で財産を失い、あわてて派遣社員となって、かれこれ5年が経つ。その間正社員をめざしたものの、正社員だったのは、手取り17万円の清掃業務1年半だけだ。専門の調査研究の分野では、TOEICの点数が低いこと、技術士の資格を持っていないことで正社員になれない。

 (2)派遣社員で何がきついか。
 短期の仕事が多く、長くても半年未満。そのため半年の勤務が最低条件になる有給休暇をとれない。政府の規制改革推進会議では、勤務初日から有休を取れるようにしようと提案されているが、切望する。妻は正社員だが、子どもが熱を出すたびに休まなければならず、森川氏も「一度は子どもの世話をしてほしい」と頼まれる。しかし、休めば給料が減る。妻の要望をなかなかきいてやれないのが辛い。

 (3)現在の時給は1,200円。この額だと、マンションの借金返済、管理費・光熱費等を含め、最低でも必要な15万円を賄いきれない(森川氏の家庭では妻が食費の支払いを担当している)。
 60歳から支給される月約5万円の特別支給の老齢厚生年金でやっと生きていけるが、保険のきかないインプラント等の出費があると、息も絶え絶えとなる。年金がまだ出ていない中高年は、さらにキツイだろう。
 最低時給1,500円を要望している労働団体があるが、大賛成だ。

 (4)派遣社員の時給が安い理由の一つに、派遣会社が取るマージンがある。平均2~3割とっており、森川氏の場合、月4万円が取られている。
 派遣会社は、求人企業と求職者とをつなぐ仕事をしているが、いったんつないでしまえば、彼らのやる仕事はない。あとは半日で終わる給料計算を月に1回するだけ。それで次の仕事を紹介してくれるなら、まだいい。今まで次の仕事が決まったことは一度もない。

 (5)現在、全国に約7万社の派遣会社があるが、米国では約2万社だという。人口約3億人の米国社会と比べ、人口比で約10倍も多い。
 労働者の約4割が派遣社員となっている今日、派遣会社のマージンが派遣社員の手に渡り、正社員と同じく有給休暇がとれ、住宅手当や交通費、賞与等も同じく支給され、健康保険料も半額が会社負担になれば、どれほど日本経済に好影響を与えることか。
 日銀は物価を上げて景気をよくしようと、大量のお金を発行し、国債や株を買い上げているが、派遣社員の待遇改善を果たせないならば、日本経済は長い低迷から抜け出せないだろう。

 (6)ただ、派遣社員のいいところは、定時帰りができ、朝も夕餉も家族団欒ができること。
 だが、早く帰るため会社では肩身が狭く、雑用も多い。
 中高年は人生の経験が長いのだから、森川氏らの意見を聞いてはどうかと思う。
 正社員を見ているとおしゃべりが多い。勤務に専念し、会議の参加者を必要最低限の人数にするなどして、定時に帰れるようにしてはどうかと思う。

□森川海守「派遣社員の待遇改善が日本経済を救う ~中高年派遣社員物語12~」(「週刊金曜日」2017年4月日号)
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 【参考】
【派遣】国民健康保険料の理不尽 ~中高年派遣社員物語11~
【派遣】中高年の保険は医療保険で十分 ~中高年派遣社員物語10~
【派遣】中高年は厨房に入る ~中高年派遣社員物語9~
【派遣】海外を目指す! ~中高年派遣社員物語8~
【派遣】中高年の節約術 ~中高年派遣社員物語7~
【派遣】原子力損害補償業務はホームズの赤毛組合? ~中高年派遣社員物語6~
【派遣】中高年、手に資格を ~中高年派遣社員物語5~
【派遣】ハローワークは使えるか? ~中高年派遣社員物語4~
【派遣】転職・就職サイトに登録しまくる ~中高年派遣社員物語3~
【派遣】FXでの損が運の尽き ~中高年派遣社員物語2~
【派遣】余はいかにして派遣社員となりしか ~中高年派遣社員物語1~
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【南雲つぐみ】面倒でも試みよう ~認知症防止の第一歩~

2017年04月06日 | 医療・保健・福祉・介護
 認知症の初期症状といえる「MCI(軽度認知障害)」について、認知症予防・治療の研究者、朝田隆医師(東京・メモリークリニックお茶の水)は、「いろいろな作業が面倒くさくなってきたら注意信号」だという。
 例えば、MCIの人は「財布の中身が千円札と小銭でいっぱいになる」という兆候があるそうだ。買い物をした際に、細かいお金を使わずに1万円ばかりを出しているとこうなるのだが、決して計算できないわけではなく、それが面倒になるところから始まるのだという。
 このほか、洗濯物をきちんと干せない、料理ができなくなる、テレビドラマのストーリーが分からなくなるなども、兆候だといわれている。やる気が低下することからできなくなっていく。考えるのをやめると、脳の認知機能の低下に歯止めがかからないのだ。
 新しいことや、自分にとって難しい問題でもチャレンジする気持が大切だろう。さらに、ちょっと面倒に感じても、何とか工夫して続けることが大切だ。いかに習慣化するかが、認知症防止の第一歩かもしれない。

□南雲つぐみ(医学ライター)「面倒でも試みよう ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年4月3日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】軽度認知障害 ~その予防法~
【南雲つぐみ】あんぱんの日 ~4月4日~
【南雲つぐみ】散歩しながら会議
【南雲つぐみ】立って仕事 ~座り過ぎは喫煙と同じほど体に悪い~
【南雲つぐみ】カテキンの効果 ~殺菌・消臭・口内の衛生~
【南雲つぐみ】健康にいい食べ方
【南雲つぐみ】春休みの時差ぼけ
【南雲つぐみ】菜種梅雨 ~春雨、催花雨~
【南雲つぐみ】お花見 ~3月27日は「さくらの日」~

【南雲つぐみ】カテキンの効果 ~殺菌・消臭・口内の衛生~
【南雲つぐみ】冷えのぼせに注意 ~血行不良~
【南雲つぐみ】栄養はバランスよく ~若者より高齢者の方が健康的~
【南雲つぐみ】クロロゲン酸の効用 ~珈琲~
【南雲つぐみ】潮干狩り ~アサリの旬~
【南雲つぐみ】風が吹けば桶屋が儲かり、歯の数が減ると医療費がかさむ
【南雲つぐみ】春は突風に注意 ~飛来物・落下物・転倒事故~
【南雲つぐみ】春苗の植えどき ~ハーブ、青菜、花~
【南雲つぐみ】お彼岸 ~その心~
【南雲つぐみ】せきを抑えるツボ ~自衛法~
【南雲つぐみ】加齢黄斑変性とその治療法
【南雲つぐみ】頭痛が続く時 ~「気象病」~
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【南雲つぐみ】アレルギー性結膜炎 ~目の花粉症~
【南雲つぐみ】遺伝子検査と生活習慣
【南雲つぐみ】早春の香り ~匂いとセラピー~ 
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【南雲つぐみ】軽度認知障害 ~その予防法~

2017年04月06日 | 医療・保健・福祉・介護
 美容院で手渡された雑誌の中に、「もうボケなんか怖くない! 認知症[予防&介護]のすべて」(文春ムック、文藝春秋社=880円)があった。私は店員に、何歳に見られただろうかと思ったが、食事や筋トレによる認知予防の方法やアロマセラピーで脳を活性化する、歩く歩幅が狭くなったら要注意など、少し読んだだけでも役立つ情報ばかりで面白かった。
 少子化と超高齢化の進む日本では、近い将来、日本人の10分の1が認知症に罹患するという予測もあるそうだ。自分だけでなく、パートナーや親兄弟も合わせれば、誰か一人は認知症にかかっている時代になるかもしれない。「自分だけは」とか「まだ先のこと」とか考えるのは、甘いのだろう。
 ただし、予防はできるという。それは認知症の初期段階といえる「軽度認知障害(MCI)」に早く気付くことの重要性だ。この段階で食事を改善し、運動の習慣をつけると20~40%程度は認知症にならずに健康な脳を取り戻すことができるという。

□南雲つぐみ(医学ライター)「軽度認知障害 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年3月30日)を引用
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