★綱野善彦『異形の王権』(平凡社、1986/後に平凡社ライブラリー、1993)
(1)綱野善彦(1928~2004年)は、ユニークな歴史家で、毀誉褒貶があるが、中世日本における天皇と被差別民の関係、また中世に日本が海洋交通を通じて東アジアから東南アジアにかけて開かれていたという歴史観を示すことで、アカデミズムに大きな衝撃を与えた。
また、専門家だけでなく一般読者の興味を引くテキストを構成する能力があったので、日本中世史に対する社会の関心を向ける上でも大きな役割を果たした。
特に、南北朝時代の後醍醐天皇(1288~1339年/在位1318~39年)を扱った『異形の王権』がよく読まれた。網野は、後醍醐天皇に対する評価が、太平洋戦争を境にして大きく変化したことに注目し、概要次のように述べる。
後醍醐天皇が天皇史上きわめて特異な役割を果たしたことは、その評価はさておき、事実として広く認められている。建武新政府崩壊後、南北朝動乱を境に、前近代天皇のあり方、その権威と権力の実質が大変化を遂げたことも異論の余地はあるまい。それだけに、後醍醐の政治に係る研究は、①建武の中興ととらえた戦前と、②前後に類を見ない専制、反動的な政治と見る戦後とでは、その評価が大いに揺れ動いている、云々。
(2)後醍醐天皇の特徴は、従来と異なる人々を自らの権力基盤を強化するために活用したことだ。この文脈で注目されるのが、「異類」や「異形」と呼ばれた人々だ。網野は、概要次のように言う。
建武政権の末期に近い1335(建武2)年、新政府の発した「陣中の法条々」は、このころ陣中-内裏の内部に「異形の輩」が出入りしていたことを明らかに物語っている。内裏=天皇の居所の中にゴミを捨てたり、汚したりする者が出入りし、それを政府が制止するために法令を発する。異様といえば異様だが、笠松宏至はそこに建武政府の特徴を見出し、この内裏に出入りする者の中の一つのグループとして①「全国各地から蝟集してくるおびただしい訴訟人の群れ」を挙げ、他のグループとして②物売りや「聖俗いずれとも判断のつかない者ども」があったとしているが、網野は②の中に、覆面をつけ、足駄をはいた・「悪党」のいたことは確実だと考える、云々。
制止や禁止を定めた法令が公布されるのは、そのような事実が存在するからだ。被差別民を含む人々、従来は天皇の権力に直接組み入れられていなかった人々糾合し、権力基盤を強化することによって、後醍醐天皇は大胆な改革を実行しようとしたのである。
(3)このような改革を行う場合、イデオローグが不可欠になる。その機能を果たしたのが男女間のセックスを教義に取り入れた真言密教の僧侶・文観だ。文観は同時に「異類」や「異形」との人脈を持っていた。綱野は、次のように指摘する。
<後醍醐は文観を通じて「異類異形」といわれた「悪党」、「職人」的武士からまでをその軍事力として動員し、内裏にまでこの人々が出入りする事態を現出させることによって、この風潮を都に広げ、それまでの服制の秩序を大混乱に陥れた。>
結局、後醍醐天皇が天皇親政の回復を目指した建武の中興は頓挫した。
その結果、権力の実体は武士である足利尊氏がトップを務める幕府に移った。
しかし、足利幕府は、天皇自体を否定することはせずに大覚寺統の後醍醐とは別の系譜の持明院統の天皇を擁立する。しかし、その後も足利尊氏は後醍醐天皇に対して畏怖の念を抱き続ける。
そして、足利幕府は、第3代将軍・足利義満のイニシアティブで南北朝の合同を実現した。実態としては、足利幕府に後押しされた北朝による南朝の吸収であった。
(4)しかし、南北朝時代にどちらの王朝が正統であったかという論争が明治時代末期に起こり、政府は南朝を正統とした。その結果、学校教科書では南北朝時代という言葉が使えなくなり、吉野朝時代と呼ばれるようになった。そして、皇国史観の中心に後醍醐天皇が置かれるようになった。
敗戦後、GHQの主導で民主化教育が進められる過程で、後醍醐天皇は否定的に評価されるようになった。網野自身は、講座派(日本共産党系)の歴史家で、共産党を離れてからも発想自体は典型的な講座派だった。後醍醐天皇に民衆を糾合する力があったと主張する言説を展開することは、講座派の歴史家としては勇気を要することだった。
(5)網野は、結論部で、次のように述べる。天皇陛下の生前退位が問題となっている現今、本書は読み返されるべき一冊である。
<後醍醐天皇は、を動員し、セックスそのものの力を王権強化に用いることを通して、日本の社会の深部に天皇を突き刺した。このことと、現在、日本社会の「暗部」に、ときに熱狂的なほどに天皇制を支持し、その権力の強化を求める動きがあることとは決して無関係ではない、と私は考える。いかに「近代的」な装いをこらし、西欧的な衣装を身につけようと、天皇をこの「暗部」と切り離すことはできないであろう。それは後醍醐という異常な天皇を持った、天皇家の歴史そのものが刻印した、天皇家の運命なのであり、それを「象徴」としていただくわれわれ日本人すべても、この問題から身をそらすわけには決していかないのである。>
□佐藤優「後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考 ~名著、再び ビジネスパーソンの教養講座 第31回~」(「週刊現代」2017年4月8日号)
↓クリック、プリーズ。↓

【参考】
「【佐藤優】実用的な会話術、ユーラシア地域の通史、宇宙ロケットを生んだ珍妙な思想」
「【佐藤優】キブ・アンド・テイクが成功の秘訣、キリスト教文化圏の悪と悪魔、理系・文系の区別を捨てよ」
「【佐藤優】企業インテリジェンス小説 ~梶山季之『黒の試走車』~」「【佐藤優】中東複合危機、金正恩の行動を読み解く鍵、「型破り」は「型」を踏まえて」
「【佐藤優】後世に名を残す村上春樹新作、気象災害対策の基本書、神学の処世術的応用」
「【佐藤優】地学の魅力、自分の頭で徹底的に考える、高等教育と短期の利潤追求」
「【佐藤優】日本人の特徴的な行動 ~日本礼賛ではない『ジャパン・アズ・ナンバーワン』~」
「【佐藤優】知を扱う基本的技法、ソ連人はあまり読まなかった『資本論』、自由に耐えるたくましさ」
「【佐藤優】後知恵上手が出世する? ~ビジネスに役立つ「哲学の巨人」読解法~」
「【佐藤優】トランプ政権の安保政策、「生きた言葉」という虚妄、キリスト教の開祖パウロ」
「【佐藤優】「暴君」のような上司のホンネとは? ~メロスのビジネス心理学~」
「【佐藤優】物まね芸人とスパイの共通点、新版太平記の完成、対戦型AIの原理」
「【佐藤優】トランプ側近が考える「恐怖のシナリオ」 ~日本も敵になる?~」
「【佐藤優】弱まる日本社会の知力、実践的ディベート術、受けるより与えるほうが幸い」
「【佐藤優】トランプの「会話力」を知る ~ワシントンポスト取材班『トランプ』~」
「【佐藤優】「不可能の可能性」に挑む、言語の果たす役割の大きさ、NYタイムズ紙コラムニストの人生論」
「【佐藤優】人生は実家の収入ですべて決まる? ~「下流」を脱する方法~」
「【佐藤優】ソ連崩壊後の労働者福祉軽視、現代も強い力を持つ観念論、孤独死予備軍と宗教」
「【佐藤優】米国のキリスト教的価値観、サイバー戦争論、日本会議」
「【佐藤優】『失敗の本質』/日本型組織の長所と短所」
「【佐藤優】世界を知る「最重要書物」 ~クラウゼヴィッツ『戦争論』~」
「【佐藤優】現代ロシアに関する教科書、ネコ問題はヒト問題、トランプ氏の顧問が見る中国」
「【佐藤優】日本には「物語の復権」が必要である ~反知性主義批判~」
「【佐藤優】サイコパス、新訳で甦る千年前の魂、長寿化に伴うライフスタイルの変化」
「【佐藤優】イラクの地政学、誠実なヒューマニスト、全ての人が受益者となる社会の構築」
「【佐藤優】外交に決定的に重要なタイミング、他人の気持ちになって考える力、科学と職人芸が融合した食品」
「【佐藤優】『ゼロからわかるキリスト教』の著者インタビュー ~「神」を論じる不可能に挑む~」
「【佐藤優】組織の非情さが骨身に沁みる ~新田次郎『八甲田山死の彷徨』~」
「【佐藤優】プーチン政権の本質、2017年の論点、ロシアと欧州」
「【佐藤優】国際人になるための教科書、ストレスが人間を強くする、日本に易姓革命はない」
「【佐藤優】ロシアでも愛された知識人の必読書 ~安部公房『砂の女』~」
「【佐藤優】トランプ当選予言の根拠、猫の絵本の哲学、人間関係で認知症を予防」
「【佐藤優】モンロー主義とトランプ次期大統領、官僚は二流の社会学者、プロのスパイの手口」
「【佐藤優】トランプを包括的に扱う好著、現代日本外交史、独自の民間外交」
「【佐藤優】デモや抗議活動のサブカルチャー化、グローバル化に対する反発を日露が共有、グローバル化に対する反発が国家機能を強化」
「【佐藤優】国際社会で日本が生き抜く条件、ルネサンスを準備したもの、理系情報の伝え方」
「【佐藤優】人生を豊かにする本、猫も人もカロリー過剰、度外れなロシア的天性」
「【佐藤優】テロリズム思想の変遷を学ぶ ~沢木耕太郎『テロルの決算』~」
「【佐藤優】住所格差と人生格差、人材育成で企業復活、教科書レベルの知識が必要」
「【佐藤優】数学嫌いのための数学入門、西欧的思考にわかりやすい浄土思想解釈、非共産主義的なロシア帝国」
「【佐藤優】ウラジオストク日本人居留民、辺野古移設反対を掲げる公明党沖縄県本部、偶然歴史に登場した労働力の商品化」
「【佐藤優】「21世紀の優生学」の危険、闇金ウシジマくんvs.ホリエモン、仔猫の救い方」
「【佐藤優】大学にも外務省にもいる「サンカク人間」 ~『文学部唯野教授』~」
「【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の目次」
「【佐藤優】「イスラム国」をつくった米大統領、強制収容所文学、「空気」による支配を脱構築」
「【佐藤優】トランプの対外観、米国のインターネット戦略、中国流の華夷秩序」
「【佐藤優】元モサド長官回想録、舌禍の原因、灘高生との対話」
「【佐藤優】孤立主義の米国外交、少子化対策における産まない自由、健康食品のウソ・ホント」
「【佐藤優】アフリカを収奪する中国、二種類の組織者、日本的ナルシシズムの成熟」
「【佐藤優】キリスト教徒として読む資本論 ~宇野弘蔵『経済原論』~」
「【佐藤優】未来の選択肢二つ、優れた文章作法の指南書、人間が変化させた生態系」
「【佐藤優】+宮家邦彦 世界史の大転換/常識が通じない時代の読み方」
「【佐藤優】人びとの認識を操作する法 ~ゴルバチョフに会いに行く~」
「【佐藤優】ハイブリッド外交官の仕事術、トランプ現象は大衆の反逆、戦争を選んだ日本人」
「【佐藤優】ペリー来航で草の根レベルの交流、沖縄差別の横行、美味なソースの秘密」
「【佐藤優】原油暴落の謎解き、沖縄を代表する詩人、安倍晋三のリアリズム」
「【佐藤優】18歳からの格差論、大川周明の洞察、米国の影響力低下」
「【佐藤優】天皇制を作った後醍醐、天皇制と無縁な沖縄 ~網野善彦『異形の王権』~」
「【佐藤優】新しい帝国主義時代、地図の「四色問題」、ベストセラー候補の研究書」
「【佐藤優】ねこはすごい、アゼルバイジャン、クンデラの官僚を描く小説」
「【佐藤優】外交官の論理力、安倍政権と共産党、研究不正が起きるシステム」
「【佐藤優】遅読家のための読書術、電気の構造、本屋大賞」
「【佐藤優】外山滋比古/思考の整理学」
「【佐藤優】何が個性で、何が障害か」
「【佐藤優】大宅壮一ノンフィクション賞選評 ~『原爆供養塔』ほか~」
「【佐藤優】英才教育という神話」
「【佐藤優】資本主義の内在的論理」
「【佐藤優】米国の戦略策定、『資本論』をめぐる知的格闘、格差・貧困問題の起源」
「【佐藤優】偉くない「私」が一番自由、備中高梁の新島襄、コーヒーの科学」
「【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」」
「佐藤優】日本の政治エリートと「天佑」、宇宙の生命体、10代が読むべき本」
「【佐藤優】組織成功の鍵となる人事、ユダヤ人の歴史、リーダーシップ論」
「【佐藤優】第三次世界大戦の可能性、現代東欧文学、世界連鎖暴落」
「【佐藤優】司馬遼太郎の語られざる本音、深層対話、米政府による暗殺」
「【佐藤優】著名神学者のもう一つの顔 ~パウル・ティリヒ~」
「【佐藤優】総理が靖国参拝する理由、NPO活動の哲学やノウハウ、テロ対策の必読書」
「【佐藤優】今後、起こりうる財政破綻 ~対応策を学ぶ~」
「【佐藤優】社会の価値観、退行する社会」
「【佐藤優】夫婦の微妙な関係、安倍政権の内在的論理、警察捜査の正体」
「【佐藤優】情緒ではなく合理と実証で ~社会の再構築~」
「【佐藤優】中曽根康弘、21世紀の資本主義分析、北樺太の石油開発」
「【佐藤優】日本人の思考の鋳型、死刑問題、キリスト教と政治」
「【佐藤優】中国株式市場の怪しさ、イノベーションの障害、ホラー映画の心理学」
「【佐藤優】普天間基地移設問題の本質、外務省犯罪黒書、老後に快走!」
「【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~」
(1)綱野善彦(1928~2004年)は、ユニークな歴史家で、毀誉褒貶があるが、中世日本における天皇と被差別民の関係、また中世に日本が海洋交通を通じて東アジアから東南アジアにかけて開かれていたという歴史観を示すことで、アカデミズムに大きな衝撃を与えた。
また、専門家だけでなく一般読者の興味を引くテキストを構成する能力があったので、日本中世史に対する社会の関心を向ける上でも大きな役割を果たした。
特に、南北朝時代の後醍醐天皇(1288~1339年/在位1318~39年)を扱った『異形の王権』がよく読まれた。網野は、後醍醐天皇に対する評価が、太平洋戦争を境にして大きく変化したことに注目し、概要次のように述べる。
後醍醐天皇が天皇史上きわめて特異な役割を果たしたことは、その評価はさておき、事実として広く認められている。建武新政府崩壊後、南北朝動乱を境に、前近代天皇のあり方、その権威と権力の実質が大変化を遂げたことも異論の余地はあるまい。それだけに、後醍醐の政治に係る研究は、①建武の中興ととらえた戦前と、②前後に類を見ない専制、反動的な政治と見る戦後とでは、その評価が大いに揺れ動いている、云々。
(2)後醍醐天皇の特徴は、従来と異なる人々を自らの権力基盤を強化するために活用したことだ。この文脈で注目されるのが、「異類」や「異形」と呼ばれた人々だ。網野は、概要次のように言う。
建武政権の末期に近い1335(建武2)年、新政府の発した「陣中の法条々」は、このころ陣中-内裏の内部に「異形の輩」が出入りしていたことを明らかに物語っている。内裏=天皇の居所の中にゴミを捨てたり、汚したりする者が出入りし、それを政府が制止するために法令を発する。異様といえば異様だが、笠松宏至はそこに建武政府の特徴を見出し、この内裏に出入りする者の中の一つのグループとして①「全国各地から蝟集してくるおびただしい訴訟人の群れ」を挙げ、他のグループとして②物売りや「聖俗いずれとも判断のつかない者ども」があったとしているが、網野は②の中に、覆面をつけ、足駄をはいた・「悪党」のいたことは確実だと考える、云々。
制止や禁止を定めた法令が公布されるのは、そのような事実が存在するからだ。被差別民を含む人々、従来は天皇の権力に直接組み入れられていなかった人々糾合し、権力基盤を強化することによって、後醍醐天皇は大胆な改革を実行しようとしたのである。
(3)このような改革を行う場合、イデオローグが不可欠になる。その機能を果たしたのが男女間のセックスを教義に取り入れた真言密教の僧侶・文観だ。文観は同時に「異類」や「異形」との人脈を持っていた。綱野は、次のように指摘する。
<後醍醐は文観を通じて「異類異形」といわれた「悪党」、「職人」的武士からまでをその軍事力として動員し、内裏にまでこの人々が出入りする事態を現出させることによって、この風潮を都に広げ、それまでの服制の秩序を大混乱に陥れた。>
結局、後醍醐天皇が天皇親政の回復を目指した建武の中興は頓挫した。
その結果、権力の実体は武士である足利尊氏がトップを務める幕府に移った。
しかし、足利幕府は、天皇自体を否定することはせずに大覚寺統の後醍醐とは別の系譜の持明院統の天皇を擁立する。しかし、その後も足利尊氏は後醍醐天皇に対して畏怖の念を抱き続ける。
そして、足利幕府は、第3代将軍・足利義満のイニシアティブで南北朝の合同を実現した。実態としては、足利幕府に後押しされた北朝による南朝の吸収であった。
(4)しかし、南北朝時代にどちらの王朝が正統であったかという論争が明治時代末期に起こり、政府は南朝を正統とした。その結果、学校教科書では南北朝時代という言葉が使えなくなり、吉野朝時代と呼ばれるようになった。そして、皇国史観の中心に後醍醐天皇が置かれるようになった。
敗戦後、GHQの主導で民主化教育が進められる過程で、後醍醐天皇は否定的に評価されるようになった。網野自身は、講座派(日本共産党系)の歴史家で、共産党を離れてからも発想自体は典型的な講座派だった。後醍醐天皇に民衆を糾合する力があったと主張する言説を展開することは、講座派の歴史家としては勇気を要することだった。
(5)網野は、結論部で、次のように述べる。天皇陛下の生前退位が問題となっている現今、本書は読み返されるべき一冊である。
<後醍醐天皇は、を動員し、セックスそのものの力を王権強化に用いることを通して、日本の社会の深部に天皇を突き刺した。このことと、現在、日本社会の「暗部」に、ときに熱狂的なほどに天皇制を支持し、その権力の強化を求める動きがあることとは決して無関係ではない、と私は考える。いかに「近代的」な装いをこらし、西欧的な衣装を身につけようと、天皇をこの「暗部」と切り離すことはできないであろう。それは後醍醐という異常な天皇を持った、天皇家の歴史そのものが刻印した、天皇家の運命なのであり、それを「象徴」としていただくわれわれ日本人すべても、この問題から身をそらすわけには決していかないのである。>
□佐藤優「後醍醐天皇の力の源 「異形の輩」とは--日本の暗部を突く思考 ~名著、再び ビジネスパーソンの教養講座 第31回~」(「週刊現代」2017年4月8日号)
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【参考】
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「【佐藤優】フードバンク活動、内外情勢分析、正真正銘の「地方創生」」
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「【佐藤優】シリア難民が日本へ ~ハナ・アーレント『全体主義の起源』~」