語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】てっぽう ~テトロドトキシン~

2017年12月05日 | 医療・保健・福祉・介護
 一般的には、魚は産卵期の前が一番脂が乗っておいしいという。そう考えると、トラフグの産卵期は春から初夏なのだが、やはりフグといえば冬。鍋料理など温まる料理が多いからなのだろう。
 フグの産地といえば山口県下関市が思い浮かぶが、近年の漁獲量(水揚げ量)でのトップ3は石川県、島根県、北海道となる(「平成27年漁業・養殖業生産統計」)。
 消費量が多いのは今も昔も大阪で、全国の6割を占めるともいわれる。「てっちり」とは「てっぽうちり鍋」で「てっさ」は「てっぽうの刺し身」の略。大阪でフグのことを「てっぽう」と言うのは「当たると死ぬから」なのだそうだ。「たまに当たる」という意味で、当時の天気予報になぞらえた表現もあったという。
 「てっちり」や「てっさ」は、明治時代から大阪の冬の名物だった。フグ毒のテトロドトキシンによる中毒事故を防ぐために、フグの取り扱いは条例によって都道府県ごとに定められているが、これを最初に条例化したのも大阪。昭和6年のことだそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「てっぽう ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年11月26日)を引用
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【南雲つぐみ】心が折れる ~世代による表現の違い~

2017年12月05日 | 医療・保健・福祉・介護
 「心が折れる」という表現を使う人の割合は、20代では76%、40代までは6割以上になるが、70歳以上になると17%以下になる。
 この言葉は、「くじける」、「めげる」の類語だが、70歳以上では「聞いたことがない」人が「使うことがある」人を上回っていた。これは文化庁の「国語に関する世論調査」の平成28年度版による。同調査は平成7年度から毎年行われ、その時々で言葉に対する感覚や意識の変化が分かって興味深い。
 また、同調査の平成27年度版によれば、「彼が君の言葉に固まっている」というような「固まる」は、「心が折れる」と同様に、40代までは6割以上で使用されているのに対し、70歳以上では25%だった。
 平成7年度版には「ら抜き言葉」が取り上げられていた。「食べられる」「来られる」「考えられる」について、本来の言い方を使うと答えた人が7割以上(3例平均)で、「食べれる」など「ら抜き」を使う人の平均は約2割となっていた。今、同様の調査をしたら、おそらく逆転しているだろう。

□南雲つぐみ(医学ライター)「心が折れる ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年10月22日)を引用
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