語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】豚まん ~肉まんとの違い~

2017年12月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 大阪出張の帰り、新大阪駅で新幹線の構内に入り、少し時間の余裕がある時は、名物の豚まんを買おうといつも思う。諦めることが多いのは、店の前にはだいたい長い列ができているからだ。
 筆者の住む地方にはこの豚まんの店舗はなく、時折デパートなどで催事がある以外は購入できない。その限定された感覚も、人気の理由の一つなのだろう。
 なぜ、「肉まん」ではなく「豚まん」なのかというと、大阪では「肉」というと「牛肉」を指すためだからだという。
 最近、東京で人気の「豚まん」に遭遇した。都心の劇場のロビーにある店舗で販売されているもので一つ310円。ずっしりと大きくて食べがいがある。東京・上野にも同店があるという。こちらは一つ250円だそうなので、同じものではないのかもしれない。
 ところで、豚まんにはからしが付いてくるが、私は付けずに食べていた。九州の福岡・北九州市周辺では、コンビニの肉まんにも酢じょうゆのタレがついてくるそうだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「豚まん ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年12月17日)を引用
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【佐藤優】2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」 ~孫子~

2017年12月30日 | ●佐藤優
★(金谷治・訳)『新訂 孫子』(岩波文庫、2000)

 (1)紀元前500年頃に活動した孫武が作者と伝えられる『孫子』(全13編)は、今日でも軍事理論の古典として読み継がれている。
 それだけでなく、企業マネジメントの参考書として経営者の間で評判がいい。確かに、本書は企業や役所の仕事に役立つ内容が多く含まれている。
 孫子が優れているのは、戦闘の技法に通暁しているのみならず、戦争と経済との関係をよく理解しているところにある。
 <孫子はいう。およそ戦争の原則としては、戦車千台、輜重車千台、武具をつけた兵士十万で、千里の外に食糧を運搬するという場合には、内外の経費、外交上の費用、〈にかわ〉や〈うるし〉などの[武具の]材料、戦車や甲冑の供給などで、一日に千金をも費やしてはじめて十万の軍隊を動かせるものである。[従って、]そうした戦いをして長びくということでは、軍を疲弊させて鋭気をくじくことにもなる。[それで]敵の城に攻めかけることになれば戦力も尽きて無くなり、[だからといって]長いあいだ軍隊を露営させておけば国家の経済が窮乏する>【注:〈〉内は原文では傍点。】
 孫子は、ここでロジスティクス(輜重)の重要性を説いている。
 これに対して、旧大日本帝国陸軍は、ロジスティクスを軽視していた。占領地まで食料を運搬することを考えずに、軍票(軍隊が発行する札)によって物資を強制的に買い付けた。占領地の住民からすれば、略奪とほぼ同じ行為だ。ロジスティクスを軽視したが故に、旧陸軍は占領地の反感を過剰に買うことになってしまった。

 (2)孫子は、インテリジェンス(諜報)を重視する。特にヒュミント(人間を通じて入手する情報)について詳細な説明を加えている。
 <孫子はいう。およそ十万の軍隊を起こして千里の外に出征することになれば、民衆の経費や公家(おかみ)の出費も一日に千金をも費やすことになり、国の内外ともに大騒ぎで農事にもはげめないものが七十万家もできることになる。そして数年間も対峙したうえで一日の決戦を争うのである。[戦争とはこのように重大なことである。]それにもかかわらず、爵位や俸禄や百金を与えることを惜しんで、敵情を知ろうとしないのは、不仁(ふじん)--民衆を愛しあわれまないこと--の実に甚だしいものである。[それでは]人民を率いる将軍といえず、君主の補佐ともいえず、勝利の主ともいえない。
 だから、聡明な君主やすぐれた将軍が行動を起こして敵に勝ち、人なみはずれた成功を収めることができるのは、あらかじめ敵情を知ることによってである。あらかじめ知ることは、鬼神のおかげで--祈ったり
占ったりする神秘的な方法で--できるのではなく、過去のでき事によって類推できるのでもなく、自然界の規律によってためしはかれるものでもない。必ず人--特別な間諜--に頼ってこそ敵の情況が知れるのである>

 (3)実際に戦闘を行うよりも、インテリジェンス活動によって、敵国の弱点をつかみ、戦わずして勝つことが上策だ。戦闘になっても正確な情報を持っているか否かが勝敗に影響する場合が多い。あるいは戦力としては、当方が敵国を圧倒し、勝利が確実な場合でも、インテリジェンス活動を十分に行っていれば、味方の犠牲を最小にすることができる。今日でも、米国のように軍事力が圧倒的に強い国がインテリジェンス活動を重視するのも、自国の被害を極小にするためだ。
 孫子は、スパイ(間諜)の種類を五つに分ける。
 <間諜を働かせるのには五とおりがある。①郷間(きょうかん)--村里の間諜--があり、②内間--敵方からの内通の間諜--があり、③反間--こちらのために働く敵の間諜があり、④死間--死ぬ間諜--があり、⑤生間--生きて帰る間諜--がある。この五とおりの間諜がともに活動していてその働きぶりが人に知られないというのが、神紀(しんき)すなわちすぐれた用い方といわれることで、人君の珍重すべきことである。
 ①郷間というのは敵の村里の人びとを利用して働かせるのである。②内間というのは敵の役人を利用して働かせるのである。③反間というのは敵の間諜を利用して働かせるのである。④死間というのは偽り事をそとにあらわして身方の間諜にそれを知らせ[て本当と思いこませ、]敵方に告げさせるのである。⑤生間というのは[そのつど]帰って来て報告するのである>【注:①~⑤は引用者が挿入した。】
 ①郷間を獲得することは、敵国が圧政を行っている場合には比較的容易だ。政権に対する恨みを動機とした敵国に協力する者が出てくるからだ。
 ②内間というのは、現代でいうポジティブインテリジェンス(積極諜報)に従事するスパイのことだ。敵国が隠している情報を、敵国に知られないようにして入手するポジティブ・インテリジェンスは諜報の王道だ。敵国政府内の不満分子を見つけることが内間を成功させるコツだ。
 ④死間とは、露見したら殺されることを覚悟して行うディスインフォーメーション(情報操作)工作だ。「イスラム国」(IS)やアルカイダのような国際テロ組織が頻繁に用いる技法だ。
 ⑤生間とは、敵国の内部に入り込んで、その貞応を当方に伝えるスパイだ。現在では、暗号をかけた報告書をインターネットや無線などの通信手段で報告すうrことが大部分を占めるが、通信傍受を警戒して、機微に触れる情報については、スパイが口頭で伝達することもある。

 (4)『孫子』は、2,500年前の書物であるにもかかわらず、そこに書かれているインテリジェンスの技法は、現在でも有効である。

□佐藤優「2000年の時を経て今なお変わらないインテリジェンスの「真髄」/『孫子』 ~名著、再び ビジネスパーソンの教養講座 第40回~」(「週刊現代」2017年6月17日号)
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【佐藤優】資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源 ~『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』~

2017年12月30日 | ●佐藤優
★マックス・ヴェーバー(大塚久雄・訳)『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(岩波文庫、1989)

 (1)1517年、ドイツのヴィッテンベルクで、マルティン・ルターがカトリック教会による免罪符(讀宥状/しょくゆうじょう)を批判する文書を発表した。これがきっかけとなって宗教改革が始まった。
 2017年は宗教改革500年の記念の年なので、ドイツ、スイス、オランダなどプロテスタンティズムが強い地域では、盛大な記念行事が行われている。

 (2)プロテスタンティズムは、「イエス・キリストの原点に還れ」と主張する復古運動だった。これが近代的な資本主義を発展させる原理に転化した理由を追及したのが、ドイツのマックス・ヴェーバー(経済学者・社会学者)だ。
 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は有名だが、実際に読み通した人はあまりいない。
 キリスト教神学の知識がない人がこの本を理解するのは至難の業だ。

 (3)ヴェーバーは、資本主義への転換を成し遂げた人々が、金儲けを嫌うプロテスタント教徒であったことを強調し、こう述べている。
 <経済生活における新しい精神の貫徹という、外観上は目立たないが、しかしこうした決定的な転換を生み出したのは、通常、経済史上どの時代にも見られる命知らずの厚顔な投機屋や冒険者たち、あるいは端的に「大富豪」などではなくて、むしろ厳格な生活のしつけのもとで成長し、厳密に市民的な物の見方と「原則」を身につけて熟慮と断行を兼ねそなえ、とりわけ<醒めた目>でまた<たゆみなく>綿密に、また徹底的に物事に打ちこんでいくような人々だった>【引用者注:<>内は原文では傍点。以下同じ】
 ここで必要な補助線が、宗教改革のカルバンが唱えた二重予定説だ。神は、人間について一部の人々は選ばれ救済され、残りの人々は選ばれずに滅びることを、人間が生まれるよりもずっと前に定めた、という考え方だ。そうなると人間の努力は無意味だ、と考えて、怠惰な人間が生まれるように見えるが、そうではない。「努力しなくても構わない」と思うことは、その人が選ばれておらず、滅びに定められていることの証左なのだ。選ばれている人は、自己の能力を最大限に開花させ、それを自分のためでなく、神の栄光のために捧げるのだ。神は、キリスト教徒が隣人を愛することを望んでいるので、神によって選ばれている人は他人のために働くことが求められる。このような道徳観が資本主義の根底にある。

 (4)ヴェーバーの表現だと、こうなる。
 <このような<個人の>道徳的資質は、倫理上の原理とか宗教思想などとなんら関係のあるものではなくて、そうした方向づけに対しては本質上むしろネガティブなもの、すなわち、旧来の伝統から<離脱させ>る能力、したがって何よりも自由主義的な「啓蒙思想」こそが、そうしたビジネスライクな生活態度にとって適合的な基礎となる、と人々は考えるかもしれない。実際<今日では>一般にまったくそのとおりなので、生活態度は通常宗教上の出発点をもっていないばかりでなく、両者の間に関係のある場合でも、少なくともドイツでは、それはネガティブなものであるのがつねだ。<現在では>、通常「資本主義精神」に充たされた人々は、教会に反対ではなくても、無関心な態度をとっている。天国における無為な生活の思想は、信仰深くても、活動的な彼らの性格には魅力がない。彼らの目には宗教は地上の労働から人々を離れさせる手段と映じるのだ。休みなく奔走することの「意味」を彼らに問いかけて、そうした奔走のために片時も自分の財産を享楽しようとしない態度は、純粋に現世的な生活目標から見ればまったくの無意味でないかと問うとき、彼らは、もし答えうるとすれば、「子どもや孫への配慮」だと言うこともあるだろう>

 (5)プロテスタント的な市民が子や孫のために働くという動因があるとしても、それはこの人々に限られたことではない。真の動因は別のところに見いだされるべきである、とヴェーバーは考える。
 <しかし、<より>多くは--「子や孫への配慮」という動機は、明らかに彼らだけのものではなく、「伝統主義的」な人々にも同様あるのだから--<より>正確に、自分にとっては不断の労働を伴う事業が「生活に不可欠なもの」となってしまっているからなのだ、と端的に答えるだろう。これこそ彼らの動機を説明する唯一の的確な解答であるとともに、事業のために人間が存在し、その逆ではない、というその生活態度が、個人の幸福の立場からみるとまったく<非合理的>だということを明白に物語っている>
 
 (6)プロテスタンティズムを信仰する資本家が、一生懸命に働くのは、自分のためではない。事業を一生懸命に行い、拡大することが神に奉仕することにつながるからだ。この人たちは、ビジネスという形で宗教行為を行っているのである。
 啓蒙主義が発達する過程で、キリスト教が説く神は時代遅れと見なされるようになった。しかし、世俗化されたプロテスタンティズムは、資本主義の精神として社会を支配するようになった。そして、誰もが取り憑かれたように働くのが当たり前になった。ヴェーバーは、次のように指摘する。
 <労働はそれ以上のものだ。いや端的に、何にもまして、神の定めたまうた生活の<自己>目的なのだ。「働こうとしないものは食べることもしてはならない」というパウロの命題は無条件に、また、誰にでもあてはまる。労働意欲がないことは恩恵の地位を喪失した徴候なのだ>

□佐藤優「資本主義の根底にある「勤勉さ」という美徳の淵源を探る ~名著、再び ビジネスパーソンの教養講座 第46回~」(「週刊現代」2017年8月5日号)
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 【参考】
【佐藤優】手ごわいフェイクニュース、国を動かす政治エリートの意志、欧州内部における紛争
【佐藤優】×奥野長衛『JAに何ができるのか』
【佐藤優】『戦争論』をビジネスに活かす、現実社会の悪と闘う、ロシア人の意識と使命感
【佐藤優】面白い数学啓発書、日本人の思考の鋳型、攻める農業への転換
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~
【佐藤優】保守論客が見た明治憲法、軍事産業にシフトしていく電機メーカー、安全と安心を強化する過程に入り込む犯罪者
【佐藤優】就活におけるネット社会の落とし穴、裁判官の資質、象徴天皇制と生前退位問題
【佐藤優】痛みを無視しない、前大戦で「前線」と「銃後」の区別がなくなった、情報を扱う仕事の最大の武器
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【佐藤優】資本主義の先にある社会の展望とその可能性 ~労働時間の短縮と人間関係の強化~

2017年12月30日 | ●佐藤優
 (1)佐藤優がソ連に赴任したのは、1987年8月末だった。
 <ソ連社会は、言論・表現の自由が制限され、秘密警察による監視が厳しかったことは事実であるが、その中で民衆はたくましく生きていた。ソ連で社会主義の理想が一つだけ実現していた。それは労働時間の短縮だ。工場や事務所が9時に始業し、5時に終業するとする。管理職を除く事務職員と労働者は、9時に家を出る。10時頃職場について、コーヒーや紅茶を飲んで、昨日見たテレビの話をする。11時から仕事を始めるが、12時に昼休みになる。昼休みは1時間だが、その後、買い物に出かけ、職場には2時すぎに戻る。その後、仕事をするが、ソ連的基準で5時に終業ということは、5時には警備員以外、誰も職場にいないという意味だ。1日の平均的な労働時間は、3~4時間だった。土日は休日で、2ヵ月の夏季休暇を取る。それでもソ連経済が成り立っていたのは、ソ連が資源大国で、主に石油と天然ガスを西側諸国に販売することで外貨を獲得し、多額の補助金を企業と国民に供与していたからだ。>

 (2)民衆のたくましさは、人間関係を強化する。
 <ソ連人は、政府も国家も基本的に信用していなかった。家族や友人の協力で、食料品や生活必需品を確保していた。ソ連時代、5月1日のメーデー、11月7~8日の革命記念日の前後に、普段、手に入らない人気商品が販売された。特に人気があったのがバナナだ。バナナが八百屋や露店で販売されているという情報が入ると、人々は職場を放棄して。販売制限限度(通常は5キログラム)いっぱいのバナナを買う。そして、近所や友人に配る。バナナをもらった人は、しばらく経って、鶏卵やバター、かにの缶詰やキャビアの瓶詰、サラミソーセージなどを国営商店で入手することが難しい食料品をお返しする。人脈を駆使して、ちょっとした賄賂を渡して、このような物を手に入れるのだ。物と物のやりとりを通じて、人間関係も強化された。>

 (3)ソ連において『資本論』はどう扱われたか。
 <ソ連で、マルクス『資本論』は、人文・社会科学を専攻する大学生の必読文献だった。しかし、『資本論』全3巻を読む学生は、経済学部資本主義経済学科(資本主義経済の構造と、その必然的崩壊を研究する学科。これに対して社会主義経済学科では、5ヵ年計画に役立てるため近代経済学の新古典派総合を学んでいた)か哲学部科学的共産主義学科(政治学はブルジョア学問であるというレッテルを貼られていた。哲学部の科学的共産主義学科が政治に関する研究をしていた)だけで、その他の学生は第1巻しか読んでなかった。
 ソ連では『資本論』は歴史書として読まれ、史的唯物論(唯物史観)によって資本主義の崩壊と社会主義革命の必然性を論じる書として読まれた。マルクスが最も強調していた労働力商品化について、ソ連人は関心を示さなかった。ある意味、ソ連では労働力商品化が克服されていた。その代わり、国家の暴力を背景に強制労働が社会全体で行われていたのである。>

 (4)ソ連崩壊後のロシア人はどうか。
 <このような社会主義から資本主義への革命で社会が激変したにもかかわらず、普通のロシア人が生活できたのは、社会主義革命の結果定着した、労働時間の短縮、国家を信用せず、家族や友人など顔が見える範囲での人間関係をたいせつにするという習慣があったからだ。この習慣は当面崩れない。>

 (5)『資本論』第1巻公刊150年にあたって。
 <われわれは『資本論』から学ぶのは、人間を疎外する労働力商品化なしに資本主義が存立しないという事実だ。状況によっては資本の利益のために人間を殺し、戦争を起こす。こういうシステムを全面的に転換することが革命ならば、確かに革命は必要だ。ただし現時点で、「これがいい」というような革命像が私には見えない。
 むしろロシア革命の遺産から学ぶべきことがある。国家を信用せず、労働時間の短縮と具体的人間関係の強化を通じて社会を強化することだ。そうするうちに神の力によって革命が起きる。それまでは「急ぎつつ待つ」という姿勢を私はとるつもりだ。>

□佐藤優「労働時間の短縮と人間関係の強化を通じて社会を強化する 資本主義の先にある社会の展望とその可能性 ~マルクス『資本論』第1巻発刊150年~」(「週刊金曜日」 2017年9月29日号)
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【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学(2) ~川喜田二郎『発想法』~

2017年12月30日 | ●佐藤優
★川喜田二郎『発想法 創造性開発のために』(中公新書、1967/改版、2017)
 (承前)

 (5)本書が刊行された1967年時点では、フィールド・ワークという言葉は一般的でなかった。だから、川喜田はフィールドワークの意味について丁寧に説明する。
 <「フィールド」は、おもしろいことに、物理学における電場とか磁場とかいう言葉における「場」にもあたる。つまり野外科学はある意味では「場の科学」なのである。あるいは「現場の科学」だといってもよい。ひとしく経験を基礎にして現実界を研究の対象にするといっても、研究態度によって実験室的科学と現場の科学の双方が成り立つことを、これで理解していただけただろう。>
 フィールドで得た情報から内在的論理をつかむための内部探検が重要であると川喜田は指摘する。
 <もし問題が個人的な門出会いだとすると、それをはっきり提起するためには、自分の頭の中を探検しなければならない。それゆえ、この手続きを、かりに「内部探検」と呼んでおこう。
 問題提起のために内部探検をすることは、はなはだ重要であるにもかかわらず、これを忘れたり軽視したりする人びとがじつに多い。ということはおそらく、特に技術らしい技術もいらないようにみえ、自分の頭の中で多少努力すればそれくらいのことはいわれなくてもわかると、たかをくくっているからであろう。しかしながら、この「内部探検」をごまかしなくやっておくと、おおいに利益をうることがある。最大の功徳は、内部探検によって、その後の努力目標がはっきりし、問題解決に向かって注意力が集中することである。
 じっさいに内部探検をやってみると、極端な場合はこういうことすらある。すなわち、はじめは漠然と、問題がただ一つだと思っていたところが、内部探検の結果、じつはぜんぜんちがう問題が二つ重なっていたことがわかることさえある。われわれは自分の問題だから、自分にはよくわかっているように思いこんでいるのだが、じつは上記のように一度外部に表現し、それをフィードバックしないと信用できないのである。>

 (6)もっとも川喜田は、どのように内部探検を行い、どうやって内在的論理をとらえるかについて具体的なことを述べていない。
 このような「秘儀」に依存する部分がKJ法には多い。職人的技法は経験によって伝授されるしかない、と川喜田が考えているからだろう。また、カードには鍵になる言葉を1行だけで表現しなくてはならないが、ここでは文学的な才能も求められる。KJ法を習得するためには、努力だけでなく、才能が必要とされる。このような川喜田の発想は、英国経験論と親和的だ。このことを川喜田も隠さない。
 <英国人は、足もとの経験を重視する点で、どうも西欧の大陸に住むフランス人の理性万能主義プラス・インスピレーション依存型とは、ある意味で対照的である。しかし日本人の「実感信仰」とちがうのは、彼らはこの経験から出発して、それを理論にまで練りあげていく、何重もの複雑な統合化にたいへんな自信を持っていることである。(中略)アダム・スミスの『国富論』における均衡理論や、マルサスの『人口論』における「人口は幾何級数的に、食糧は算術級数的にしかふえない」との理論は、たしかにともに普遍的理論の主張である。そして、すべての理論は、たしかに常に普遍的理論の主張である。また、すべての理論は、例外を認めたがらない傾向がある。
 ところが『国富論』も『人口論』も、注意ぶかく読めば、理論に対する例外があるかもしれないことを、経験上暗に許容しているのである。こういうところは、スッキリ好みのフランス人やドイツ人の理論家が耐ええないところであろう。このような「経験から理論まで」の蒸溜能力に、無類の自信をもっているのが、アングロサクソン、ことに英国人だと思われる。つまり、「こういう高等な大脳のシワの深さを持っているのはおれたちだけだろう。くやしければやってみろ」というわけだ。>

 (7)「くやしければ、やってみろ」というのは、KJ法を科学ではないと批判する人たちに向けた川喜田の思いでもある。そして、KJ法は英国経験論哲学を実技に移したものであると川喜田は宣言する。
 <この見地からいうと、KJ法的な発想法は、まさに英国人のこの経験論哲学を実技に移したもののようである。実技に移すことによって、英国人だけの独占的能力と思われたものを、各国民に解放してしまう手法である。またそれによって、貴族と庶民の垣根をとりはずすにいたるところのなにものかである。逆にいえば、精神においてKJ法とおなじでありながら、それを名人芸として「いうにいわれぬ」伝統に頼って実行していたにすぎない英国人は、KJ法によってもっともショックをうけるだろう。>
 KJ法は英国経験論哲学が考えるところの現実をできるだけ素直に受け止めるという方法を日本に土着化させる試みであった。

□佐藤優「総合的思考と英国経験論哲学/川喜多二郎『発想法 創造性開発のために』 ~ベストセラーで読む日本の近現代史 第47回~」(「文藝春秋」2017年8月号)
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 【参考】
【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~

  
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【佐藤優】総合的思考と英国経験論哲学 ~川喜田二郎『発想法』~

2017年12月30日 | ●佐藤優
★川喜田二郎『発想法 創造性開発のために』(中公新書、1967/改版、2017)
  
 (1)川喜田二郎(1920~2009年)は、東京工業大学、筑波大学教授などを歴任した。彼は自分のイニシャルを付したKJ法という独自の発想法を提唱し、社会に大きな影響を与えた。黒鉛筆またはペン、赤・青などの色鉛筆、クリップ、輪ゴム、名刺大の紙片などを用いてデータを整理し、カードを一面に広げ、着想を得るというローテクの技法は、パソコンが普及している現代では時代遅れだ。しかし、川喜田の発想自体は、現代でも十分に通用する。なぜなら、彼の方法論が優れているからだ。

 (2)川喜田は総合的思考の重要性を説く。
 <この発想法は、分析の方法に特色があるのではなく、総合の方法である。はなればなれのものを結合して、新しい意味を創りだしてゆく方法論である。分析的な方法だけではわれわれの世界は不十分である。その意味で、国際的にも国内的にも、人間が、あるいは民族や国民が、はなればなれになってゆくような状況に対して、逆にそれを結合してゆく方法としてとりあげることができるのである。>
 「黒犬は黒い」というのは分析的判断だ。なぜなら「黒犬」という主語に黒いという意味が含まれているからだ。これに対して「黒犬は利口だ」というと総合的判断になる。「黒犬」という主語に利口であるという意味は含まれていないからだ。
 総合的判断を行うためには、外部から情報を得なくてはならない。外部からどのようにして真実に近づくための情報を得るかという試みが、KJ法なのだ。

 (3)川喜田はさらに、繰り返し実験が可能な法則定立を目的とする科学と、実験が不可能なので頭の中の抽象を通じて個性記述を目的とする科学を区別する、新カント派の伝統に立っている。
 <実験室のなかで研究対象になる自然は、なんども繰り返して再現することができる。反復が可能である。すくなくとも研究目的に対しては、反復が可能として扱ってよい。それに対して野外的自然は一回性を帯びている。これは歴史的に二度と同じ状況が繰り返されないことを意味する。またそれと同じ現象がおこることは、他の地域ではありえない。場所的一回性がある。つまり歴史的、地理的一回性を帯びている。これは別の言葉でいうなら、個性的な自然ということもできる。
 たとえばフランス革命は歴史上、一度しかおこらなかった。おなじようなことはそれ以前にもけっしてなかったし、これから先にも二度とはおこらないだろう。また北海道は地球上どこにもない地域で、北海道だけにしかない、一回性的、個性的なものである。また、ある会社や職場で、ある特定の意地の悪い部課長がいるという現場の状況は、ここのほかに世界中のどこにもない。それがありのままの自然、あるいは野外的自然というものなのである。
 このような野外的自然を研究の対象にしなければならない必要性がある。学問でいっても、たとえば歴史学でフランス革命を研究する。それは一回性的、個性的なもので、もう一度それが起こるという可能性はないが、しかもそれを対象に研究しなければならない。あるいはまた、経営学のコンサルタントがある企業、職場を研究する。その職場は、そこだけにしかない野外的自然であり個性的な世界である。しかもひじょうに複雑な世界である。これを研究するのが、野外科学と呼ぶにふさわしい分野であり、またそれにふさわしい研究方法が求められなければならない。>

 (4)KJ法は個性記述的な科学の方法論なのだ。大正教養主義で新カント派は日本のアカデミズムに強い影響を与えた。1980年代にポストモダニズムの思想的嵐がアカデミズムを襲うまでは、日本の大学は新カント派的思考の上に成り立っていた。ポストモダニズムの結果生じた過剰な相対主義とシニシズムにより沙漠のようになってしまった大学を活性化させるためには、もう一度、新カント派の伝統に立ち返る必要がある。その意味で『発想法』を大学で取り扱う意味がある。

 (続く)

□佐藤優「総合的思考と英国経験論哲学/川喜多二郎『発想法 創造性開発のために』 ~ベストセラーで読む日本の近現代史 第47回~」(「文藝春秋」2017年8月号)
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【南雲つぐみ】年末の掃除 ~冷蔵庫~

2017年12月30日 | 医療・保健・福祉・介護
 年末の掃除といっても、わが家のようなマンション住まいでは、昔のように畳を上げて天日干しをしたり、障子を張り替えたりはしない。日々の掃除を少していねいに行うだけだが、それでも気分は変わる。
 正月、冷蔵庫には刺し身などの生ものや、おせち料理など保存食がいっぱいに詰め込まれるはずだ。そこで、一度は空にして、内部の仕切り板やポケットについた小さな汚れや細菌を落としておきたい。また、賞味期限の切れた調味料なども思い切って整理してしまうと良い。
 最初に水で濡らした布巾で庫内の目に見える汚れを拭き取って、アルコールを含んだ冷蔵庫専用のクリーナーや薄めた除菌液や漂白液を使う。
 換気扇の汚れ落としは日頃なかなか行わない。換気扇専用の強力な洗剤を使うときには、マスクやゴム手袋などで体に触れないように気を付けよう。
 窓ガラスの掃除は雨の日や湿気の多い曇り日に行うと汚れが落ちやすい。ぬらした新聞紙を丸めて全体の汚れをとり、乾いた新聞紙で拭き取ると汚れの跡が残らない。

□南雲つぐみ(医学ライター)「年末の掃除 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年12月29日)を引用
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