<この『大日本史』は、日本史を軸に世界史を考え、日本史との関連で世界史を理解する人びとの参考になることを願っている書物である。具体的には2022年度から実施される高校の学習指導要領に入る新必修科目「歴史総合」の発展に貢献したかったのである。>
<2016(平成28)年6月に公になった「歴史総合」の骨子は二つから成っている。
第一は、世界とその中の日本を「広く相互的な視野」からとらえ、「現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史」を考える。
第二は、歴史の大きな転換に着目し、本質的に大きな問いを投げかけながら、比較と因果関係を重視して社会的事象の歴史的な見方と考え方を修めた歴史を学ぶ。
まことに重要な視点であり、こうした試みが万遍なく全国の生徒、未来の日本を担う社会人に浸透することが期待される。>
<さて、歴史が必要なのは、将来、企業と官公庁のいずれを志向するにせよ、経営力や企画力の基盤と根拠を豊かにする上で大事なことであり、歴史を学ぶことで人間に深みと教養を与えるからだ。「歴史総合」という新科目は、まさに新しい世界史と新しい日本史の試みともいえるだろう。日本人として世界史の知識と教養を豊かにするのは、グローバル人材として不可欠であるが、それは日本史を外国語で説明できる能力と不可分なのである。>
<日本の近未来予測で確実に頼りになるのは歴史の教訓である。>
<実際に佐藤氏は、外交官として歴史にどう接したのか、交渉家として歴史の根拠をいかに使ったのか、などカリエールが指摘する内容を自己の体験と史実に即して語ってくれた箇所も多い。新たに導入される新科目「歴史総合」の理念を受けとめながら、その内容につながる議論をする上で佐藤優氏は最適のパートナーであった。次の機会には、新指導要領で具体的な道筋が示される「歴史総合」において、私たちなりの教科書風叙述ができるように心がけたいものだ。本書は、ありうべき「歴史総合」の叙述の一端を、ひとまず自由な対話を通した史論として示したかったのである。>
□山内昌之×佐藤優『大日本史』(文春新書、2017)の「まえがき--新必修科目「歴史総合」のために」
↓クリック、プリーズ。↓

【参考】
「【佐藤優】西郷と大久保はなぜ決裂したのか ~征韓論争~」
「【佐藤優】開発独裁とは違う明治維新 ~目的は複数、リーダーも複数~」
「【佐藤優】岩倉使節団が使った費用、100億円 ~明治初期~」
<2016(平成28)年6月に公になった「歴史総合」の骨子は二つから成っている。
第一は、世界とその中の日本を「広く相互的な視野」からとらえ、「現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史」を考える。
第二は、歴史の大きな転換に着目し、本質的に大きな問いを投げかけながら、比較と因果関係を重視して社会的事象の歴史的な見方と考え方を修めた歴史を学ぶ。
まことに重要な視点であり、こうした試みが万遍なく全国の生徒、未来の日本を担う社会人に浸透することが期待される。>
<さて、歴史が必要なのは、将来、企業と官公庁のいずれを志向するにせよ、経営力や企画力の基盤と根拠を豊かにする上で大事なことであり、歴史を学ぶことで人間に深みと教養を与えるからだ。「歴史総合」という新科目は、まさに新しい世界史と新しい日本史の試みともいえるだろう。日本人として世界史の知識と教養を豊かにするのは、グローバル人材として不可欠であるが、それは日本史を外国語で説明できる能力と不可分なのである。>
<日本の近未来予測で確実に頼りになるのは歴史の教訓である。>
<実際に佐藤氏は、外交官として歴史にどう接したのか、交渉家として歴史の根拠をいかに使ったのか、などカリエールが指摘する内容を自己の体験と史実に即して語ってくれた箇所も多い。新たに導入される新科目「歴史総合」の理念を受けとめながら、その内容につながる議論をする上で佐藤優氏は最適のパートナーであった。次の機会には、新指導要領で具体的な道筋が示される「歴史総合」において、私たちなりの教科書風叙述ができるように心がけたいものだ。本書は、ありうべき「歴史総合」の叙述の一端を、ひとまず自由な対話を通した史論として示したかったのである。>
□山内昌之×佐藤優『大日本史』(文春新書、2017)の「まえがき--新必修科目「歴史総合」のために」
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【参考】
「【佐藤優】西郷と大久保はなぜ決裂したのか ~征韓論争~」
「【佐藤優】開発独裁とは違う明治維新 ~目的は複数、リーダーも複数~」
「【佐藤優】岩倉使節団が使った費用、100億円 ~明治初期~」