アネゴが言った。
「弘法は筆を選ばずって、嘘よね~」
「なんで?」
「道具を使うなら、絶対選ぶって!」
無意識でも道具は選ぶらしい。
アネゴは陶芸家だ。
道具で決るわけではないが、
道具でより意に沿って表現できる。
だから道具はとても大切だ。
言ってる事はワシでも判る。
でも「弘法は・・・」は、そうだと思う。
今から10年前になる。
ワシは奈良国立博物館の中にいた。
開館100周年記念の年だった。
狙って行ったのではない。
偶然だった。
普段は公開しない国宝が並んでいた。
阪神大震災で混乱中の関西だった。
ワシがいた5月にやっと中国高速道が復旧した。
ワシは3回目の生駒山からの帰りだった。
奈良・姫路に寄り道していた。
観光ではない。
奈良は偶然、時間があった。
看板に「超特別公開」の匂いを感じた。
ここで遇ったが100年目。
ホントに100年目の記念公開だった。
こういう偶然は絶対モノにする。
ラッキーが向こうから飛び込んできたのだ。
期間限定の国宝公開だぜ。
そうでなくてもワシは素直だ。
公開してくれるモノならナンでも見る。
(覗き趣味はないが、見せたいのなら遠慮はしない)
ナマケモノだが好奇心は人並み以上だ。
珍しい国宝だから・・・珍宝か?
自信無くしたらどうしよう・・・。
なんて心配は無用だった。
(最初から自信は無いぜ!)
それは、それは、圧倒される国宝だった。
古の像や道具や書の類だ。
どんな時代でも「氣」の塊は凄い。
全て「氣」の塊で創られていた。
その中に「書」があった。
弘法大師の書もあった。
「氣」の塊の書だった。
(本館は 「氣の空間・氣功療法院」