反原発活動家や煽(あお)りメディアから「安全デマ週刊誌」と批判されていると自認して、あえて安全論陣を張る「週刊ポスト」。
7/22-29号、じっくり読ませていただいた。
50年前の日本は放射能まみれ
47都道府県別にフォールアウト(放射汚染=死の灰)の被曝量を1963年から今年2011年までの推移をICRP基準の「μSv/h」換算している。1963年データに群馬県はなく実際24都道府県だった。
1963年 北海道0.89 宮城1.62 秋田3.36 東京1.69 大阪1.19 福岡1.61・・
概して日本海側が高いのは偏西風による。1962年には米ソ冷戦下、核保有国が最多178回の核実験を行った。日本列島も大いに汚染された。それでもその後に「がん」「奇形児」「知能低下」は増えたか?と本誌は調査結果を元に問う。「放射能で汚染された子供が生まれる」などはデマ、まったくのウソであると。
威勢の良い反論だ。できることなら私も今回の東電福島原発の惨事が、将来、何の影響も出ないというポスト誌の主張が立証されることを願いたい。しかし進行している現実はどうだろうか。空気中や食材の放射能被曝の数値は具体的に上がりこそすれ一向に下がることはない。1963年の数値を「教訓」に平然とはしてはいられない。これは私がすでに煽られているせいなのだろうか。
孫正義批評はお粗末
ノンフィクション作家佐野眞一による「あんぽん孫正義伝」はいただけない。佐野はこれまでの「週刊文春」「週刊新潮」の孫正義パッシング記事は脱原発の動きを封じ込めたい東電、反菅政権勢力の意向として書かれたとして、持論とは一線を画しているものの、結局は、孫正義の出自に問題を矮小化させているのは残念だ。
エネルギーに限らず、ビジネスに「妄執する秘密」を出自に求めたら孫正義に限らず、多くの偉業を成した経営者にも当てはまることになる。学歴はなく貧困な家庭環境の中から立身出世した大創業者は、これまで少なくない。それを起業力をあたかも「出自」に起因するかのような言い回しはよくない。再生可能なエネルギーに壮大なビジネスロマンを持つ孫正義を、ここは素直に評価し期待してはいかがなものだろう。