若い頃、隠岐の島に住んでいた事があり、地元の漁師さんに連れられて、海苔摘みに何回か行ったことがありますま。
早朝、サイレンの合図と共に、港から何十艘もの小舟が、競って沖の岩場に向かって漕ぎ出す様は、勇壮なものです。
島根では、今が海苔摘みの最盛期、これは「大変」の一語に尽きる作業ですが、漁村ではご婦人方の仕事ということになっています。
これからの時期、暖かい日は少なく、ほとんどが岩場に立てないほどの強い風雪、海を背にして打ち寄せる荒波、加えて足元の滑り易さ、常に見極めながらの海苔摘み作業は、素人には1回経験すれば「もうゴチソウさん」、2度とやりたくない重労働です。
それに摘み採った海苔は、その日の内に、冷たい水を使いながらの、スノコ干しの作業が待っています。
私は、正月用の「かもじ海苔」を見る度に、必ずこの時の事を思い出します。
以前に比べて、海苔が生える岩場が少なくなってきていると聞きますが、やはりお雑煮には、ご婦人方が苦労して摘み採った、地磯の岩海苔が一番美味しいですね。
そうそう、岩海苔摘みに併せて、同じ岩場に上がらせてもらってメジナ釣りをすると、摘んだ海苔片が、波にさらわれて撒き餌となり、メジナの大物が良く釣れたものです。
大漁間違いなし。(メジナは岩海苔が大好物)