まっ白い真綿の様な雲海が、どこまでもどこまでも続いている。
そのまた雲の上に、覆いかぶさる様に雲がたなびきその影を投じている。
さらに雲海の上には、透き通るようなまっ青な空が無限に広がり、遥か彼方には、わずかに
富士山の頂が頭を覗かせているだけだ。
そして、この音も、空気も、風の動きも、匂いさえもない世界を、太陽の光だけが高みから照
らしている。
これが神の領域と言われる、「無」とか「空」の世界に、限りなく近い世界ではなのだろうかと、
私はいつも思ったりするのである。
ちっぽけな人間の思考や働きも、この、「無・空」の大宇宙では、いとも簡単に退けられてしま
う。
今回の空の旅では、こうしてジェットの窓から、ただひたすら無心に、雲海を眺めて過ごした。
ひと時なりとも、浮世の憂さをすっかり忘れて、心をリセットすることができたのである。
空の旅には、こんな楽しみ方もあるから、私は主翼の上の外の見えない席は絶対に避けるの
である。
~貴方にとって、今日も良い一日であります様に~