今日は、冬日としては比較的暖かい一日だった。
とは言え季節は冬、時折、空は黒々とした雲に覆われて、辺り一面が薄暗
くなったり、かと思うと青空が覗いてパーッと明るくなったりのお天気。
昼下がりのちょうど今、宍道湖岸を散歩していると、雲間からこぼれ落ちた
陽の光が、まるで湖上にスポットライトを当てた様に、こんな幻想的な情景
を醸し、しばし見惚れてしまった。
『八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 八重垣作る その八重垣を』
と、スサノオノミコトが妻を想い詠んだとされる、日本最古のこの短歌にも見
られる様に、『八雲立つ 』は、出雲の枕言葉であり、確かに、この地は湧き
立つ雲を肌で感じるのである。
出雲をはじめとして、この山陰地方は八重垣さながらに、幾重にも幾重に
も、湧き立つ雲が空を覆う日が多い。
その厚い雲が、僅かに途切れた雲間から差す、幾すじもの光は「神が降り
立つ」のに相応しい、神々しさではある。
眺めているうちに、雲は風に流され、そんな光景もほんの一瞬でかき消さ
れてしまった。
~貴方にとって、今日も良い一日でありますように~
芹洋子の「四季の歌」