~永遠の聖女・大スター『原節子』~
小津安二郎監督によって撮られた映画、「晩春」「麦秋」「東京物語」さらに
は、今井正監督による「青い山脈」等、数多くの作品に主演した、往年の大
スター「原節子」、と言っても、今の若い人は「その人だれ」と言うのが、落
ちだろう。
原節子は、今では知る人ぞ知る、戦前戦後を通じて、日本の映画界の黄金
期を支えた、銀幕(映画)の大スターで、永遠の聖女あるいは「原節子
の前に原節子なく、原節子の後に原節子なし」とまで、言われた女優であっ
た。
日本人離れしたその容姿だけでなく、佇まいそのものが、絶大な存在感を
放ち、ブルーリボン主演女優賞をはじめ、多くの賞を受けた演技派女優で
もあった。
彼女は、15歳で銀幕デビューすると共に、瞬く間に大スターの座に上りつ
めたが、1963年、彼女を見出した巨匠・小津安二郎監督の死と共に、無
言のうちに銀幕(映画界)を去って行っている。
引退後は、公の場には一切姿を見せることはなく、生涯独身を通し、「あり
のままに」、現在もご健在だそうである。
世間やメディアから、これほど完璧に“消えた”女優も珍しい。
その大スターの座を捨て、黙して語らず、潔く姿を消す~そんな「引きの美
学」が、また一層、彼女を伝説の大スターに押し上げているとも言えよう。
そんな原節子の映画の中で、これまでにも数回観た・・・『東京物語』をまた
借りて来た。
モノクロ映画であるが故に、なおさら原節子の清純・清らかさが、網膜に焼
き付いてくる。
この映画は、
尾野道に暮らす年老いた夫婦が、成長し東京で暮らす子供たちに会うため
に上京する。この旅を通して「家族の繫がり」と「その喪失」というテーマを、
観る者の心に、しっとりと訴えかけてくる映画なのだ。
これは現代社会にも共通した、家族間における、普遍かつテーマでもあり、
私のお勧め映画の一作でもある。
こんなの頭に付けられたんですけど・・・はずかし~い