高島市長は6日、公式ブログで「福岡市はまさに国家戦略特区の当事者ですので一言」と前置きし、安倍政権が進める国家戦略特区を絶賛してした。しかも、「官邸の最高レベルが言っていても不思議はない」と主張しているNPO法人フローレンス・駒崎弘樹氏のブログを紹介し、加計学園問題で窮地に立たされている安倍政権を援護射撃していた。(尤も的は外れているが)さらに、特区のおかけで公園内に保育所を設置することができたとその成果を強調していた。だが反対する市民の声を無視して、来年度から市内の公立幼稚園を全廃することは、当然触れていない。それにしても、一地方自治体の首長がここまで露骨に政権を庇うというのは、どうみても異常だろう。
安倍政権から手厚く保護(というか支配)されている福岡市は国家戦略特区のメッカだ。その目玉となっているのが「天神ビッグバン」。規制緩和によって民間投資を促し、天神中心部のビルや公園、地下通路などの公共施設をリニューアルするというもの。航空法の高さ制限の緩和によって、天神地区のビルの高さは67mから76mへ、さらに容積率の緩和によって、同地区の容積率は最大1400%までアップする。高島市長は、2024年までに30棟の民間ビルが建替わり、延べ床面積は1.7倍、経済波及効果は8500億/年になると絶賛している。しかし、国家戦略特区に指定されたことで、同地区での営業を断念したり廃業せざるを得なくなった店舗や地元中小企業は多い。にもかかわらず、それらに対する補償はない。規制緩和は大企業を潤しながら、一方で弱者を切り捨てる。特区による弊害がここにある。
高島市長は6日の記者会見で、国家戦略特区を活用してさらなる規制緩和を行うと発表した。中身は明らかにされていないが、NTTのアンテナ(115m)や博多ポートタワー(100m)を引き合いに出しているところからして、何やら嫌な予感がする。「天神ビッグバン」の対象地区は、すぐそばに警固断層が走っている。熊本地震以降、活断層の危険度が増したとしてSランクに指定されたところだ。高層建築が増えればそれだけ市民への危険性は高まるわけだが、福岡市から地震対策の声は聞こえてこない。緩和が先行して、防災は後回しの状況だ。
高島市長が就任してまもなく7年になる。市民や議会の声に耳を傾けることをせず、独断で突き進む姿は、安倍首相の姿と重なる。まさに高島市政の安倍政権化が進んでいると言っても過言ではないだろう。来年11月には市長選を控えているが、高島市長は国政へ進出するという噂もある。むしろその方が福岡市民にとっては幸せかもしれないが、、
《追記2017.6.10》
7日、高島市長は福岡市の国家戦略特区の現状を安倍首相に報告するため、わざわざこのタイミングで官邸へ出向いていた。加計問題によって生じた国家戦略特区に対する国民の批判をかわす狙いがあるのだろう。パフォーマンスならこの人以外にいないだろうから。
日本経済のため戦略特区進める」首相が福岡市長に (産経ニュース2017.6.8)
(写真:高島市長公式ブログより)
《関連記事》
・「特区は大きな意義がある」 高島・福岡市長、ブログで野党へ“反論” (産経ニュース 2017.6.7)
・福岡市「天神ビックバン」 地震被害の予測なしに計画推進 高島市政―安全無視の姿勢を露呈(HUNTER 2016.7.28)
《関連資料》
「国家戦略特区」とは名ばかり、実は利権の巣窟なのかもしれませんね。
仰るとおりだと思います。
実際にそのような状況を目にします。