中学校での風呂敷講座を了えて、
市川から鉄道に乗る前に、せっかく来たからと
駅周辺をぶらぶらして、昔ながらの個人商店の生地を見たり
(リネンが多くて嬉しかった)、
結局ヤッキョク、香りにつられて インドカレーのランチを食べた。
浅草うまれなので、この東側の雰囲氣はなじむ。
いまだ、いづこかで素適な弁当箱に逢はむと欲している。
特段、スズ竹や柳行李製じゃなきゃ絶対ダメ
というわけではなく、ずっと愛用していくものだから
出逢い方にも物語を欲しているのかな。
入手するだけなら、ネットでいっぱつだ。
もしも僕の幼稚園時のミッキーのアルミ弁当箱が
まだあるならそれでも面白いし、誰かからのプレゼントなら
プラスチック製でもよろこんで使う。
ああ、このままずっとJRで、立川まで乗るのか。
はるばる東へ出向いたので、ちともったいない氣もあるが
心(うら)の声に忠実に従うのみ。
今までお世話になっていた生地メーカーが閉めてしまったので
講座の教材に使う、よい生地を探している。
木綿の無地であれ、目に指に、どこか魅力的でないと
その後使わなくなってしまう。
現代は服も使い捨てが主流だから、
ずっと長持ちするようなよい生地の生産は減っているだろう。
買う側も値段の安いものを選びがちだから
ますますそうなる。
布は本来、つくろいながら永く生かすもので
安易な消耗品ではないのだから、なるべく上質を選ぶほうがよい。
洋裁は布を切り抜くし、乾きにくい立体縫製だから
多湿の日本では劣化に伴う虫食いや退色もしやすい。
だから、やはり古来からの大アサかリネン、ラミー、
木綿なら本藍染めの生地が向いている。
だけど、そういった素材の機能を考慮しながらも、愛用される条件は
本人がそれを好きで、氣に入るかどうか。
材料といろかたち、どちらも大事。
先ほどから、小さな雪がチラチラと舞い降りて来、
西へ行くほど濃い様子。
庭に小虫がつくつく這うようになれば
春のサインでしょうが、この家にはもう長く居ない氣がして、
思い出とともに寂しさがつのる。
あっという間に、2年と4ヶ月がすぎ、途中には
虎之介のO脚がしぜんと治ったり、小エビやかぶと虫採り、
風呂敷の本の出版、裏庭にひきがえる闖入、長女がうまれる等々。
ふぶきに押されるように、新開地へと歩まん。
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