恋は盲目であり、互いに仲のよい振りや雰囲氣に浸るものだが、
付き合いが長くなったり、同じ空間に住むようになれば、
振りだけでは済まなくなる。
他人と分かり合うことは、ヒトとヤドカリが意思疏通できないのと
同じレベルで、困難なことである。
それぞれ認識が違うから、社会は合わせあうことで成り立つものだけど、
距離感や関係性が密になるほど、正直に吐露しなければ
体は窮屈にカチコチになる。
しかし、違和感を表明してしまえば仲違いしたり喧嘩・険悪になりやすいから
それをおそれて、他でガス抜きをする人間も出てくる。
けれどもそれでは、本音を伝え合えない仮面夫婦のようになる。
酒浸ったり、不倫等により心を晴らすことで、
家では仲の悪くない振りを継続できる。
さように逃げみちや居場所を見いだして上手くやりくりするのは
器用ともいえる。
不満を抱えたまま帰宅し、ちゃぶ台をひっくり返すような
人の方が、不器用であるが、素直に向き合おうとする誠実さがある。
かくして小さな衝突と和解を積み重ねながら、真の絆は深まろう。
愚直な正直者は、根太くて揺るがない、苦の花を咲かせていく。
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