漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「沓トウ」<すらすら言う>と「踏トウ」

2014年09月04日 | 漢字の音符
 トウ・くつ  水部

解字 「水(みず)+曰(いう)」の会意。水は流れる水の意。曰エツは言うの意。水の流れるようにすらすら言うこと[大修館漢語新辞典]。現代字は、曰エツ⇒日に変化した。日本では鞜トウ(かわぐつ)に当て、沓を、くつの意で使う。
意味 (1)すらすらと言う。流暢にしゃべる。「沓沓トウトウ」(得意になってしゃべるさま) (2)あふれる。水があふれる。 (3)あう(合う)。まじりあう。かさなる。多い。「雑沓ザットウ=雑踏」(ひとごみ) (4)[国]くつ(沓)。「沓石くついし」(柱をささえる土台石)

イメージ 
 「すらすら言う」
(沓・誻)
 「同音代替」(踏・鞜)
音の変化  トウ:沓・誻・踏・鞜

すらすら言う
 トウ 言部
解字 「言(いう)+沓(すらすら言う)」の会意形声。沓(すらすら言う)にさらに言をつけ、沓を強調した字。また、ののしる意ともなる。
意味 (1)おしゃべり。多言。「誻誻トウトウ」(多言のさま) (2)そしる。ののしる。

同音代替
 トウ・ふむ・ふまえる  足部
解字 「足(あし)+沓(トウ)」の形声。トウは蹈トウ(ふむ)に通じ、足でふむこと。
意味 (1)ふむ(踏む)。あるく。ふみおこなう。「踏青トウセイ」(春に若草を踏んで郊外を散歩する)「踏破トウハ」(歩きとおす)「踏歌トウカ」(足踏みして調子をとって歌う)「舞踏ブトウ」(ダンス) (2)ふまえる(踏まえる)。ある事実や考え方を根拠とする。「踏襲トウシュウ」(前人のあとを受けつぐ)
 トウ・くつ  革部
解字 「革(かわ)+沓(=踏。ふむ)」の会意形声。踏む足につける革のくつ。
意味 くつ(鞜)。かわぐつ。
<紫色は常用漢字>

    バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

音符「鎖サ」 <小貝がつらなる> と 「瑣サ」

2014年09月04日 | 漢字の音符
サ・くさり・とざす  金部

解字 「金(金属)+[小+貝](小さい貝が連なる=つらなる)」 の会意形声。音符は右辺の「小+貝」の部分。小さな貝がつらなっているさまで、これに金がついた鎖は、小さい金輪が連なったくさりをいう。また、くさりでつなぐ、つないでとざす意ともなる。
意味 (1)くさり(鎖)。金属製の輪をつないだもの。錠前。かぎ。「鉄の鎖」 (2)つなぐ。「連鎖レンサ」「鎖骨サコツ」(胸骨と肩甲骨をつなぐ骨)②とざす(鎖す)。とじる。「鎖国サコク」「封鎖フウサ

イメージ 
 小さい貝が「つらなる」(鎖)
 貝が 「小さい」(瑣)
音の変化  サ:鎖・瑣

小さい
  サ・ちいさい  王部
解字 「王(玉)+[小+貝](小さい貝=小さい)」 の会意。玉のちいさなくずをいう。転じて、こまかい・つまらない意となる。本来、つらなる意があったと思われるが、現在この意味ではほとんど使われない。
意味 ちいさい(瑣さい)。こまかい。わずらわしい。「瑣末サマツ」(とるに足りないこと)「瑣細ササイ」(=些細。わずか)「煩瑣ハンサ」(こまごまとわずらわしい)「瑣瑣ササ」(微小なさま。こまかくてわずらわしいさま)

    バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする