漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「关ソウ」<ささげ持つ>と「送ソウ」「朕チン」「鎹かすがい」

2014年09月19日 | 漢字の音符
 ソウ

解字 現在の漢和辞典には収録されていない字。古代文字は「朕チン」から月を省いて作成した。关の字も中国簡体字からの借用である。甲骨文字は両手で棒状のものを持って奉ずるかたち。このタテ線が何を表しているか不明だが、貴重な品物であろう。金文はタテ線に肥点がつき上に八が加わった。篆文で火に似た形となったが、旧字で下部の両手と一体となって「八+天」の形になり、さらに新字体で「关」となった。貴重なものを両手でささげ持つ意を表わす。送ソウの原字。

イメージ 
 「ささげ持つ」
(送・鎹・朕)
音の変化  ソウ:送  チン:朕  かすがい:鎹

ささげもつ
 ソウ・おくる  辶部  

解字 「辶(ゆく)+关(ささげ持つ)」の会意形声。物をささげ持って行くこと。辶(ゆく)は古代文字で「彳(行く)+止(あし)」で表されている。旧字はパソコンで表示されないので省略した。
意味 おくる(送る)。(1)物をおくり届ける。「運送ウンソウ」「配送ハイソウ」 (2)情報をおくり届ける。「伝送デンソウ」「放送ホウソウ」 (3)人を見おくる。「送別ソウベツ」「歓送カンソウ
<国字> かすがい  金部
 かすがい
解字 「金(かなもの)+送の旧字(おくりとどける)」の会意。こちらから向こうに送りとどけて、つなぎとめるコの字形の金くぎ。
意味 かすがい(鎹)。(1)材木と材木をつなぎとめる両端の曲がった釘。「鎹(かすがい)を打つ」(2)人と人をむすびつけるもの。「子は鎹(かすがい)」
 チン・われ  月部

解字 甲骨文字は舟および両手で棒状のものを持って奉ずるかたち。このタテ線が何を表しているか不明だが、意味は一人称(われ)の用例しかないという[甲骨文字辞典]。この字は送るの原文であることから、贈り物を差し上げる謙譲の意味の「小生(われ)」であろう。金文はタテ線に肥点がつき上に八が加わった。意味は一人称および人名。篆文の[説文解字]は「我也。闕ケツ(欠ける・除く)」とする。これは秦の始皇帝が天子の自称として用いることとしたため、説明を省いたのであろう。以後、中国では皇帝の自称として用いられた。
意味 われ(朕)。中国皇帝の自称。日本の天皇の自称。日本では第二次大戦まで天皇は朕を用いたが、戦後は「わたくし」を用いている。
<紫色は常用漢字>

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