漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「班ハン」 <わける・わかれる> と 「斑ハン」

2014年11月10日 | 漢字の音符
 ハン・わける  玉部

解字 金文・篆文ともに「王(ぎょく)+刀+王(ぎょく)」の会意で、王はここで玉(宝石類)の意。金文・篆文まで玉は王で表された[音符「玉」を参照]。二つの玉が合わさって1組になった玨カク(二つで一組の玉。=珏)に刀をいれて分けること。のち、分け与える・分けた人員などの意味に拡がった。現代の字形は、刀⇒刂に変化した班になった。
意味 (1)わける(班ける)。わかつ。分配する。「班田ハンデン」(田地を分配する) (2)配るときの順序・席次「首班シュハン」(席次のトップ。特に内閣の総理大臣)「首班指名」 (3)全体をいくつかに分割したときの一つ一つのグループ。「班長ハンチョウ」「炊事班スイジハン」 (4)わかれる。はなれる。「班馬ハンバ」(はぐれ馬)

イメージ 
 「わける・わかれる」
 (班・斑)
音の変化  ハン:班・斑

わかれる
 ハン・まだら  文部
解字 「文(もよう)+班の略体(わかれる)」の会意形声。文様が分かれて分布しているさま。
意味 まだら(斑)。ふ(斑)。ぶち。むら。「斑点ハンテン」(まだらに散らばっている点)「斑竹ハンチク」(とらふだけ)「斑白ハンパク」(しらがまじりの頭髪) 
難読 「斑鳩いかるが」(①イカル(鳥)の別称。②地名。奈良県生駒郡斑鳩町。法隆寺がある)「斑入ふいり」(ちがった色がまだらに混じる)「斑濃むらご」(所々が濃く、その周囲をぼかした染め物)
<紫色は常用漢字>
 
    バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

音符「𠂢ハイ」<川から支流がわかれる> と 「派ハ」「脈ミャク」

2014年11月10日 | 漢字の音符
𠂢 ハイ・ハ  厂部

解字 川の本流から流れが分かれた形。本流から水を引いて農業用水などが分かれる形と思われる。わかれ出る意で音符となる。

イメージ 
 「分かれ出る」
(派・脈)
音の変化  ハ:派  ミャク:脈

分かれ出る
 ハ・わかれる  氵部
解字 「氵(水)+𠂢(分かれ出る)」の会意形声。本流から流れが分かれ出る意。分流する、分かれた集団、一部を分けて遣わす、という意味がある。
意味 (1)わかれ。わかれる(派かれる)。本流や本家から分かれ出たもの。「学派ガクハ」「別派ベッパ」「分派ブンパ」「派閥ハバツ」 (2)一部分をさいて、つかわす。「派兵ハヘイ」「派出ハシュツ」「派遣ハケン」(分けて遣わす)
 ミャク  月部にく
解字 「月(からだ)+𠂢(分かれ出る)」の会意。細く分かれ出て身体の中を網の目のように通る血管。
意味 (1)すじ。すじみち。血のすじ。血管。「動脈ドウミャク」「静脈ジョウミャク」「血脈ケツミャク」(血縁でつながること)「脈絡ミャクラク」(物事のつながり。すじみち)  (2)血管が波打つこと。「脈拍ミャクハク」「脈脈ミャクミャク」 (3)すじになって続くもの。「水脈スイミャク」「山脈サンミャク
<紫色は常用漢字>            
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする