行 コウ・ギョウ・アン・いく・ゆく・おこなう 行部
解字 甲骨文字でわかるように、十字路を描いた象形。道を行く、動 いて動作する(おこなう)などの意をあらわす。また、行列の意ともなる。行の左半分をあらわすのが「彳ぎょうにんべん」で「行く・路上」の意で偏ヘンとなる。行を音符に含む字は、「ゆく」「こちらからむこうへ渡す」、原義の「十字路」のイメージをもつ。
意味 (1)いく(行く)。ゆく(行く)。「行進コウシン」「歩行ホコウ」「行脚アンギャ」 (2)おこなう(行なう)。「行為コウイ」「施行シコウ・セコウ」 (3)おこない。「品行ヒンコウ」 (4)みち。「行路コウロ」 (5)ならび。「行列ギョウレツ」 (6)みせ。問屋。同業組合。「銀行ギンコウ」
参考 行は部首「行ぎょうがまえ」になる。彳と亍のあいだに音符をはさみ、①移動する。②行動。③道路・町、の意味を表す。『新漢語林』では、21字が収録されている。主な字は以下のとおり。
術ジュツ(行+音符「朮ジュツ」)
街ガイ・まち(行+音符「圭ケイ」)
衙ガ(行+音符「吾ゴ」)
衝ショウ(行+音符「重ジュウ」)
衛エイ・まもる(行+音符「韋イ」)
衡コウ(行コウ+角の略+大)
衍エン(「氵+行」の会意)
イメージ
「ゆく」(行・絎・裄・鵆)
こちらから向こうへ「わたす」(桁・衡)
「十字路」(衍・愆)
音の変化 コウ:行・絎・桁・衡 エン:衍 ケン:愆 ちどり:鵆 ゆき:裄
ゆく
絎 コウ・くける 糸部
解字 「糸(いと)+行(ゆく)」の会意形声。布を縫い合わせるとき、針を細かく刺して縫うのでなく、針を粗く刺して糸を進ませる(行く)ように縫うこと。日本では、粗く縫う部分を内側にして縫い目を表にあまり出さない縫い方(くけ縫い)をいう。
意味 (1)粗く縫う。綿入れの上着などを、中の綿がずれないよう上から粗く縫うこと。キルティング。 (2)[国]くける(絎る)。縫い目を表にあまり出さない縫い方。「絎縫(くけぬ)い」
裄 <国字> ゆき 衣部
裄丈(ゆきたけ)
解字 「衣(きもの)+行(ゆく)」の会意。着物の背の縫い目から袖口まで行った長さ。
意味 (1)着物で、着物の背の縫い目から袖口までの長さをいう。「裄丈ゆきたけ」(裄の長さ) (2)身体の背の中心から腕を下げた手首までの長さ。洋服の裄丈ゆきたけになる。
鵆 <国字> ちどり 鳥部
鴨川チドリ
解字 「鳥(とり)+行(ゆく=あるく)」の会意。飛翔力に加え、速く歩くのにすぐれた鳥であるチドリを表す国字。
意味 ちどり(鵆)。千鳥とも書く。チドリ科の鳥の総称。渡りをする旅鳥が多く、海岸や平野の水辺にすむ。一般に鳥の趾(あしゆび)は4本が基本であるが、チドリは後趾の一本が退化しているものが多く、速く歩くのに適している。千鳥がジグザグに歩くことから、酔ってフラフラ歩くのを「千鳥足」という。「鵆足ちどりあし」(=千鳥足)
わたす
桁 コウ・けた 木部
解字 「木(き)+行(まっすぐに渡す)」の会意形声。まっすぐ横に渡っている木。
意味 (1)けた(桁)。柱の上にかけわたした横木。屋根組みの場合、最上部の棟(むね)以外の、棟と平行に柱の上に渡した木。「屋桁オクコウ」(屋根の桁)「橋桁はしげた」 (2)ころもかけ。「衣桁イコウ」 (3)[国]そろばんの珠をとおす縦の棒。また、数の位どり。「桁違(けたちが)い」(差が非常に大きいこと)
衡 コウ・はかり・くびき 行部
二頭の牛の首に渡した衡(くびき)
解字 「[ク+田](角の略体。牛のつの)+大(牛のからだ)+行(渡す)」の会意形声。行は左右に分かれる。2頭の牛の角と身体(大)のあいだの首に渡した横木。この横木の真ん中にナガエや綱をつけて、車を引かせる(写真)。のち、天秤ばかりの横棒の意となり、はかりを意味するようになった。この字で行は部首と同時に音符にもなっている。
意味 (1)くびき(衡)。横木。馬車や牛車の横木(くびき) (2)はかり(衡)。はかり竿。重さをはかること。「度量衡ドリョウコウ」(度は長さ、量は容積、衡は重さ。ものを測ること、また、その単位) (3)平らか。つり合いがとれている。「平衡ヘイコウ」 (4)よこ。「連衡レンコウ」(東西の国が同盟すること)「合従連衡ガッショウレンコウ」(従ショウは縦の意で、合従は南北の国が同盟すること。連衡は東西の国が同盟すること。あわせて、どちらの同盟に入るか外交上のかけひきをすること)
十字路
衍 エン・はびこる 行部
解字 「氵(みず)+行(十字路)」の会意。行は十字路を表した形。そこに水が割り込んだ衍エンは、水が街路にあふれる意。水があふれる・はびこる意から、転じて、ひろがる・ひろげる意となり、物事を幅広く説明する意で使われる。また、ひろがりすぎて余分に入ってしまう意ともなる。
意味 (1)はびこる(衍る)。あふれる。「蔓衍マンエン」(はびこること) (2)ひろがる。ひろげる。しく。「衍義エンギ」(意義を広く詳しく説明する)「敷衍フエン」(意義をのべひろげて説明する。わかりやすく詳しく説明する) (3)よぶんな。余り。「衍字エンジ」(誤って入った余分な字)「衍文エンブン」(誤って入った不要な文)
愆 ケン・あやまち・たがう 心部
解字 「心(こころ)+衍(水がいつもの溝からはみ出してあふれる)」の会意形声。通常の道理からはずれる心。発音は、エン⇒ケンに変化。(ア行エ段⇒カ行エ段)
意味 あやまち(愆ち)。たがう(愆う)。「愆義ケンギ」(義を誤る)「罪愆ザイケン」(罪をおかす過ち。悪い行い)「愆尤ケンユウ」(とがめ)「愆謬ケンビュウ」(失敗。間違い。過ち)「愆怠ケンタイ」(怠りあやまる)
<紫色は常用漢字>
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※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 甲骨文字でわかるように、十字路を描いた象形。道を行く、動 いて動作する(おこなう)などの意をあらわす。また、行列の意ともなる。行の左半分をあらわすのが「彳ぎょうにんべん」で「行く・路上」の意で偏ヘンとなる。行を音符に含む字は、「ゆく」「こちらからむこうへ渡す」、原義の「十字路」のイメージをもつ。
意味 (1)いく(行く)。ゆく(行く)。「行進コウシン」「歩行ホコウ」「行脚アンギャ」 (2)おこなう(行なう)。「行為コウイ」「施行シコウ・セコウ」 (3)おこない。「品行ヒンコウ」 (4)みち。「行路コウロ」 (5)ならび。「行列ギョウレツ」 (6)みせ。問屋。同業組合。「銀行ギンコウ」
参考 行は部首「行ぎょうがまえ」になる。彳と亍のあいだに音符をはさみ、①移動する。②行動。③道路・町、の意味を表す。『新漢語林』では、21字が収録されている。主な字は以下のとおり。
術ジュツ(行+音符「朮ジュツ」)
街ガイ・まち(行+音符「圭ケイ」)
衙ガ(行+音符「吾ゴ」)
衝ショウ(行+音符「重ジュウ」)
衛エイ・まもる(行+音符「韋イ」)
衡コウ(行コウ+角の略+大)
衍エン(「氵+行」の会意)
イメージ
「ゆく」(行・絎・裄・鵆)
こちらから向こうへ「わたす」(桁・衡)
「十字路」(衍・愆)
音の変化 コウ:行・絎・桁・衡 エン:衍 ケン:愆 ちどり:鵆 ゆき:裄
ゆく
絎 コウ・くける 糸部
解字 「糸(いと)+行(ゆく)」の会意形声。布を縫い合わせるとき、針を細かく刺して縫うのでなく、針を粗く刺して糸を進ませる(行く)ように縫うこと。日本では、粗く縫う部分を内側にして縫い目を表にあまり出さない縫い方(くけ縫い)をいう。
意味 (1)粗く縫う。綿入れの上着などを、中の綿がずれないよう上から粗く縫うこと。キルティング。 (2)[国]くける(絎る)。縫い目を表にあまり出さない縫い方。「絎縫(くけぬ)い」
裄 <国字> ゆき 衣部
裄丈(ゆきたけ)
解字 「衣(きもの)+行(ゆく)」の会意。着物の背の縫い目から袖口まで行った長さ。
意味 (1)着物で、着物の背の縫い目から袖口までの長さをいう。「裄丈ゆきたけ」(裄の長さ) (2)身体の背の中心から腕を下げた手首までの長さ。洋服の裄丈ゆきたけになる。
鵆 <国字> ちどり 鳥部
鴨川チドリ
解字 「鳥(とり)+行(ゆく=あるく)」の会意。飛翔力に加え、速く歩くのにすぐれた鳥であるチドリを表す国字。
意味 ちどり(鵆)。千鳥とも書く。チドリ科の鳥の総称。渡りをする旅鳥が多く、海岸や平野の水辺にすむ。一般に鳥の趾(あしゆび)は4本が基本であるが、チドリは後趾の一本が退化しているものが多く、速く歩くのに適している。千鳥がジグザグに歩くことから、酔ってフラフラ歩くのを「千鳥足」という。「鵆足ちどりあし」(=千鳥足)
わたす
桁 コウ・けた 木部
解字 「木(き)+行(まっすぐに渡す)」の会意形声。まっすぐ横に渡っている木。
意味 (1)けた(桁)。柱の上にかけわたした横木。屋根組みの場合、最上部の棟(むね)以外の、棟と平行に柱の上に渡した木。「屋桁オクコウ」(屋根の桁)「橋桁はしげた」 (2)ころもかけ。「衣桁イコウ」 (3)[国]そろばんの珠をとおす縦の棒。また、数の位どり。「桁違(けたちが)い」(差が非常に大きいこと)
衡 コウ・はかり・くびき 行部
二頭の牛の首に渡した衡(くびき)
解字 「[ク+田](角の略体。牛のつの)+大(牛のからだ)+行(渡す)」の会意形声。行は左右に分かれる。2頭の牛の角と身体(大)のあいだの首に渡した横木。この横木の真ん中にナガエや綱をつけて、車を引かせる(写真)。のち、天秤ばかりの横棒の意となり、はかりを意味するようになった。この字で行は部首と同時に音符にもなっている。
意味 (1)くびき(衡)。横木。馬車や牛車の横木(くびき) (2)はかり(衡)。はかり竿。重さをはかること。「度量衡ドリョウコウ」(度は長さ、量は容積、衡は重さ。ものを測ること、また、その単位) (3)平らか。つり合いがとれている。「平衡ヘイコウ」 (4)よこ。「連衡レンコウ」(東西の国が同盟すること)「合従連衡ガッショウレンコウ」(従ショウは縦の意で、合従は南北の国が同盟すること。連衡は東西の国が同盟すること。あわせて、どちらの同盟に入るか外交上のかけひきをすること)
十字路
衍 エン・はびこる 行部
解字 「氵(みず)+行(十字路)」の会意。行は十字路を表した形。そこに水が割り込んだ衍エンは、水が街路にあふれる意。水があふれる・はびこる意から、転じて、ひろがる・ひろげる意となり、物事を幅広く説明する意で使われる。また、ひろがりすぎて余分に入ってしまう意ともなる。
意味 (1)はびこる(衍る)。あふれる。「蔓衍マンエン」(はびこること) (2)ひろがる。ひろげる。しく。「衍義エンギ」(意義を広く詳しく説明する)「敷衍フエン」(意義をのべひろげて説明する。わかりやすく詳しく説明する) (3)よぶんな。余り。「衍字エンジ」(誤って入った余分な字)「衍文エンブン」(誤って入った不要な文)
愆 ケン・あやまち・たがう 心部
解字 「心(こころ)+衍(水がいつもの溝からはみ出してあふれる)」の会意形声。通常の道理からはずれる心。発音は、エン⇒ケンに変化。(ア行エ段⇒カ行エ段)
意味 あやまち(愆ち)。たがう(愆う)。「愆義ケンギ」(義を誤る)「罪愆ザイケン」(罪をおかす過ち。悪い行い)「愆尤ケンユウ」(とがめ)「愆謬ケンビュウ」(失敗。間違い。過ち)「愆怠ケンタイ」(怠りあやまる)
<紫色は常用漢字>
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