咅バイの解字を改めました。
咅 バイ・ハイ・ホウ 口部


上は咅、下は不。
解字 金文は「不+口」の会意で否ヒと同じ形。しかし、不の本来の意味は花萼を支える花托の部分とされ、ふくらむ意がある。音符「不」参照。ふくらむ意の不に口のついた否は、ふくらんだ下に口がつき、もうひとつふくらんだものがあることを表している。篆文は、この意味を明確にするため上を亠にして否と区別した。字形は隷書で上部が立となった咅となり現代字に続く。[説文解字]は「相與語、唾而不受也」と意味不明の説明だが、咅の音符字を見ると二つに分かれる意が多く、ふくらんだものが接して二つある形であることは明らかである。したがって、音符イメージは、ふくらむ意と二つにわかれる意の二つがある。
イメージ
ふくらむ意から「ふっくらと」(培・焙)
「二つに分かれる」(倍・蓓・賠・陪・剖)
「分かれる」(部・蔀)
「形声字」(菩)
音の変化 バイ:培・倍・賠・陪 ハイ:蓓 ブ:部 ボ:菩 ホウ:焙・蔀 ボウ:剖
ふっくらと
培 バイ・つちかう 土部
解字 「土(つち)+咅(ふっくらと)」の会意形声。草木の根元に土をふっくらと重ねること。
意味 つちかう(培う)。そだてる。「栽培サイバイ」(植えて育てる)「培養バイヨウ」(養い育てる)
焙 ホウ・ホイ・ハイ・あぶる 火部
解字 「火(ひ)+咅(ふっくらと)」の会意形声。穀物などを火であぶって、ふっくらとふくらませること。
意味 あぶる(焙る)。ほうじる。「焙烙ホウロク」(あぶるのに使う浅い素焼の土なべ)「焙炉ホイロ」(製茶の乾燥炉)「焙煎バイセン」(あぶって煎ること)「焙茶ホウチャ」(焙じ茶)
二つに分かれる
倍 バイ・ハイ イ部
解字 「イ(ひと)+咅(二つに分かれる)」の会意形声。二つに分かれて増えること。イ(ひと)が付くのは人がそうした行為をする意。また、背ハイに通じ、そむく意もある。
意味 (1)ます(増す)。多くする。「倍旧バイキュウ」(前よりさらに程度を増す) (2)二倍になる。「倍する」「倍加バイカ」「倍増バイゾウ」 (3)ある数をかける。「倍率バイリツ」「数倍スウバイ」 (4)「倍反バイハン」(そむく)
蓓 ハイ 艸部
解字 「艸(くさ)+倍(二倍になる)」の会意形声。植物が大きくなる意。「蓓蕾ハイライ」に使われる字。
意味 「蓓蕾ハイライ」とは、花のつぼみ(蕾)が大きくなり、ほころびるさま。同じ意味を石偏で表した「碚礧(礌)ハイライ」(蕾がほころびる)という凝った語もある。
賠 バイ・つぐなう 貝部
解字 「貝(財貨)+咅(=倍。二倍)」の会意形声。他人に与えた損害を、損害額を二倍にして支払う意。損害額にさらに上乗せして弁償すること。
意味 つぐなう(賠う)。「賠償バイショウ」(賠も償もつぐなう意)
陪 バイ 阝部
解字 「阝(丘)+咅(二つに分かれる)」の会意形声。二つに分かれて寄り添うように隣り合う丘。陵墓が隣り合う陪陵バイリョウが原義と思われる。転じて、付き添う意となる。
意味 つきそう。つき従う。おともする。「陪陵バイリョウ」(天子の陵(墓)のそばに葬った近親者の墓)「陪席バイセキ」(付き従って同席する)「陪審バイシン」(審判に参与する)「陪臣バイシン」(付き従う臣下)「陪食バイショク」(貴人の食事の相伴をする)
剖 ボウ・さく 刂部
解字 「刂(刀)+咅(二つに分かれる)」の会意形声。刀で二つに割くこと。
意味 さく(剖く)。わける。切りひらく。「解剖カイボウ」「剖析ボウセキ」(剖いて分析する)
分かれる
部 ブ・べ 阝部おおざと
解字 「阝(邑。人の住む地域)+咅(分かれる)」の会意形声。いくつかに分かれている人の住む地域。
意味 (1)集落。むれ。「部族ブゾク」(一定の地域に住み同族意識をもつ集団)(2)組織上の区分。「部署ブショ」「部員ブイン」「部隊ブタイ」(軍の一部をなす隊) (3)分ける。分けたものの一つ一つ。「部品ブヒン」「部分ブブン」「一部イチブ」
蔀 ホウ・しとみ 艸部
しとみ(蔀)
解字 「艸(くさ)+部(分けた区画)」の会意形声。分けた区画を、すだれやむしろでさえぎること。遮蔽すること。
意味 (1)遮蔽するもの。おおい。日よけのすだれやむしろ。「蔀屋ホウオク」(①むしろを下げ回した暗く貧しい陋屋ロウオク。②しとみや。板戸を立て回して囲った仮屋) (2)[国]しとみ(蔀)。格子を取り付けた板戸。上部に蝶番(ちょうつがい)をつけ、外側に水平に釣り上げて開ける。しとみど。「蔀戸しとみど」「半蔀はじとみ」(上下二枚開きの蔀戸の上の部分) (3)暦法の単位。76年を一蔀ホウとする古代の暦法。
形声字
菩 ボ・ホ 艸部
解字 「艸(草)+咅(ボ)」の形声。ボという名の草の形で、梵語の音訳語に用いられる。
意味 (1)梵語の音訳語。「菩提ボダイ」(仏の悟り。死後の冥福)「菩薩ボサツ」(さとりを求めて修行する人) (2)ほとけぐさ。香草の一種。
<紫色は常用漢字>
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咅 バイ・ハイ・ホウ 口部


上は咅、下は不。
解字 金文は「不+口」の会意で否ヒと同じ形。しかし、不の本来の意味は花萼を支える花托の部分とされ、ふくらむ意がある。音符「不」参照。ふくらむ意の不に口のついた否は、ふくらんだ下に口がつき、もうひとつふくらんだものがあることを表している。篆文は、この意味を明確にするため上を亠にして否と区別した。字形は隷書で上部が立となった咅となり現代字に続く。[説文解字]は「相與語、唾而不受也」と意味不明の説明だが、咅の音符字を見ると二つに分かれる意が多く、ふくらんだものが接して二つある形であることは明らかである。したがって、音符イメージは、ふくらむ意と二つにわかれる意の二つがある。
イメージ
ふくらむ意から「ふっくらと」(培・焙)
「二つに分かれる」(倍・蓓・賠・陪・剖)
「分かれる」(部・蔀)
「形声字」(菩)
音の変化 バイ:培・倍・賠・陪 ハイ:蓓 ブ:部 ボ:菩 ホウ:焙・蔀 ボウ:剖
ふっくらと
培 バイ・つちかう 土部
解字 「土(つち)+咅(ふっくらと)」の会意形声。草木の根元に土をふっくらと重ねること。
意味 つちかう(培う)。そだてる。「栽培サイバイ」(植えて育てる)「培養バイヨウ」(養い育てる)
焙 ホウ・ホイ・ハイ・あぶる 火部
解字 「火(ひ)+咅(ふっくらと)」の会意形声。穀物などを火であぶって、ふっくらとふくらませること。
意味 あぶる(焙る)。ほうじる。「焙烙ホウロク」(あぶるのに使う浅い素焼の土なべ)「焙炉ホイロ」(製茶の乾燥炉)「焙煎バイセン」(あぶって煎ること)「焙茶ホウチャ」(焙じ茶)
二つに分かれる
倍 バイ・ハイ イ部
解字 「イ(ひと)+咅(二つに分かれる)」の会意形声。二つに分かれて増えること。イ(ひと)が付くのは人がそうした行為をする意。また、背ハイに通じ、そむく意もある。
意味 (1)ます(増す)。多くする。「倍旧バイキュウ」(前よりさらに程度を増す) (2)二倍になる。「倍する」「倍加バイカ」「倍増バイゾウ」 (3)ある数をかける。「倍率バイリツ」「数倍スウバイ」 (4)「倍反バイハン」(そむく)
蓓 ハイ 艸部
解字 「艸(くさ)+倍(二倍になる)」の会意形声。植物が大きくなる意。「蓓蕾ハイライ」に使われる字。
意味 「蓓蕾ハイライ」とは、花のつぼみ(蕾)が大きくなり、ほころびるさま。同じ意味を石偏で表した「碚礧(礌)ハイライ」(蕾がほころびる)という凝った語もある。
賠 バイ・つぐなう 貝部
解字 「貝(財貨)+咅(=倍。二倍)」の会意形声。他人に与えた損害を、損害額を二倍にして支払う意。損害額にさらに上乗せして弁償すること。
意味 つぐなう(賠う)。「賠償バイショウ」(賠も償もつぐなう意)
陪 バイ 阝部
解字 「阝(丘)+咅(二つに分かれる)」の会意形声。二つに分かれて寄り添うように隣り合う丘。陵墓が隣り合う陪陵バイリョウが原義と思われる。転じて、付き添う意となる。
意味 つきそう。つき従う。おともする。「陪陵バイリョウ」(天子の陵(墓)のそばに葬った近親者の墓)「陪席バイセキ」(付き従って同席する)「陪審バイシン」(審判に参与する)「陪臣バイシン」(付き従う臣下)「陪食バイショク」(貴人の食事の相伴をする)
剖 ボウ・さく 刂部
解字 「刂(刀)+咅(二つに分かれる)」の会意形声。刀で二つに割くこと。
意味 さく(剖く)。わける。切りひらく。「解剖カイボウ」「剖析ボウセキ」(剖いて分析する)
分かれる
部 ブ・べ 阝部おおざと
解字 「阝(邑。人の住む地域)+咅(分かれる)」の会意形声。いくつかに分かれている人の住む地域。
意味 (1)集落。むれ。「部族ブゾク」(一定の地域に住み同族意識をもつ集団)(2)組織上の区分。「部署ブショ」「部員ブイン」「部隊ブタイ」(軍の一部をなす隊) (3)分ける。分けたものの一つ一つ。「部品ブヒン」「部分ブブン」「一部イチブ」
蔀 ホウ・しとみ 艸部

解字 「艸(くさ)+部(分けた区画)」の会意形声。分けた区画を、すだれやむしろでさえぎること。遮蔽すること。
意味 (1)遮蔽するもの。おおい。日よけのすだれやむしろ。「蔀屋ホウオク」(①むしろを下げ回した暗く貧しい陋屋ロウオク。②しとみや。板戸を立て回して囲った仮屋) (2)[国]しとみ(蔀)。格子を取り付けた板戸。上部に蝶番(ちょうつがい)をつけ、外側に水平に釣り上げて開ける。しとみど。「蔀戸しとみど」「半蔀はじとみ」(上下二枚開きの蔀戸の上の部分) (3)暦法の単位。76年を一蔀ホウとする古代の暦法。
形声字
菩 ボ・ホ 艸部
解字 「艸(草)+咅(ボ)」の形声。ボという名の草の形で、梵語の音訳語に用いられる。
意味 (1)梵語の音訳語。「菩提ボダイ」(仏の悟り。死後の冥福)「菩薩ボサツ」(さとりを求めて修行する人) (2)ほとけぐさ。香草の一種。
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