漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符「付フ」<つけ加える・つく>「附フ」「符フ」「拊フ」「鮒フ」「咐フ」 

2022年09月18日 | 漢字の音符
  咐フを追加しました。
 フ・つける・つく  イ部            

解字 金文は「イ(ひと)+又(て)」 の形と、「イ(ひと)+寸」 の形の二種がある。「イ+又(て)」は、手を人につけた形で「つく・つける」意。「イ(ひと)+寸」の形は、篆文に引き継がれ現在に続いているが、中国最古の部首別字典である[説文解字]は、「物を持って人に与える」と解説し、寸を手に物をもつ形としている。もともと寸は、親指の幅、および肘(ひじ)の意だが、付の字においては、手に物をもつ意があると思われる。これによって解釈すると、手に物を持って人に「あたえる・さずける・つけ加える」意が出てくる。
 付は、これまで[説文解字]の解釈である、あたえる意で使われてきた。金文第一字の「つく・つける」意は、これまで阝(こざと)をつけた附で表されてきたが、現代表記ではすべて付を使うのが一般的になった。
意味 (1)あたえる。さずける。つけ加える。「交付コウフ」「付加フカ」 (2)つける(付ける)。つく(付く)。「付録フロク」 (3)たのむ。ゆだねる。「付託フタク

イメージ 
 「つく・つけ加える」
(付・附・鮒・拊)
 「ぴたりとつける」(符) 
 「形声字」(咐) 
音の変化  フ:付・附・拊・符・鮒・咐

つく
 フ・つく 阝部こざと  
解字 「阝(おか)+付(つけ加える)」の会意形声。阝(おか)は、ここで墳墓。元の墳墓に付け加えて、すぐ近くに造られ近親者を葬った「陪塚バイチョウ・バイづか」を意味すると思われる。この字が「つく」意で昭和初期まで用いられた。
意味 (1)つく(附く)・くっつく・つける。「附着フチャク」(=付着)「附録フロク」(=付録) (2)つきしたがう。「附随フズイ」(=付随)
 ※もと、附は「つく」、付は「与える」と使い分けたが、現代表記ではすべて付を使うのが一般的である。ただし、官庁用語・法令用語では、「附属フゾク」「附則フソク」のように用いている。
 フ・ふな  魚部
解字 「魚(さかな)+付(つく)」の会意形声。人に付く魚。人間の生活圏を流れる河川や農業用水などにも生息するため、昔から人間に親しまれた魚。日本の名称であるフナは、「ふ(鮒の音読み)+な(魚)」に由来する。なお、後漢の[説文解字]は「魚名。魚に従い付フの聲(声)」とし形声字としている。
意味 ふな(鮒)。コイ科フナ属の淡水魚の総称。湖沼や川にすむ。「鮒魚フギョ」(フナ)「寒鮒カンぶな」(寒中にとれる鮒。美味という)「鮒鮨ふなずし」(鮒をご飯で発酵させたなれずし)「小鮒こぶな釣りし かの川」
 フ・なでる  扌部
解字 「扌(て)+付(つける)」の会意形声。手を相手につけること。なでる意と、かるくたたく意がある。なでる意は、「撫でる」の撫ブ・フと同音代替の関係になる。
意味 (1)なでる(拊でる)。撫でる。「拊愛フアイ」(なでるように可愛がる)(2)うつ。かるくたたく。
ぴたりとつける
 フ・わりふ  竹部 
割符(中国歴史博物館蔵)
https://baike.baidu.com/item/%E5%89%96%E7%AC%A6/1677322(百度百科より)
解字 「竹(たけ)+付(ぴたりとつける)」の会意形声。二つに割った竹をぴたりと付けること。約束をしるした竹片や木片の中央に印をつけて二つに割り、甲乙がその片方ずつを所有し、後日二つを合わせて証拠のしるしとした。竹の節を含めると合わせる箇所がピタリと合うので「符節フセツ」ともいう。
 また、小さな竹片や木片に印をつけ、そこを二分して一方を相手に渡して符丁とし、命令を奉じた使者と命令の下達先の間で使者が本物であることを示す証として用いられた(竹使符)。のち、命令を下達する文書そのものを指すようになった。
意味 (1)わりふ(符)。割符。あいふだ。「符節フセツ」(=割符)「切符キップ」(料金支払い済みを証明する入場券や乗車券。使うとき切って分ける) (2)しるし。記号。「符丁フチョウ」「符号フゴウ」「音符オンプ」 (3)神仏の守りふだ。「護符ゴフ」(4)命令書。公文書。「太政官符ダジョウカンプ」(太政官[国政の最高機関]が出した命令書)
形声字
 フ  口部
解字 「口(くち)+付(フ)」の形声。口からフという声を出すこと。息をふく意となる。
意味 (1)いきふく。息を吹きかける。「嘔咐オウフ」(嘔も咐も、息を吹きかける意で、動物などにやさしく息をふきかけて、いつくしみ養うこと)(2)いいつける。「吩咐フンフ」(いいつける)
<紫色は常用漢字>

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